“目玉焼き”で火事になりかけた小学生時代の体験漫画 火に水をかけて…それは絶対ダメ!
小学5年生の時の調理経験を描いた漫画「目玉焼きでボヤになりかけた思い出」がSNS上で話題となっています。目玉焼きが食べたくなり、作ろうと考えた少女。両親に付き添ってもらうのが難しかったため、1人で調理を開始しますが…という内容で「本当に危険」「思わず笑ってしまった」「臨場感がすごい」「大事に至らなくてよかった」などの声が上がっています。作者の女性に聞きました。
中華料理のノリで、あわや大惨事に…
この漫画を描いたのは、漫画家のふじた渚佐(ペンネーム)さんです。一迅社の月刊漫画雑誌「ComicREX(コミックレックス)」で「ド直球彼氏×彼女」(2巻まで発売中)を連載しています。
Q.漫画を描き始めたのはいつ頃からでしょうか。
ふじたさん「少女漫画の影響を受け、小学1年生の頃から少女漫画のようなものは描いていました。その後、小学5年生の頃に『らいか・デイズ』という4コマ漫画に出会い、より本格的に漫画を描くようになりました」
Q.今回の漫画を描いたきっかけは。
ふじたさん「普段、仲良くさせていただいてる作家さんと話している時、ふとこの事件のことを思い出して話したところ、『それを漫画にしたら絶対面白いよ』と言ってくださったことがきっかけです。言葉で伝えるより絵にした方が、より深刻さが伝わるかなと思いました」
Q.なぜ、目玉焼きを調理したのでしょうか。
ふじたさん「ある晩、急に目玉焼きが食べたくなったためです。晩御飯はすでに食べていたので、きっと小腹が空いたのだと思います」
Q.当時は小学校5年生とのことでしたが、調理経験はありましたか。
ふじたさん「1人で台所に立つことに慣れていなかったため、できれば、誰かに見守ってもらいながら調理したかったです。ただ、父親は当直勤務明けで爆睡しているし、母親も2階で妹の面倒を見ていました。
結局、『一人でできるもん!!』と意気込み、調理を開始しました。この時点で間違っていた気がします。フライパンに油を垂らし、卵を落として焼くだけだから、と軽く考えていました。しかも、目玉焼きなのに、なぜ卵焼き専用のフライパンを使おうとしたのか、いまだに分かりません。焼ければ何でもいいと思っていたのでしょうね」
Q.調理時はどのような状況でしたか。
ふじたさん「入れた油の量は正確に覚えていませんが、あの卵焼き専用のフライパン全体に油の海が広がっていました。油の厚みは少なくとも4ミリくらいはあった気がします。焼き始めたらバチバチと音を立て、炎がフライパンに広がっていきました。
それを見た時、以前テレビで流れていた某餃子チェーン店のCMが脳裏をよぎりました。格好いい中華風BGMで、中華料理人のおっちゃんが炎を舞い散らせながら調理しているCMでしたが、『かっこええ!!』とずっと憧れていました。『今、私はあのおっちゃんと同じことをしてる!! かっこええ!!!』と、あの当時は本気で思いました。
しばらく、ノリノリの気分で焼いていたら、フライパンから火柱が上がりました。その辺りから『これはヤバいかもしれない』と本能で確信し、父親を起こしに行きました。父親はものすごい勢いで飛び起き、キッチンまで駆け付けてくれました。父親は身長約170センチでしたが、この時点で炎は父親の上半身くらいの大きさに成長していました」
Q.消火はどのようにして行ったのでしょうか。
ふじたさん「惨状を見るやいなや、父親が肩にかけていたタオルで消火活動を始めました。私もとにかく消火に加勢したくて、『火には水だ』と迷うことなく全力で炎に水をかけました。油に水はダメだということは知りませんでした。すると、一瞬にして炎はさらに燃え盛り、父親の上半身以上の高さになりました。
この時の父親の『お前は何やっとんじゃ!!』という叫び声はいまだに忘れられません。そこから、炎の怖さに立ちすくんでしまい、何もできなくなりました。ひたすらタオルで炎をたたく父親の姿を眺めることしかできませんでした」
Q.おけがはありませんでしたか。
ふじたさん「私も含め、全員無傷でした」
Q.漫画について、どのような意見が寄せられていますか。
ふじたさん「『危なすぎる』『こんなのさすがにやったことない』『シャレにならない』『笑えない状況だけど笑ってしまった』など、さまざまなご意見を頂いています。中には『私もやったことある』というご意見もあり、『仲間がいた!』と少しホッとしました。いや、ホッとしてはいけませんね。油の取り扱いには気をつけましょう」
Q.創作活動で今後、取り組んでいきたいことは。
ふじたさん「現在はオリジナル漫画メインで活動していますが、こういう失敗談や日常をテーマにした漫画を描いてみるのもいいかもしれないと思いました。『どうか、私と同じ過ちを犯さないように』と願いを込めつつ描ければと思います」