使い方はアイデア次第!手軽になった「ドローン」を動画マーケティングに取り入れる活用アイデアと最新事例まとめ
ドローン(無人航空機)は配送や農業など、さまざまな分野での活用が進められていますが、動画マーケティングに関連するのはもちろん「空撮」です。
インプレスが今年3月に発表した報告書によると、ドローンビジネス市場は2016年に前年比191%の成長を見せ、2020年には1,138億円規模まで成長すると見込まれています。空撮が含まれる「サービス」分野も今後大きく伸びることが下のグラフからも分かります。
画像参照元:http://www.impress.co.jp/newsrelease/2016/03/20160317-01.html
ドローンを活用した空撮のメリットは何と言ってもその手軽さと、撮影の自由度です。
かつて空撮にはヘリコプターや大型クレーンなどが用いられていました。しかし大きなコストがかかる上に、撮影に関する諸条件、制限が多くありました。しかし、コントローラーによる遠隔操作やプログラミングによって飛ばせる小型ドローンの普及により、空撮が安価で身近な存在となっています。
ドローンを使えば、これまでヘリコプターが入り込めなかった狭い場所を通り抜けたり、地上すれすれの低空飛行をしながらの撮影なども可能になり、空撮の映像表現の幅が大きく広がりました。さらにアングルや撮影の工夫次第で、今後もインパクトのある新しい映像体験が生まれる可能性が多いにあるのです。
まずは世界初のドローン映像の祭典、New York City Drone Film Festivalが公開している動画を通して、ドローンならではの映像の迫力を体感してください。
ドローンの活用シーンは無限大
それでは過去のさまざまな事例から、動画マーケティングの中での活用アイデアを探ってみましょう。
観光名所や街並みをダイナミックに表現
空撮ともっとも相性が良いと言えるのが、観光誘致などを目的とした国や地域の紹介でしょう。
例えばエミレーツ航空はボーイング社との共同プロジェクトとして、世界18都市を紹介する動画を公開。従来の空撮では不可能だったらアングルから各地の魅力を伝えています。日本を紹介する動画では、木立や鳥居の下をくぐったり、滝に接近するなど、小回りの効くドローンの特性を十分に活用しながら、各地の景色をダイナミックに描写しています。
こちらのフィリピンの島を紹介する動画では、人に寄ったアングルから一気に遠ざかる撮影手法を多用して、スケールの大きさを演出しています。
あるいは英Nescafeは、各都市のさまざまな情報を伝えるライフスタイルメディアTime Out London と組み、ドローンを活用したネイティブ広告キャンペーンを展開しています。(参考記事)
本企画のメインターゲットは、早朝から大都市ロンドンで働く忙しい人々。夜明け前のロンドンをドローンで撮影した動画を通して街の新しい一面を見せつつ、Time Out内の特設ページでも、美しい日の出が見られるスポットや、朝におすすめの市場やエクササイズなどを紹介するコンテンツを配信しながら、Nescafeのコーヒーを持って出かけようというプロモーションを展開しています。
その街にすでに住んでいる人であっても、ドローンを使った新しいアングルからの街の姿には自然と興味が沸くのではないでしょうか。
不動産の魅力を120%伝える
不動産業界も、ドローンが普及しはじめた初期の頃から積極的に活用している業界のひとつです。さまざまな角度から捉えた物件や周辺環境をひとつの流れの中で伝えることが可能になったことで、動画の訴求力が大幅に向上したと言えるでしょう。
不動産購入にあたっては、その土地に関する情報も欠かせません。次の動画では、その地域の不動産業者が立地として価値、通りの様子などをドローンを使ってアピールし、興味喚起を図っています。
企業のリアルな姿を見せる
企業紹介映像においては、できるだけリアリティのある姿を映すことで理解と信頼感が向上します。例えば、工場の様子を収めたり、あるいは採用動画としてオフィスの様子を映すなど、企業に対する理解を深める手段のひとつとしてドローンを活用するのも有効でしょう。
ドローンを使えば、こちらの動画のように、通常人が立ち入ることができない視点から工場内のラインの様子を紹介することができます。
あるいはKINGSOFT社は、採用動画としてオフィス内でドローン撮影を行い、オリジナリティを出しています。
インパクトのある動画広告のクリエイティブ
もちろん動画広告にもドローンで撮影した映像が数多く使われています。
例えばNIKE Chinaが公開したこちらの最新CMでは、ドローンを使った長回し撮影を行うことで、アスリートや子供たちが見せるパフォーマンスの数々がさらに躍動感をもって表現されています。
ドローン自体を主役にしたプロモーション
ドローンを使って撮影するだけでなく、ドローン自体を映像内のキャラクターとして用いる動画も数多く登場しています。
昨年のバレンタインに、「ロミオとジュリエット」の舞台であるベローナの街で活躍したのが“キュービッドドローン”です。花の普及活動を行うFunnyHowFlowersDoThatが、オリジナルの赤いドローンを飛ばして街中の男女にバラを贈るというプロモーション動画を公開し、話題になりました。
またAudiは昨年、ヒッチコック監督の映画「The Birds」をモチーフとした「The Drones」というCMを公開しました。集団となって人間を襲い始める近未来のドローンと、そんな状況から人間を救うAudiの車を対比させるながら、先進テクノロジーは人間を怖がらせる存在であってはいけなというメッセージを伝えています。
自由に動かすことができるというドローンのメリットを生かし、ドローンの飛び方でキャラクターを表現するのもひとつの有効活用と言えそうです。
ルールを守りながら新しい映像表現にチャレンジを
ドローンが普及し始めた当初は、ルールが整備されていなかったため、各地でさまざまなトラブルが起こっていました。そこで2015年12月に改正航空法が施行され、人口密集地域の上空や夜間での飛行禁止など、細かなルールが定められました。ドローンを使った撮影を行う際は、この法律を遵守することが求められます。(詳しくは国土交通省のHP(リンク)でご確認ください。)
またバッテリーを用いるため、飛行時間が10分程度に限られます。バッテリー容量を計算し、事前に綿密な撮影計画を立てておくことが求められます。その他、操縦に必要な電波を妨げる可能性がある柱などが多い環境や、雨や風に弱いという点も覚えておきましょう。
最近では360度カメラを搭載してドローン撮影する事例も増えています。新しい映像にチャレンジしたい、動画コンテンツで差別化を図りたい、などと考えている企業は、次回の企画にドローンを取り入れてみてはいかがでしょうか。