●『ZIP!』ドラマで“火曜日の主役”に

日本テレビ系情報番組『ZIP!』(毎週月〜金曜5:50〜)で放送されるドラマ『サヨウナラのその前に Fantastic 31 Days』(3月1日スタート、7:50頃 ※全23話)。隕石衝突による地球最後の31日間を、月曜から金曜まで曜日ごとに視点を入れ替えて描き、5人の主役がリレー形式で紡ぐ作品だが、この“火曜日の主役”を演じるのが、俳優の奥平大兼だ。

デビュー作の映画『MOTHER マザー』(2020年)で第44回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞すると、その後も様々な作品で着実にキャリアを重ね、役者として勢いに乗る奥平。今作への意気込みや、朝の習慣、将来への展望など、話を聞いた――。

『サヨウナラのその前に Fantastic 31 Days』に出演する奥平大兼 撮影:蔦野裕


○■ステイホーム直前まで反抗期「危なかった」

曜日ごとに異なる主人公が存在し、それぞれの視点で描かれるという今作に「初めての体験で、お芝居の形とかが変わるのかなと想像しつつも予想できないので、自分にできることを最低限やって、現場で流れをつかんでやっていければ」と語る奥平。台本を読んで、「地球が滅亡するというSFのような感じですが、出てくる人たちのお話はぶっ飛んでなくて、リアルで現実味があるので、だからこそお芝居するのが楽しみです」と、期待を膨らませたという。

“夕方のニュースでは、毎日冒頭で隕石と地球の距離が発表される”という劇中の世界は、新型コロナウイルスの感染者数が夕方に毎日伝えられる現実とのリンクも感じさせるだけに、「この2年間、生活に関わることに対する考え方が結構変わったので、こういうご時世だからこそ共感できるところもあると思います」と話す。

中学時代は「親と一緒にいたくないとか、家にいたくないという時期があったんです」と反抗期に。それが終わって落ち着いた頃にコロナ禍に突入し、家で過ごす時間が多くなると、「やっぱり、いざというときに家族の存在が大きいなと感じました」と再確認し、「反抗期とコロナが重なってたら最悪でした(笑)。危なかったです」と、ホッとした様子だ。

『ZIP!』はリビングで見ている番組なだけに、今回の出演に「家族が『おーっ!』ってなりました(笑)」と反応があったそう。視聴者に向けて、「火曜日は僕を見ていただきたいんですけど、他の曜日になるとその主演の方から見る僕という視点になると思うので、そういうのを楽しみつつ見ていただけたら」と呼びかけた。

○■睡眠時間が削られても「お風呂に入らないと気持ち悪い」

毎朝同じ時間に放送される今作だが、自身が毎朝やることを聞くと、「絶対お風呂に入ります」と回答。「夜も入るし、朝起きて髪の毛がぐちゃぐちゃなわけでもないんですけど、お風呂に入らないと気持ち悪いんです」という。

そのきっかけは、「もともと髪の毛がくせ毛で立ってて、中学に入ったら先生に『お前、その髪セットしてるだろ』って注意されたんです。『本当にしてないんです』って言ってたんですけど、僕が先生側でも信じないだろうなと思ったくらいだったので、どうにかくせ毛を直そうと思って、毎朝頑張って時間をかけてお風呂で髪を洗うというのを習慣にしてたら、くせ毛が直っても朝お風呂に入る習慣が抜けなくなったんです」とのこと。

音楽を聴きながら1時間近くも入浴するため、「朝5時に家を出るときがあったら、準備とかも含めて3時半とかに起きなきゃいけないんです」と睡眠時間が削られるが、「それでもお風呂に入らないと気持ち悪いんですよね」と、欠かせないルーティーンに。仕事や学校のない日だと、朝、昼、夜と3回風呂に入るそうで、「シンプルにお風呂が好きなんでしょうね(笑)」と自己分析した。

●相手の芝居を変える役者になりたい



今回演じる椿木宙は、“誰しもが想像しなかった角度からのコメントに周囲の人間が揺らされる”というキャラクター。自身も共感する点があるといい、「美術関連のものが結構好きで、そういう人たちの話を聞いていると『この人は何を考えているんだろう?』や『変わった角度から行動しているな』と思ったりするんです。僕も変なことを考えるのが結構好きで、誰もが興味を持たないだろうなというものに対してあえて興味を持ってみるということをしたりします」と明かす。

こうした美術分野への興味や、洋服作りを手がけるなど、好奇心旺盛なだけに、「それこそ『1カ月後に人類が滅亡します』というときに、役者だけをやっていて死にたくないというか、せっかくだから違うこともして生きていきたいと思うので、自分の好きなことを仕事じゃなくても何かしら行動できたらいいなというのは、結構考えます」と意欲。様々なジャンルに触れて感じ取ることで、「お芝居にも結構役立つかもしれないですし」と、肥やしになることを想像する。

一方で、役者の道においては「最初に出演した映画(『MOTHER マザー』)で長澤まさみさんとお芝居をさせていただいて、2人のシーンで『ここは泣けたらいいね』と話していたんですが、泣くのが苦手で(本番前の)テストではできなかったんです。それで、泣くのを我慢する芝居をすることにしたんですが、本番で長澤さんの芝居を見たら本気で泣いてしまって。ちょっと恥ずかしかったんですが、相手のお芝居を変えるというのがすごいことだと思ったんです。僕もそういうことができる役者になりたいという気持ちが、もっとお芝居をやりたいと思い始めたきっかけだったので、そんなシーンに出会えることが目標です」と力強く語った。



●奥平大兼2003年生まれ、東京都出身。20年公開の映画『MOTHER マザー』にオーディションからメインキャストに抜てきされ、第44回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。その後、『恋する母たち』(TBS)、『レンアイ漫画家』(フジテレビ)、『ネメシス』(日本テレビ)などのドラマに出演する。今年は『サヨウナラのその前に Fantastic 31 Days』(日本テレビ)のほか、ドラマ『卒業式に、神谷詩子がいない』(同)、『早朝始発の殺風景』(WOWOW)の放送、映画『マイスモールランド』の公開が控える。

スタイリスト/小林祥子

ヘアメイク/荒井智美