トヨタのマークXとカムリ。両車は4ドアセダンのため、パトカーとしても多用されていますが、警視庁には警察車両とは思えない外観を持つ車体が存在します。

警視庁にしかないコワモテ覆面パトカー

 一見すると警察車両に見えない覆面パトカー。なかでも高速道路や幹線道路などで、交通違反に目を光らせているのが「交通取締用四輪車(反転警光灯)」と呼ばれるタイプです。

 名称のとおり、ルーフに反転式の警光灯(赤色灯)を搭載しているのが特徴で、最も数が多いのはトヨタ「クラウン」がベースの車体です。ただ一方で、都道府県の予算で独自に導入した車種も存在し、なかには警察車両とは思えないような「カスタマイズ」が施されたものもあります。


警視庁のカムリWS TRD仕様の覆面パトカー(柘植優介撮影)。

 その代表例として挙げられるのが、警視庁に配備されているトヨタ「マークX」と「カムリ」でしょう。両車とも東京都の予算で独自に調達されたもので、トヨタ純正のエアロパーツを付けており、パっと見ではクルマ好きがドレスアップした車両にしか見えません。

 前者は、マークXのなかでも「+M SuperCharger(スーパーチャージャー)」と呼ばれるタイプで、エンジンは排気量3500ccのターボ付きを搭載しており、外見はトランクスポイラーまで装着したフルエアロ仕様になっています。

 一方、後者はカムリのなかでもWSと呼ばれるハイブリッドタイプの「TRD仕様」で、こちらはフルエアロに加えてガンメタリックカラーのホイールも履いているため、前出のマークX+M SuperCharger以上に覆面パトカーに見えない外観となっています。しかもフロントとリア、両方のバンパーにはコーナーセンサーらしきものも。こうなると、もはや知らない人が見たら個人所有の一般車と見間違えてもしょうがないほどです。

数少ない覆面パトとわかるポイント

 ただ、それでも覆面パトカーだと認識できるポイントが、ルーフの構造にあります。

 交通取締用の覆面パトカーとして、反転式の警光灯(赤色灯)を装備しているため、ルーフ中央に切り欠きがあり、なおかつ蝶番(ちょうつがい)が設けられています。加えてもう一つの特徴が、後方のユーロアンテナです。

 マークXの標準仕様は、この部分にアンテナがありません。一方、カムリはドルフィンアンテナ(シャークアンテナ)と呼ばれる背の低い流線型のアンテナが標準です。加えて、よく見ると棒型のユーロアンテナ基部から黒いケーブルが、リアガラスに向かって伸びています。純正であればそのような配線が露出することはありません。


警視庁のマークX+M SuperChargerの覆面パトカー(柘植優介撮影)。

 このようにルーフ上を確認することで見分けることは可能です。とはいえ、走行中や夜間に、識別するのは非常に困難でしょう。交通取締用の覆面パトカーなので、交通法規を順守して標識や規制に従って走っていれば、必要以上に恐れる必要のない警察車両です。

 逆に、もし見かけたら「レア車発見」ぐらいに思って安全運転を心がけましょう。