アリババはシンガポールを東南アジア事業の地域拠点に位置づけている(写真はシンガポールの中心ビジネス街)

中国のEC(電子商取引)最大手のアリババは、シンガポールに63階建て、高さ305メートルの超高層ビルを建設する。

シンガポールの不動産開発会社、ペレニアル・ホールディングスが主導する企業コンソーシアムとの共同事業で、建設地は中心ビジネス街のシェントン・ウェイ。2028年の竣工時には同国で最も高いビルとなる。

現地経済紙のビジネスタイムズの報道によれば、「シェントン・ウェイ8番地」と呼ばれる建設プロジェクトはすでにシンガポール都市再開発庁の認可を取得した。オフィス、店舗、住宅、ホテルなどが入居する複合ビルとして計画され、総建築面積は約15万平方メートルに上る。

アリババは事業の海外展開を2013年から本格的に開始。なかでも東南アジアに力を入れており、シンガポールを地域拠点に位置づけている。

同社の子会社でクラウドサービスを展開する阿里雲(アリババ・クラウド)は、2015年に東南アジアの地域本部をシンガポールに設置。これまでにマレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピンなどにデータセンターを建設してきた。

東南アジアのネット企業に積極投資

アリババは現地のネット企業にも積極投資している。2016年にはシンガポールに本拠を置き東南アジア各地でEC事業を展開するラザダと、インドネシアのEC最大手のトコペディアを相次いで買収した。

その後、トコペディアは配車アプリ大手のゴジェックと2021年に合併し、インドネシア最大のネット企業GoTo(ゴートゥー)が誕生した。

そのほかにも、アリババは祖業である企業間国際ECサイトや、物流子会社の菜鳥(ツァイニャオ)のサポートチームをシンガポールに置く。


本記事は「財新」の提供記事です

アリババおよび傘下のフィンテック大手の螞蟻集団(アント・グループ)は、現在は2022年4月にオープンしたラザダの新本社ビルに現地チームを入居させている。

関係者によれば、シェントン・ウェイ8番地の竣工後にアリババのチームはそちらへ引っ越し、アントは別の場所に独立してオフィスを構える予定だという。

(財新 駐シンガポール記者:楊敏)
※原文の配信は8月9日

(財新 Biz&Tech)