復興バブル？出張族が支える仙台・国分町の夜 - BLOGOS編集部
※この記事は2012年07月20日にBLOGOSで公開されたものです
東北地方最大の歓楽街、仙台国分町。「復興バブルだ」「全国から女の子が集まっている」そんな話を聞いて久しいが、震災から1年以上経った今、夜の景気はどうなっているのか。完全自腹で編集部員は夜の街へ取材に向かった・・・【取材：BLOGOS編集部 永田正行：田野幸伸】年末はものすごい人だった
雨のせいもあってか、人通りはそんなに多くない。居酒屋の店員たちが、傘をさしながら呼び込みを続けている。まず話を聞きに入ったのは、全メニュー500円というリーズナブルなガールズバー。20席ほどの店内は、半分ほど埋まっていた。バーテンの女性が話を聞かせてくれた。「バブルのピークは去年のお盆まで、最後のピークは12月15日から年末までかな。それはものすごい人だった。夜の街にお金を落としてくれたのは、自衛隊の後に来た、損保や生保などの保険屋さん。そして、ボランティアの人たちなどが遊びに来てくれた」
保険会社の方々は、羽振りが良かったらしい。
「社員旅行などを東北に振り変える企業も多くて、みんなで夜の街に繰り出してくれた。最初のころはホテルが取れなくて、飲んで、漫画喫茶に泊まってボランティアという方もいた。本当にありがたかった。」
最近の景気について聞くと
「新しいお店も増えたけど、もう潰れちゃった所もある。甘くないよ。」
復興バブルはだいぶ前に落ち着いていたことが分かった。ボランティアの方々も、積極的にお金を使ってくれたとの事。頭が下がる。
礼を言って2件目はナイトクラブへ。話してくれたのは、自らも仙台で被災したと言う20代の従業員さん。
「今はすっかり落ち着いて普通に戻った。変わったのは、被災地の方もお店に来るようになったこと。同じ被災者だから、ツラさもわかる、息抜きしたいのもわかる。被災地は地元で仕事が無いから、仙台で単発の仕事をやって帰りに寄ってくれる。
・・・でもこの前、家族で自分ひとりだけ生き残って、どうしたらいいんだという若いお客さんがいた。 さすがにどうしていいかわからなかった。」
本当はあんなもんじゃない
メディアの報道にも、疑問を持ったようだ。「私の母方の親戚、津波にさらわれて1週間後くらいに見つかったが、上半身だけだった。 テレビで見るのと実際は違う。放送で流すのは穏やかな映像。本当はあんなもんじゃない。こっちには、伝えられない悲惨な状況があふれている。」
最後に
「みんなもう被災地を忘れ始めているのは分かっている。だから今取材はありがたい。」
と言ってくれた。
他の従業員も、皆さん被災されていた。
ボーイさんは
「震災当日は信号が停電で消えていて、帰りの運転がとにかく怖かった。」
家で猫を飼っているという店員さんは、
「猫は緊急地震速報より反応が早い。寄り添いにきて、耳がピンと立ったら揺れる。何度も揺れたから、猫も敏感になっていたみたい。」
ママさんに聞くと、
「ガスの復旧は遅かった。でも料理する食材もなかったから、そんなに困らなかった。」
「お店は月曜日はヒマ。火曜から木曜はほとんど出張のお客さん。地元の人が週末に来る。 特区が出来て、税金優遇されるとかで、起業の視察に来る人も多い。とにかく仙台に来てほしい。」
仙台の夜を支えているのは、県外からのお金も大きい。この夏、ぜひ東北旅行へ行って、美味しい物を食べながら地元の方と話しをしてみてはいかがだろうか。我々も、次回はプライベートで国分町へ再来する事を誓うのであった。
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