足の親指の付け根が痛いで考えられる病気・原因は?医師が徹底解説!

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足の親指の付け根がズキズキと痛むと、日常生活や仕事などに影響が出てしまったり、原因が何か分からずに不安になったりすることがありますよね。ここではMedical DOC監修医が考えられる病気や原因、受診すべき目安などを解説します。

「足の親指の付け根が痛い」考えられる病気と対処法

足の親指の付け根が痛い場合、男性は痛風、女性は外反母趾が多いといわれますが、骨折や神経痛、糖尿病の影響など他に考えられる原因はさまざまです。原因を探り、早めの対処で痛みのケアや予防を心がけましょう。

足の親指の付け根がズキズキと痛む場合の原因と治し方

ある日突然足の親指の付け根がズキズキとひどく痛む、関節が赤く腫れる、という症状が当てはまります。1週間から10日間ほどで症状は落ち着きますが、しばらくすると繰り返し発症してしまうという特徴があります。
​​痛みのある場合は、患部を冷やし、安静にしましょう。机の上に足を置くなど、患部を高い場所に保ちましょう。
このような症状があれば、痛風発作が疑われます。痛風は、尿酸が体の中にたまり、それらが結晶化し関節で炎症を起こす病気です。30~50歳の男性に多く見られます。痛風の原因は、過食、アルコールの多量摂取、遺伝などが考えられています。放置すると発作が慢性化し、腎臓が悪くなったりします。痛風発作があればもちろん、発作がなくても健康診断で尿酸値が高いことが見つかった段階から早めに内科を受診しましょう。

片足だけ足の親指の痛み・腫れがある場合の原因と治し方

足の親指に痛み、腫れがある、内出血がある、押すと痛い、痛みが続くなどの症状が当てはまります。
まずは、湿布やカットバンなどで固定をし、痛む足を高い位置にあげましょう。氷を入れた袋などで15~30分程度アイシングをしましょう。
このような場合、骨折や疲労骨折をしている可能性があります。足の指の骨は小さいため、軽い力でも折れることがあります。転んだり、ぶつかったりするほか、爪先立ちで体重が乗って骨折することもあります。ランニングやジャンプ動作などの繰り返しの負荷が原因で疲労骨折する可能性もあります。骨折を放置するといつまでも痛みが続いたり、骨が変形たまま癒合することもあります。痛みが1週間以上続く場合は、整形外科を受診した方がいいでしょう。

女性のハイヒールや先端の尖った靴により足の親指に痛みを感じる場合の原因と治し方

ハイヒールや先端の尖った靴を履いた時、足の親指に体重がかかって痛い、足の親指の付け根が赤く腫れる、靴に当たる部分が痛いなどの症状が当てはまります。足の親指の先が人差し指の方に「く」の字型に変形したり、足裏にタコができることもあります。
このような症状を予防するために、足の親指の付け根はフィットして、先はゆったりとした履物を選ぶようにしましょう。また、足の指をグー、チョキ、パーのようにと開く運動をしましょう。
このような症状がある場合、開帳足や外反母趾が疑われます。
開帳足とは、足の5本の指の付け根を横に結ぶアーチの形が崩れて、足の指が横に広がってしまう状態です。ハイヒールやパンプスを履く女性に多く見られ、女性の約9割は開帳足の傾向があるといわれています。開帳足は放置すると足の親指が小指側に変形する外反母趾、土踏まずが潰れ足裏が平らになる扁平足、痛みを伴う中足骨骨頭痛などを引き起こすこともあります。ハイヒールを履くと、足の指がある前の方に体重が集中してかかります。裸足の時にかかる体重と比べ、4センチのヒールを履いた時で1.5倍、9センチのヒールで約3倍もの体重が前足部にかかると言われています。その結果、このような足の変形につながり、痛みや腫れを引き起こします。
症状が改善傾向にない場合には、早めに整形外科を受診しましょう。

