── 具体的にどう経済を成長させていくのか。

安倍:イノベーションの力によって生産性を高めていかねばならない。特に今まさに第3の産業革命が進んでいる。IT・情報通信の分野にしっかりと投資をしていく。その波に乗っていくことが必要。そのしっかりと戦略的に生かしていくことが大切。それによって生産性を向上させていくことができる。また、オープンな経済を実践することで、中国・インドの成長を日本の成長に取り込んでいく。

 将来増えていく社会保障の問題もあるし、地方の税収をどうやって捻出させていくのかという観点からも、税制の抜本的改正を行わねばならない。その場合、消費税をある程度上げねばならないというのはその通り。しかし、何%かを今の段階で言うことは適切ではない。まずは歳出削減の努力をしていかねばならない。

── 靖国問題への対応や中国・韓国との首脳会談実現という文言がないが、その理由は。

安倍:靖国問題については、日本のために戦った方々のために、その冥福をお祈りし、手を合わせて尊崇の念を表する思いは持ちつづけていきたい。(参拝に)行くか行かないかは外国から指図されるものであってはならない。行く行かないということによって、首脳会談ができるできないというのは、間違っている。誤解があるなら解いていく努力をしなければならないし、日中・日韓関係は極めて重要。両国は首脳会談を復活させるため、お互いの努力をしていかなければならない。

── 小泉政治との違いは。

安倍:小泉総理は改革を進めるためには今までの体制をとにかくぶち壊していく。成功体験も忘れなければならない。壊したら新しいものを作っていくことに全力を尽くしてきた。それをしなければ日本の経済は立ち直れなかった。

 これからは新しい時代に向かって一緒にみんなで国づくりをしていかねばならない。私の政治手法としては、なるべく多くの方々に参加をしてもらって国づくりをしていくというスタイルで取り組む。

── 構想に掲げている「戦後からの脱却」とは。

安倍:決して戦後の61年間を否定するものではないが、例えば憲法は日本が占領されている時代に作られたもの。私たち自身の手で新しい憲法に変えていこう、 自分たちの未来・理想をみんなで考えていこうという精神こそが新しい時代を切り開いていくと思う。

 外交面で言えば外国が作ったルールや土俵の中で、いい相撲を取って誉めてもらおうという姿ではなく、日本もリーダーシップを取っていくというというもの。

【了】

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