iOS/iPadOS 14、17日に正式リリースと発表。空間オーディオやApp Clipなど新機能まとめ

アップルは、iOS 14およびiPadOS 14の正式版を17日にリリースすると発表しました。

基本的にはApple Beta Softwareの登録者向けに配信されていたパブリックベータ版と同じものですが、AirPods Proの「空間オーディオ」やAirPodsの「バッテリー通知」など未実装だった機能も搭載されています。

それぞれのOSに搭載された新機能のあらましは、ざっと次の通りです。

■iOS 14

ホーム画面の刷新と「Appライブラリ」

iPhoneの顔であり、メインインターフェースのホーム画面が一新。より多くの情報がひと目でチェックできるようにウィジェットが再設計され、様々なサイズを選べるとともに画面上の配置も自由です。

さらにホーム画面の末尾には「Appライブラリ」が追加。持っているすべてのアプリが自動的にカテゴリーごとに分類され、最もよく使うものはワンタップですぐに開けます。

ピクチャ・イン・ピクチャ

別のアプリを使っている時にビデオ鑑賞したり、FaceTime通話を続けることができます。動画の小窓は指で弾いてかんたんに移動したり拡大縮小できるほか、一時停止や再生、全画面化して元アプリに戻ることも可能です。

メッセージ

最も大切なチャットを最大9件まで固定でき、素早くチェックできるようになりました。さらにグループチャットの中の特定のメッセージに直接答える「インラインの返信」や、名前を入力してメッセージを伝えたい相手をハッキリと示すなど、大勢との会話のなかでも個人同士のやり取りが容易となっています。

翻訳

異なる言語間での会話を自然に、かつプライバシーを守りつつアシストする機能。11の異なる言語(英語、中国語(マンダリン)、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、日本語、韓国語、アラビア語、ポルトガル語、ロシア語)に対応しています。

iPhoneを横向きにして真ん中にあるマイクボタンをタップして、伝えたいことを話せばリアルタイムで翻訳。テキストが表示されるほか、音声としても再生できます。また完全にオフラインで動作するため、インターネット接続も必要なく、翻訳のプライバシーも保たれます。

AirPods Proが空間オーディオに対応

新機能 Spatial Audioにより、5.1chや7.1chのサラウンドから先進的なオブジェクトベースの立体音響 Dolby Atmosまで、どこにいても映画館にいるような体験が楽しめるようになります。頭部の向きまでも検出するダイナミックヘッドトラッキング機能を追加したことでで、頭の向きを変えたりデバイスを動かしても、「画面が左にあれば音も左から」という具合に正しい位置から聞こえます。

自動切り替えおよびバッテリー通知

iCloudに紐付けられたアップル製品間で、AirPodsをシームレスに切り替えが可能に。たとえばiPhoneで音楽を聴いた後、iPadで映画の鑑賞を始めるだけでAirPodsの接続が自動的に切り替わります。またAirPodsの充電が必要になれば、iPhoneで通知されるようになりました。

App Clip

App Clipとは、アプリの一部をコンパクトにしたもの。QRコードやNFCなどをスキャンすると、アプリ全体ではなく特定の機能だけをダウンロードして、必要な時にすぐに使えます。

たとえば自転車のレンタル、駐車料金の支払い、料理の注文などを「かざすだけ」で利用できるということ。「Appleでサインイン」に対応したアプリですばやくログインすれば、アプリ内のApple Payで決済もかんたんにできます。

プライバシーの強化

iOS 13までは位置情報データをアプリごとに「提供する」「提供しない」の二択でしたが、新たに「おおよその位置情報だけを共有」という第三の選択肢が加わります。

位置情報を継続してトラッキングするアプリの開発者に対しては取得を停止するよう要請するボタンが通知に表示され、カメラや音声録音に関しては「どのアプリがカメラ・マイクを使用しているか」を可視化するインジケーターが表示されます。

さらに異なるWebサイトやアプリをまたいでユーザーを追跡するためには明示的な許可が必要となることが予定されていましたが、こちらは諸事情から2021年初めまで実施が延期されています。

車のキーとCarKey

iPhoneが車のキーとして使えるようになります。車のキーをWalletアプリに登録し、iPhoneで車のロックを解除してエンジンをかけることも可能に。友達や家族とキーを共有することもメッセージアプリでかんたんにでき、一時的な共有に限定したり取り消すこともできます。

利便性のみならず、セキュリティも物理キーを上回るとのこと。たとえばデータを登録したiPhoneやApple Watchを紛失した場合でも、iCloud経由で無効にできることが紹介されています。

標準ブラウザとEメールアプリが変更可能に

ついにiPhoneとiPadのWebブラウザとメールアプリのデフォルト設定が変更可能となりました。システム全体で、Google Chromeなど他社製アプリを標準アプリに設定できます。

■iPadOS 14

スクリブル

Apple Pencil向けの新機能。iPadアプリのあらゆるテキストフィールドに直接手書きで文字を書き込めるようになりました。書いた文字は自動でテキストに変換され(英語と中国語(簡体字、繁体字に対応)、メッセージを書くときも、Webブラウザで検索するときも、ペンを手放すことなく作業の流れを止めません。

書き直したいときはこすって消し、単語を選択したいときは円で囲んで選ぶだけで、かんたんにコピーや移動ができます。手書きの文字をコピーして他のアプリにペーストするさいは、テキストに変換されます。

また線を引けば直線になったり、多角形や円弧も自動的に整形され、描き終えたら理想的な形にパッと変わります。

拡張現実

iPad Pro(2020)で搭載されたLiDARスキャナ(3Dセンサー)とARKit4により、ARプラットフォームとしてさらなる進化を遂げています。

ほか一新されたウィジェット機能、メッセージ機能の改善やSiriの強化、標準ブラウザとメールを変更可能などはiOS 14と共通しています。

iOS/iPadOS 14とも、正式配信が開始されたさいには弊誌でも改めてお伝えする予定です。

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