ちいさな子供が足の親指の付け根に痛みを感じている場合の原因と治し方

子どもが、足の親指の付け根に痛みを感じることがあります。歩くと痛い、体重をかけると痛い、運動すると痛い、押すと痛い、腫れるなどの状態を指します。
運動をしている場合は、中止して安静にしましょう。
このような場合、フライバーグ病や外反母趾、成長痛などが疑われます。
フライバーグ病とは、足の付け根の骨が微細な外傷を繰り返すことで潰れてしまう病気です。指の付け根の周囲に痛みが生じ、痛みが残りやすいといわれます。10歳代の女性に多く見られます。
症状を予防するには、足に合っていない靴を履くのはやめましょう。小学生では運動量は増えていきますが、足の構造は大人のように強くないため、足を保護する靴を選ぶことが大切です。靴は、平坦な靴底で足指の踏ん張りが利きやすいもの、つま先は1cm弱くらいの余裕があり、かかとを上げた状態でも5mmは隙間のあるものを選ぶといいでしょう。
子供の治癒力は大人よりも優れていますが、放置したために骨折がなかなか治らない場合や、成長障害や変形をきたすことがあります。痛みや腫れ、変色がある場合は、早めに整形外科を受診してください。

足の親指を反らせたときに痛む場合は、『強剛母趾』の可能性あり⁉

強剛母趾(きょうごうぼし)とは、足の親指の付け根の関節の軟骨がすりへったり変形し、スムーズに動かなくなったり、痛みや腫れを起こしたりする病気です。強剛(きょうごう)とは関節が動かなくなることで、母趾(ぼし)とは足の親指のことをいいます。
原因としては、靴の影響、繰り返しの小さな怪我、骨の形態異常などが挙げられます。中高年の女性に多くみられます。
症状は、足の親指の付け根の関節に痛みと腫れが生じます。特に、親指を上に反らせるときに痛みが強くなる特徴があります。歩き出しは親指を上にそらす状態になるので、痛くて歩けなくなることもあります。関節に骨棘(こつきょく)という骨の棘(とげ)のようなものができ、靴に当たって痛みを生じる場合もあります。進行すると動く範囲が狭くなり、親指が全く曲がらない状態になることもあります。
強剛母趾かどうか、自分でチェックする方法をご紹介します。親指を上に反らせたときに痛みがある、親指の付け根の関節が腫れている、硬い隆起ができている場合は注意が必要です。
主な診療科は整形外科です。親指の付け根の痛みは外反母趾や痛風による関節炎の可能性もあるため、それらの病気との鑑別も行います。
ひどく痛むときは、痛みのある部分を安静にしましょう。靴は親指が圧迫されないよう余裕があるもの、指がそりにくくなるよう靴底が硬いものを選ぶといいでしょう。

足の親指が「く」の字に曲がっている場合は、『外反母趾』の可能性あり!?

外反母趾(がいはんぼし)とは、足の親指の先が人差し指の方に「く」の字に曲がる病気です。主な原因はハイヒールなどの合わない靴、関節リウマチの合併症、扁平足などです。男女比は1:10と女性に圧倒的に多く見られます。年齢は10代から高齢者まで幅広く、30~50代で悪化することが多いです。
外反母趾になると、足の親指の先が人差し指側に曲がり、親指の付け根の関節が内側に突き出てくるなど足の形が変形するという症状が現れます。突き出ている部分が靴に当たって痛む、突き出ている部分を押すと痛む、歩くときに痛みがある、靴を履くと違和感がある、痛みがあるなどの症状が現れることもあります。進行すると靴を脱いでも常時痛んだり、足の裏にタコができたり、親指が人差し指や中指の下に入り込み関節が脱臼したり、爪に負荷がかかり巻き爪になったりします。
外反母趾かどうかを自分でチェックする方法をご紹介します。足の親指が人差し指の方に曲がっている、靴を履くと足の親指の付け根が痛む、赤く腫れている、足の親指の飛び出しを指で押すと痛む、足の裏にタコができるなどの場合には注意が必要です。親指が外側に曲がっている角度が20度以上だと外反母趾といえます。40度以上で重症の外反母趾と言えるでしょう。
痛みがある場合は、患部を冷やしましょう。冷湿布や、ビニール袋に入れた氷を15~20分ほど当ててみると痛みが和らぐ可能性があります。履く靴は先がゆったりとしたものを選びましょう。しかしこれらはあくまで応急処置ですので、根本的な治癒にはつながりません。外反母趾は自然治癒しない病気なので早めに整形外科を受診するといいでしょう。

足の親指の付け根の裏側が痛む場合は、『種子骨障害』の可能性あり!?

