米で死亡事故続く自動運転、日本はどうする?
「そのためSIPの大規模実証実験では多重の安全対策をしている。万が一でも起こさないように準備している。一連の事故は米国でも大きな問題になり、国民の意識も変わった。技術開発を止めることはないが、より慎重に進めなければならない。実証実験などをより安全に見直すことは重要で、またそうあるべきだと思う」
-運転支援システムなどを実用化しても一部の機能を外すなど、ユーザーは必ずしも設計通りに使う訳ではありません。米ウーバーは開発側が自ら、それを証明したともいえます。今後、システムがドライバーを監視して適切でない利用を防ぐなど、対策強化が必要になりませんか。
「内閣府SIPのPDとして答えられる範囲に限られるが、まず実証実験は警察庁のガイドラインを順守してもらう。ただ守ればいいのではなく、その上で各社にもしもに備えてもらう。ここは開発者が高い意識をもって進めるしかない。実用化に向けては、これまでの自動車と同様、メーカーと規制当局が議論しながら安全を作っていくことになる。最低限、事故が起きたら記録を残すことが重要だ。完全自動運転が実現すると無人の車が走り、証言者もいない事故がありえる。何が起きたか解明し、対策するだけの情報が必要だ。SIPでは安全性評価システムの開発を始めたいと考えている」
-米国では安全性を示すために試験走行の距離を競っていましたが、その実態が明らかになり信頼が失われたように思います。
「今はまだ計画段階だが、SIPではシミュレーションを利用したい。例え10万キロメートル無事に走れたといっても、簡単な環境から厳しい環境までかなり開きがある。実際の公道試験は重要だ。ただ、まれに発生するがクリティカルな事象を評価しているか保証できない。またクリティカルな事象を拾うために、膨大な距離を走る必要がある。機種ごとに走るとなれば大変なことになる。距離だけでは評価が難しく、国として評価技術をもつ必要がある」
-シミュレーションで、この世界のあらゆる交通状況を再現するのは不可能ではないでしょうか。また技術や社会の変化にあわせてシミュレーションを拡張し続け、その妥当性も評価できないといけません。
「技術的にもとても難しい挑戦になる。参画機関で議論を重ね、SIPとして協調して開発しようとコンセンサスができつつある。SIPでは自動運転の車両を開発しているのではない。ダイナミックマップ(三次元地図)など自動運転を支える基盤技術を産学官で連携して開発してきた。安全性評価シミュレーターも評価項目や技術仕様を議論し、コンセンサスを固めていく」
-自動運転システムの安全性審査など規制側が使えますか。
「初めから(規制利用のレベルを)保証するのは難しい。まずツールを作り、参画機関で検証していく。将来は、そこを目指さないといけないと考えている。これは世界でも、まだどこにもできていない技術だ。インパクトは大きいが難しい挑戦になる」
