高梨沙羅選手(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

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北京オリンピックのスキージャンプ女子ノーマルヒル代表・高梨沙羅選手(25)のメイクをめぐる報道に注目が集まっている。SNSでは、各界の著名人から高梨選手への擁護コメントが相次いでいる。

「表に出てこない努力や苦しみ、色んなことみんな乗り越えてあの舞台にいるんだよ」

高梨選手は2022年2月5日に行われたスキージャンプ女子ノーマルヒルに出場。惜しくも4位となり、2大会連続のメダルを逃した。

高梨選手は、15歳でワールドカップ(W杯)に初優勝して以来日本のエースとして活躍している。当時は素朴なイメージだった高梨選手だが、年齢を重ねメイクした姿で試合に出場するようになると、SNSなどで「チャラチャラしている」「調子に乗っている」といった心無いコメントが投げかけられるように。以来、たびたびメイクやファッションなどに関する批判を浴びてきた。

今回の試合後もこうした批判の声が散見されたことから、スポーツメディア・REAL SPORTSは6日、「高梨沙羅へのメイク批判は正当か?『メイクしている暇があったら練習しろ』の大きな間違い」と題した記事を公開し、高梨選手への批判に反論した。

アスリートビューティーアドバイザー・花田真寿美さんによる同記事では、選手への取材を交えアスリート選手のメイク・ファッションが生むメリットを解説した。アスリート選手は自信を持って競技に挑むことが重要であり、メイクやファッションへのこだわりがパフォーマンスの向上を生むことも多いという。

報道を見た各界の著名人からも、高梨選手を擁護するコメントがツイッターで相次いでいる。

元レスリング世界女王のダルビッシュ聖子さんは、同記事を紹介するツイートを引用し、メイク批判に反論した。

「見る所そこじゃない お化粧なんて中学生でも始めるでしょ。なぜ成人のアスリートはしちゃダメなの?笑 そういえば高校生の時の方がお化粧頑張っていたな、私。まつ毛の上がり具合が命でした。笑 そんな批判書く前に、もっと目を向けるべき事があるはず。そんな人ほど自分に集中しましょう」

続けて、アスリートに心無いコメントをかける人々を制しつつ、アスリート達に向け応援のメッセージを送った。

「選手の人生、生活の中に競技がある。選手のその人なりの生き方を尊重しましょう? 彼女達を幸せにするのは顔の見えない誰かじゃない、彼女達自身しかできない。批判して人を不快な気持ちにさせるより、もっとハッピーにするような事をした方が何倍もいいのに。表に出てこない努力や苦しみ、色んなことみんな乗り越えてあの舞台にいるんだよ。そんな選手達に言える事はただ一言、がんばれ!」

「人のことが気になる人は、まず自分を沢山癒してみて」とも投稿している。

「僕らだったら、髭剃るな!とか、髪を整えるな!とか、眉毛いじるな!とか」

総合格闘家で政治家の須藤元気さんは、自身の経験を振り返り以下のようにコメントしている。

「僕も格闘家の頃『入場パフォーマンスしてる暇があったら練習しろ』とよく言われていました。しかし、パフォーマンスがあったから自分らしい闘いが出来たと思います。アスリートの皆さん、大胆に自分らしさを表現して頑張ってください」

サッカーJ2のV・ファーレン長崎に所属するFW都倉賢選手は、ユーモアを交え批判を一蹴した。

「本当にこのトピックのような批判があるんですか?!僕らだったら、髭剃るな!とか、髪を整えるな!とか、眉毛いじるな!とかそんなイメージですかね?! サンドウィッチマンの言葉を借りるなら『ちょっと何言ってるかわかんない』」

東京パラリンピック競泳日本代表の辻内彩野選手も、アスリートのモチベーションに触れつつ持論を展開した。

「モチベーションがあがるのならメイクをしてもいいだろうし、ネイルやピアス、染めるのだっていいと思う 日本代表として対応や態度が相応しくなければ批判される 批判するところがないからメイクしていることをアスリートらしからん!って批判するんだろうなぁ... 批判する時間あるなら応援をしてね!」

「過去に"そんな暇あったら楽器練習しろ"ってよく批判された」

アスリートに限らない。ロックバンド「X JAPAN」のYOSHIKIさんは「メイクするのは個人の自由 モチベーションが上がるし、いいと思います」とした上で、派手なメイクやヘアスタイルを特徴とする「ヴィジュアル系」ロックバンドとして大ブームを巻き起こした自身らも、過去にメイク批判を受けたことを明かした。

「ロックバンドやってる俺達でさえ、過去に"そんな暇あったら楽器練習しろ"ってよく批判された。選手の皆さん応援しています。頑張ってください!」

参議院議員の田島まいこ氏は、高梨選手のメイクをめぐる批判は、女性議員として抱く違和感に通じるとした。

「メイクしている暇があったら駅頭に立て。読んでいて、女性政治家のそれとかぶってしまった。どの職業も、女性が活躍するには困難が多くて」

モデルでタレントの益若つばささんは、全ての人にメイクやファッションなどを楽しむ自由がある旨を主張した。

「メイクやスキンケアファッションを取り入れると、鎧を着たような少し強くなれたような気がして、自分を昨日より好きになれる。アスリートの方も、普段やる事多くて忙しい方も男女年齢問わず全人類好きに変身して自分を楽しんでもいいと思う。すっぴんダル着だと誰にも会いたくないし猫背だから不思議」