種子骨とは足の親指の付け根の足裏側にある種のような形をした2つの骨のことです。母趾種子骨障害とは、この種子骨の炎症や骨折によって痛みが出る病気のことをいいます。
歩いたり走ったり踏み込んだ時など、足に体重がかかる時や足の親指を上に反らす時に足の親指の付け根の裏側に痛みがあります。押したり、反らせたりすると痛みが出ることもあります。
母趾種子骨障害かどうかを自分でチェックする方法をご紹介します。足の親指の付け根の関節の足裏側に腫れや痛みがある、足の親指を反らすと痛みが強くなる場合は注意が必要です。
まずは、安静にすることが大切です。原因となったスポーツや活動を制限し、アイシングをしましょう。衝撃吸収性の靴底を持つ靴を履くことも良いでしょう。早めに整形外科を受診してください。

自分でできる足の親指の付け根の痛みの対処法・予防方法

初期の外反母趾は自宅のケアやストレッチで進行を予防することが期待できます。早ければ10代で発症し、ハイヒールを履く人は30-50代で悪化しやすいといわれている外反母趾、早めのケアで快適な生活を目指しましょう。

おうちでできるテーピングやストレッチで足の痛みの処置

外反母趾が足の親指の痛みの原因の場合は、まず靴を見直しましょう。足の親指の付け根がフィットして指先はゆったりした形で、ヒールは低く、柔らかい素材の靴がいいでしょう。職場でどうしてもヒールのある靴を履かなくてはいけない場合も、自宅や通勤の間は靴を変えるなど工夫して見ましょう。
ゴム紐を両足の親指にかけて離す方向に力を入れるストレッチで、軽い外反母趾なら痛みが和らぐ効果が期待できます。床に座り、足を揃えて並べ、ゴムの輪っかを両方の足の親指にかけます。かかとをつけたまま足先は外に回転するように倒し、お互いの足の親指でゴムを引っ張る動作を繰り返します。回数は30回を1日3セットが目安です。
そのほか、足の指でグーパーを作って指を開く運動や、椅子に座って床にタオルを置いて両足の指でタオルをつまみながら寄せるストレッチもいいでしょう。
自宅でできるストレッチは外反母趾の進行を予防することはできても、治療することはできません。また、痛みの原因が外反母趾でなかったり、骨折が原因だった場合ストレッチは逆効果です。痛みの原因がわからない場合や、痛みがひどい場合、日常生活に支障がある場合は医療機関を受診しましょう。

足の親指の付け根が痛いときに飲んでも良い市販薬

痛みが強く、すぐに医療機関を受診することが難しい場合は、市販の鎮痛薬を使用するのもいいでしょう。
ロキソプロフェンを有効成分が配合されている鎮痛薬は効き目も早く、眠くなりにくい鎮痛剤です。15歳未満の小児でれば、アセトアミノフェンが有効成分に配合されている鎮痛薬を使うようにしてください。
痛風発作が痛みの原因の場合、アスピリン(アセチルサリチル酸)が有効成分に配合されている薬剤を服用すると症状を悪化させますので避けましょう。
痛みの原因がはっきりとわからない場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

「足の親指の付け根が痛い」考えられる病気と特徴

足の親指の付け根が痛む症状から医師が考えられる病気は17個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

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陥入爪

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足関節外靭帯損傷

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種子骨障害

リスフラン関節損傷

爪や骨の変形が原因である疾患

多くの場合、爪の切り方や靴選びなど日常生活習慣で予防することが期待できます。

外反母趾

巻き爪

陥入爪

モートン神経腫

中足骨骨頭痛症

開帳足

全身性の病気が原因となっている疾患

痛風

関節リウマチ

全身性エリテマトーデス

糖尿病

スポーツ外傷によるもの

痛みが改善しない場合には靭帯損傷や骨折の可能性があるため、早めに受診して検査をした方が良いでしょう。

足関節外靭帯損傷

変形性足関節症

中足骨痛

骨折

疲労骨折

種子骨障害

リスフラン関節損傷

まとめ

足の親指の付け根が痛い時に考えられる病気は、足の指の形が変形しているもの、関節に炎症が起きているもの、神経の障害によるものなどさまざまあります。自分で原因が分からない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。