この1年、止まってばかりだった「鉄道」の無力と努力
1月、新潟県のJR信越線では大雪で列車が長時間立ち往生。2月には福井県のJR北陸線などが積雪のために数日間運休した。雪対策に万全なはずの豪雪地帯でも、平年を大きく上回る降雪に遭遇し、運行継続の判断や排雪対策などの再検討が余儀なくされた。
6月末から続いた集中豪雨は、西日本を中心に広範囲に影響。特にJR山陽線の寸断は九州―本州間の鉄道貨物輸送を100日間止めた。代替輸送需要でトラックの傭車費は労働力不足を背景に高騰し、図らずもモーダルシフトの重要性を再認識する結果となった。JR貨物の真貝康一社長は「在来線の強靱(きょうじん)化が必要だ」と訴える。
9月は大型台風が相次ぎ到来。関西で約4年ぶり、関東で初めて台風接近前に災害予防で広域に運転を取りやめる「計画運休」を実施した。歩くのにも困難なほどの強風が都心を襲い、判断は妥当だったが、翌朝の運転再開見通しが甘く、通勤客に混乱が生じた。JR東日本の深沢祐二社長は「情報提供、運転再開時の対応に課題があった」と総括した。
公共交通機関には、利用客を安全に目的地まで輸送する責任がある。しかし自然災害による危険を前に、輸送サービスを止めるのは「身の安全を考えると致し方ない」(来島達夫JR西日本社長)ことであり、社会に広く理解が求められる。一方、鉄道事業者も利用客への正確かつ迅速な情報提供が必要だ。災害は今年に限った話ではない。
(文=小林広幸)
