記録的大雪で「無理するくらいならキャンセルして大丈夫」 ホテル日航新潟が上司の叱責覚悟で発信、称賛の声
「無理されるくらいならキャンセルして」「申し訳ないと思わないでください」――。
記録的な大雪に見舞われ、交通網の乱れや停電が続く新潟県。そんな混乱の中、県内のホテルが利用者に寄り添ったメッセージを発信し、好感を与えている。
「上司に怒られたら削除します」
2022年12月18日から降り続いた大雪により、新潟県では在来線の運休や高速道路の通行止め、一部地域での停電、通信障害が続いている。
気象庁によると、20日11時時点の48時間降雪量は長岡市、魚沼市守門、関川村下関で100センチ超を観測し、下関の103センチは統計開始後、史上最多だった。
新潟市中央区にあるホテル日航新潟は19日夜、緊急事態を受けて「明日以降にホテルにご来館予定の皆様へ」とツイッターに投稿した。
「ホテルのTwitter担当としてこんな事を言っていいのかわかりませんが」と切り出すと、新潟市内の積雪が「想像を絶する状況」になっているとして、5つの要望を掲載した。「完全に個人の見解で発信しているので、もし上司に怒られたら削除します」と社の見解ではないと断っている。
・どうかご来館のために絶対に無理をしないでください。
・大げさではなくご自身の身体、命を第一に優先してください。
・無理されるくらいならキャンセルしていただいて大丈夫です。
・その時はご来館できないことを決して謝らないでください。申し訳ないと思わないでください。
・でも、雪が落ち着いたら、ぜひまた新潟にいらしてください!
「読んでいてなんだか涙出てきました...」
ツイッター担当者は続けて、この日は宿泊のキャンセルが謝罪の言葉とともに多数あったと打ち明けた。
要望は、明日以降にキャンセルを検討している客に向けたもので、「明日以降もきっと多くの連絡をいただくでしょう。でも申し訳ないと思わないで欲しいのです。本当にすごい雪なんです、新潟市は。地元民がびっくりするくらいの」と背景を説明している。ツイッター担当者はこの日の帰宅は「命がけ」だったと切迫した状況を伝えており、「大型トラックですら道にハマっていたり、バスが来ず徒歩で帰宅している方などたくさんいらっしゃいました」と知らせた。
「もし上司に怒られたら〜」については、上司や同僚の理解もあり、普段から個人の見解を投稿する例は少なくないものの、「スタッフとして『無理そうならキャンセルしていいよ!』なんて本当は言っちゃダメだよなと思いながらも発信させていただいたからです」と補足している。
"5つのお願い"には約1万以上の「いいね!」が押され、「大好きなホテルが一層好きになりました」「素晴らしいホスピタリティ」「短期的には収益減だろうが、長いスパンで見ればきっと収益にもつながるはず」と客目線での発信に多数の支持が集まった。「春になったら泊まりに行こう」「今度新潟行く時はホテル日航にしようこの人がいるなら行きたい」とファン獲得にもつながったようだ。
地元の酒蔵「今代司酒造」も反応し、「日航さんの優しさが染みます...そしてリプ欄も優しさに溢れていて、読んでいてなんだか涙出てきました...」と感無量の様子だった。
ツイッター担当者は翌20日、「昨夜のツイートにたくさんの方に見ていただけたようで感謝申し上げます。優しいお言葉と温かい心遣いにお迎えする側の私がとても励まされました」と感謝を伝えている。