【▲ 6月30日に北海道・大樹町のIST社で公開された「TENGAロケット」(Credit: インターステラテクノロジズ社)】


株式会社TENGAとインターステラテクノロジズ社(以下IST社)は6月30日、両社が共同で取り組む「TENGAロケットプロジェクト」のもとで今夏の打ち上げを目指す「TENGAロケット」が完成したことを発表するとともに、その機体を公開しました。


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TENGAロケットはIST社が開発と製造を行う観測ロケット(サウンディングロケット)「MOMO」の6号機にあたり、TENGAをイメージした赤いカラーリングが施されています。機体は従来型の「MOMO」にエンジンシステム全体の改善、ノズルの材質変更、アビオニクス(航空電子機器)の構成変更といった改良を施した新型の「MOMO v1」が使用されます。


MOMOは打ち上げから120秒後の高度40kmでエンジンの燃焼を終了し、その後は慣性飛行で高度100km以上の宇宙空間へ到達します。地球を周回する軌道への投入は行われず、最高高度へ到達した後は海上へ落下する「弾道飛行」を行うロケットです。


TENGAプロジェクトではペイロード(搭載物)のひとつ「TENGAロボ」を宇宙空間で放出し、海上での回収が試みられます。宇宙空間でのペイロード放出と洋上回収は、成功すれば日本国内・民間企業初となります。


【▲ ロケットに搭載されるTENGA公式キャラクター「TENGAロボ」とスペースエッグドッグ(Credit: インターステラテクノロジズ社)】


また、1000人から集めたメッセージをのせた「TENGA型メッセージPOD」もTENGAロケットから放出される予定です。TENGAロボとメッセージPODを放出するための放出機構の開発も進んでおり、先日動作試験(振動試験)に成功したことが報告されました。


さらに、TENGAロボのコクピットを模した円筒形のペイロードの内部にはカメラが取り付けられ、飛行中の様子を中継することも明らかにされました。円筒形ペイロードの素材にはアルミニウムの1枚板やドライカーボンが用いられており、強度と軽量化の両立が図られています。


IST社では2021年7月3日に「ねじのロケット」(MOMO7号機)の打ち上げを予定していますが、TENGAロケットも今夏の打ち上げを目指すとしています。なお、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策として打ち上げは「無観客」で行われますが、その様子は公式Youtubeチャンネルで生中継される予定です。


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TENGAロケットの機体公開に先立って開催された記者会見には、株式会社TENGA代表取締役の松本光一氏、IST社ファウンダーの堀江貴文氏、IST社代表取締役の稲川貴大氏が出席し、プロジェクトの概要や進捗状況を説明。松本氏は「愛と自由を届けるロケットです。皆さんの思い、僕たちの思いをのせて宇宙を目指します」と、プロジェクトへの熱意を語りました。


 


Image Credit: インターステラテクノロジズ社
Source: TENGAロケットプロジェクト記者会見中継/インターステラテクノロジズ社プレスリリース

文/出口隼詩、編集/松村武宏