日本人の食に欠かすことができない「梅干し」をあえて主役に!? | 食楽web

 和食、弁当、おにぎりなどではサブ的な印象もある一方、日本人の食に絶対に欠かすことができない「梅干し」。この「梅干し」を主役にし、「梅干し」だけをメインメニューにしたお店が東京スカイツリータウン・東京ソラマチの中にあります。その名もズバリの『立ち喰い梅干し屋』というお店です。

(食楽web)

 東京スカイツリータウン・東京ソラマチのイーストヤードにある『立ち喰い梅干し屋』は、店頭では日本全国から取り寄せられた数々の「梅干し」が販売されていますが、店奥のカウンターでは、「梅干し」をお茶、お酒、お茶漬けなどと合わせていただける仕組みです。「梅干し」好きにはたまらないはずですが、その味を確かめるため、お店でアレコレと食べてみることにしました。

様々なメニューの「梅干し」は、16種類から選ぶことができる!

16種類のメニュー表

 店頭でいただける「梅干し」は以下の16種類になります。

・すっぱい梅 ・杉田梅 ・十郎梅 ・石川一号 ・三年梅 ・なちゅら ・辛子梅太子 ・鶯 ・はちみつ ・燻製 ・こんぶ ・焼き梅 ・キムチ ・オリーブオイル漬 ・みかん梅 ・しらら

『立ち喰い梅干し屋』で提供される様々なメニューを注文する際、これら16種類の中から好みの「梅干し」を指定しいただく仕組みです。「梅干し」の味を表現する場合、「酸っぱい」「塩っぱい」など簡単な言葉でまとめてしまいがちですが、これほどの種類を前にし、味わいにはもっと奥深いものがあるはずだと直感しました。

個性的な「梅干し」の数々を、お酒・お茶と合わせて食べてみた!

「梅干しとお茶のお酒」(『しらら』を指定)850円(税別)

 というわけで、まず「梅干しとお茶のお酒」(850円・税別)をオーダー。肝心の「梅干し」は「しらら」を指定しました。

 お茶っぱを漬け込みリキュールにしたお酒をまずはグイッと。濃厚でウイスキーのような奥深い味わいにほのかな甘さが印象的なお酒です。この味に合わせていただいたのは、「梅干し」の「しらら」。程よい酸味の奥に甘みを感じる優しい味でした。「梅干し」が苦手な人でもきっといける柔らかい味わいでした。

「梅干しとお茶」(『すっぱい梅』を指定)450円(税別)

 続いて、「梅干しとお茶」(450円・税別)をオーダーし、「すっぱい梅」を指定。さらに「三粒とやさしい焙酒」(税別1300円)もオーダーし、こちらでは「キムチ梅」「燻製梅」「杉田梅」を指定しました。

「梅干しとお茶のお酒」でいただいた「しらら」が優しい味わいだったので、あえて真逆をいくようなもの、個性的なものを指定しました。まず「梅干しとお茶」で指定した「すっぱい梅」は見た目からして塩味が強そうな色味ですが、一口食べると、尖るような強い酸味が口の中に広がります。かなり強い主張ですが、クセになる味であり、お口直しでいただくお茶との繰り返しによって十分な満足感を得られました。

「三粒とやさしい焙酒」(『キムチ梅』『燻製梅』『杉田梅』を指定)1300円(税別)

 また、「三粒とやさしい焙酒」で指定した「キムチ梅」は、酸味や辛味は少なく、甘めのキムチだれで漬け込んだような味で、旨みが強いものでした。「梅干し」とキムチの意外なマッチングが楽しい一品でした。

 さらに「燻製梅」は燻製の効果か、ほのかなとろみがあり、一粒食べると燻製特有の香ばしさと梅干しの酸味・塩味がベストマッチ。これもまた斬新な味を楽しむことができました。

 そして「杉田梅」は、梅としその効果で酸味だけでなく強い梅の旨みを味わえる一品でした。おにぎりや弁当にあったらとめどなくご飯食べられそうな味です。もちろん、これらの斬新な「梅干し」もやさしい焙酒とのペアリングによって、それぞれの個性を美味しくいただくことができました。

シメはもちろん「梅茶漬け」で決まり!

「絶品梅茶漬け」(『辛子梅太子』を指定)650円(税別)

「梅干し」に次ぐ「梅干し」といった具合の『立ち喰い梅干し屋』ですが、最後のシメもやはり「梅干し」です。最後は「絶品梅茶漬け」(650円・税別)をいただきました。シメの「梅干し」として「辛子梅太子」を指定しました。

「絶品梅茶漬け」はご飯の上に、おかき、海苔、塩昆布といった具材が中央の主役となる「辛子梅太子」の「梅干し」の周りに配置されている見た目も美しい仕上がりです。

「辛子梅太子」を少々崩すと、赤みがお茶漬け全体に広がり、「梅干し」の風合いを存分に楽しむことができます。その味わいは、酸味の中に辛子が加わることで、旨みがさらに引き立ったような印象。前述の「キムチ」ともまた違うその味と食感が楽しく、最後まで「梅干し」尽くしを堪能することができました。

1000年以上の歴史を持つ「梅干し」の価値観を変え、多くの人に届けたい!

酸味と辛子によって「梅干し」の旨みを存分に味わえました

 ここまで色んな「梅干し」を口にしたのは生まれて初めてでしたが、同時に「梅干し」の奥深さを改めて思い知ることにもなりました。最後に『立ち喰い梅干し屋』の担当者の方に話を聞きました。

「日本全国300種類以上の梅干しを食べた中で、本当におすすめしたい16種類を厳選し、その『梅干し』とお茶を楽しんでもらえる場所、それが『立ち喰い梅干し屋』です。普段、脇役である『梅干し』を主役として楽しんでもらうことにこだわり、どうやったらこの『梅干し』一粒をおいしく食べていただけるかを私たちなりに考えています。

『梅干し』には1000年もの歴史があるのですが、たとえば『はちみつ梅』ができたのはだいたい46~47年前のことで、長い梅干しの歴史で見ると最近です。この『はちみつ梅』により、若い世代にもまた『梅干しの魅力』が届くようになりました。今では『キムチ梅』『こんぶ梅』『オリーブオイル漬け』など多種多様な味が出てきました。こんなにいろんな『梅干し』が楽しめるようになったのもまた、ここ30~40年の話です。今だからこそ味わえる味ですので、多くの方にぜひともこれらの『梅干し』を楽しんで欲しいと思っています。

『たかが梅干し、されど梅干し』というスローガンを掲げていますが、『梅干し』によって『豊かな気持ちになれる』と私たちは思っています。『梅干し』が好きな方はもちろん、苦手な方にも『梅干し』の価値観が変わるような体験をご用意しています。ぜひ『立ち喰い梅干し屋』で、あなた好みの『梅干し』を見つけてください」(『立ち喰い梅干し屋』担当者)

 近年は「減塩」傾向が強いせいか、スーパーや量販店などで流通する「梅干し」は味が控えめのものが多く並んでいます。そんな中、昔ながらの塩分強めの「梅干し」、個性的な「梅干し」を一挙にまとめていただける『立ち喰い梅干し屋』の試みは、画期的なもののようにも思いました。梅干しにこだわりを持つ方も、「梅干しはちょっと苦手」という方も一度足を運んでみてください。自分好みの「梅干し」と出会えるはずですよ!

(撮影・文◎松田義人)

●SHOP INFO

店名:立ち喰い梅干し屋

住:東京都墨田区押上1-1-2 東京ソラマチ 4F
TEL:03-5809-7890
営:10:00~21:00
休:なし
https://tachigui-ume.jp/