テーマパーク、4割でチケット値上げ 「電気代の高騰」が主な要因 水族館・動物園では餌代上昇も経営圧迫
2023年春休みシーズン「テーマパーク」価格調査
人件費や電気代、各種物価の高騰を受け、テーマパークで値上げが相次いでいる。全国の主要な遊園地や水族館、動物園など計190のテーマパークにおける、2022-23年4月時点の入場(入館)チケットの販売価格を調査した結果、約4割の70施設で値上げが判明した。このうち、入場チケットの値上げが62施設、入場料を据え置いたものの、別途購入が必要な乗り放題パスなどを値上げした施設が8施設だった。チケットの値上げは見送ったものの、駐車場代や場内でのフード・ドリンクサービスを値上げした施設も複数見られた。次いで多いのが「餌代・原材料の高騰」(19施設)、「物価高騰・その他」(12施設)だった。水族館では餌となる魚代、動物園では燃油代に加えて輸入肉類、乾草や固形飼料のペレット類など動物の餌代上昇などが価格改定の理由にあげられた。
この結果、23年4月時点におけるテーマパーク入場チケットの平均価格(平日価格換算)は1739円となった。前年(1654円)に比べ5%・85円の上昇となる。ただし、分野別ではチケット価格帯・値上げ幅に差がみられた。平均チケット価格が最も高額だったのは遊園地で、2023年は2211円、前年から61円上昇した。
一方、最も価格の上昇幅が大きかったのは水族館で、22年比で128円上昇の1863円だった。動物園は平均価格が1293円、前年比72円の上昇にとどまり、遊園地や水族館に比べて低水準にとどまる。
お出かけ情報サイト「いこーよ」を運営するアクトインディ(東京)が、自社アプリユーザーを対象に行ったアンケート調査によると、日用品や食品の値上がりによって約8割がお出かけに「影響がある」と回答した。有料施設の利用回数や、施設内の食事代などを減らすなど節約志向がみられ、チケット代の値上げがテーマパークの集客に一定の影響を及ぼす可能性がある。
他方、コロナ禍で臨時休館や集客制限などを余儀なくされたテーマパーク側では、収益力が弱まっていたなかでのコスト増が大きな重荷となっており、「値上げに踏み切らざるを得ない」施設が多くみられた。各施設とも、来館者数を増やすことで収入を上げるなど運営努力を続けているものの、今春から電気代がさらに引き上げられる予定などコスト増を吸収できる余力が限られており、チケット代を値上げするべきか再検討を迫られる可能性がある。