※この記事は2011年10月31日にBLOGOSで公開されたものです

30日付英FT紙は野田首相へのインタビューを掲載した。


日本の首相に一つの民間企業の問題について見解を問うことは珍しいことであるが、野田首相もこの件についてコメントすることが不適切な可能性があるとしながらも、「私が懸念していることは、世界の人々がこの一つの日本企業の事件から"日本は資本主義のルールを守らない国だ"という一般化した話を始めないかということだ。」と、この質問に応じている。

大王製紙の問題も"The Other Japan Inc. Scandal"と報じられる中、発言の背景にはこうした一部の企業で起きている問題が、海外において「日本企業に横たわるガバナンスの問題」と一般化されることに対する危機感があるものとみられる。

オリンパス社のスキャンダルについては、日本の雑誌・ウェブメディアや海外メディアが報じる一方で、日本の大手メディアの報道が後手に回りがちな展開に批判の声も出ているが、こうした首相のコメントを引き出したのはまたも海外メディアとなった。

なお、オリンパス社の３１日の株価は、政府・日銀の円売り単独介入で一時日経平均が9100円台に乗る中、前営業日の終値とほぼ変わらず推移している。（BLOGOS編集部・野村／FT抜粋・清水）

Japan PM’s fears over Olympus scandal - FT.comから一部抜粋
日本の野田佳彦首相はカメラメーカー、オリンパスの一連の物議をかもしているFAなどに対する報酬の支払いについて、ルールに則った日本のマーケットの信頼を失墜させる恐れがあるとして、釈明を要求した。

フィナンシャル・タイムズのインタビューの中で野田首相は日本の政策立案者や財界要人の中では、このスキャンダルがより大きなガバナンスや法令の問題に広がるのではないかという懸念が高まっていることを強調した。野田首相は「私が懸念していることは、世界の人々がこの一つの日本企業の事件から"日本は資本主義のルールを守らない国だ"ということを一般化し、話始めないかということだ。」と述べた上で、野田首相は「日本社会はそのような社会ではない。」と答えた。

日本の首相が民間企業の事件に関してコメントすることは異例だが、オリンパスは今月マイケル・ウッドフォード氏を社長から解任してから国際的な厳しい追及にさらされている。

野田首相は首相が民間企業に関してコメントすることはもしかしたら不適切なのかもしれないと語った上で、オリンパスは問題の支払いについて第三者委員会を設立し、精査することを表明しているとした。「私はオリンパスに真実を明らかにし、この問題に対し適切な行動をして欲しい」と語った。

日本の大手資産運用会社の代表は「世界が一般の日本の企業はオリンパスの様だとひとまとめにしないようにしてもらいたい」と語る。そして、彼は先の１０年で日本のコーポレート・ガバナンスの水準は飛躍的に発展したと説明した。（記事から一部を抜粋）