【第88回選抜大会】今年は2、3年生問わず逸材が集結!スター候補の選手たちを一挙紹介
投手が目立つ今大会だが、野手も新2、3年生問わず楽しみな選手が多い。今回は目玉野手、注目野手、将来が楽しみな新2年生の野手と順番に紹介していきたい。
今大会注目の打者はこの3名!三森 大貴(青森山田)
今年の選抜でドラフト候補に挙がる野手として注目を浴びそうなのが三森 大貴(青森山田)、九鬼 隆平(秀岳館・2015年インタビュー)、藤嶋 健人(東邦・2016年インタビュー)の3名になりそうだ。三森は三拍子揃った大型遊撃手だが、一番のウリは足である。一塁までの駆け抜けでは塁間3.9秒を計測。そしてなによりも素晴らしいのが、次の塁をどんどん狙う積極性だ。また守備でも肩の強さが光る。打撃面を見ると、昨年の明治神宮大会の東邦戦(試合レポート)では、ホームラン取り消しとなったが大きな二塁打となり、その後も逆方向へ鋭い打球を放つ安打を放っておりバットコントロールの良さを披露。またスイングスピードも速く、打球も速い。あとは体重を増やして、どれだけパワーを増やすことができるか。
九鬼は地を這うような軌道を描いて二塁ベースに到達するスローイングに注目。タイムは1.8秒台を計測しており、コントロールも悪くない。キャッチングも安定していて、ストッピングも良い。捕手としての技術はもちろんだが、打撃も九州大会で2ホーマーを放つなど、長打力も魅力。強肩強打の捕手として、注目を浴びる存在になりそうだ。選抜でこれほどの大型捕手は、2013年の若月 健矢(花咲徳栄−オリックス)以来だろう。若月は選抜で本塁打を放ったが、九鬼はどんなアピールを見せていくのだろうか。
藤嶋は、投手編でも紹介したが、野手としても素晴らしい実力を持っている。明治神宮大会1回戦で放った2本塁打は圧巻で、神宮球場の中段に飛び込むものだった。そのパワーはまさに超高校級だが、さらに良いのは打席内の積極性。初球からガンガン振りにいくメンタリティは大舞台向き。投手としての能力も素晴らしく、投打の力をそのまま発揮すれば、今年の甲子園の主役になる可能性は十分に秘めているのではないだろうか。
東日本はミートを重視した好打者が揃う続いて注目の打者を北から紹介していきたい。
まず初出場の札幌第一。9番を打っていた兼村 京佑は、明治神宮大会2試合で、9打数7安打と大当たり。外野の間を抜く長打力もあり、右左に打ち分けるバットコントロールも魅力的で、楽しみな左打者だ。青森山田では速球に強く、長打力、巧打力もある主将・内山 昂思、また正確なスローイングと巧みなリードが光る村山 直也の2人に注目。また八戸学院光星は、田城 飛翔の長打力に注目したい。昨春の東北大会で豪快な本塁打を放つなど、今年の打線では最も長打力を期待出来る選手だ。
[page_break:東日本はミートを重視した好打者が揃う / 西日本は荒削りながらも長打力、スピードのある選手が集結]関東大会優勝の木更津総合では、1年秋から攻守の中心・小池 航貴がパンチ力ある打撃と堅実な守備がウリの二塁手。ベスト4に残った桐生第一からは、巧みなバットコントロールと守備範囲の広い外野守備を見せる追川 恵太に、また東海大甲府では、一発を打つ長打力を持った大型内野手・松岡 隼祐、機敏な動きを見せるショート・福武 修に注目だ。
好打者タイプが多い関東一の中で最も長打が期待できるのが竹井 丈人。勝負強い一打を見せていきたい。また1番を打つ宮本 瑛己は身体能力抜群の外野手で、さらに打撃技術を磨いていきたい。花咲徳栄では、俊足巧打の遊撃手で、さらにセーフティバントが得意な岡崎 大輔が攻守のキーマン。また東海大会優勝の東邦はバットコントロールが良く、俊足のトップバッター・鈴木 光稀が打線の火付け役だ。
林中 勇輝 (敦賀気比)
昨春の選抜で優勝し、今大会連覇を狙う敦賀気比では、主将を務める林中 勇輝に注目したい。1年秋からレギュラーの遊撃手で、スピード感溢れる遊撃守備、広角に打ち分ける打撃と、どれもレベルは高い。打撃面では長打力、守備、走塁面でもほかの人にないパフォーマンスを披露することで変わりそうだ。その他、トップバッターを打つ植村 元紀も、バットコントロールが良い選手。また福井工大福井では、パワフルな打撃で長打を連発する北村 進太郎に注目だ。
西日本は荒削りながらも長打力、スピードのある選手が集結昨春選抜ベスト4の大阪桐蔭には今年も能力の高い選手が揃っているが、その中でも二塁の永廣 知紀 、遊撃手・中山 遥斗、三塁手・吉澤 一翔、レフトの三井 健右の4人に注目。永廣は俊敏な二塁守備に加え、広角に打ち分ける打撃が目立ち、中山はスピード感溢れる守備と思い切りの良い打撃が光る。吉澤は勝負強く、パンチ力ある強打がウリで、4番の三井は長い腕を生かし、豪快に振りにいく打撃スタイルで、長打を連発する。
滋賀学園で4番を打つ馬越 大地は、打席時にバットを大きく揺らしてから左足を大きく上げる独特な打撃フォームで長打を連発。初出場初勝利を狙う滋賀学園にとってキーマンとなる選手だ。龍谷大平安は、勝負強く、長打力を兼ね備えた橋本 和樹、俊敏な動きを見せる遊撃守備とパンチ力ある打撃が光る西川 藍畝はどんどんアピールしていきたい。
市立和歌山の七野 怜は、一発を打つ長打力に加え広角に強い打球を打てる左打者で、大会注目の好打者になりそうだ。中国王者の創志学園は、俊足で、外野の間を抜く打球を多く放つ好打者・北川 大貴に注目。守備範囲の広い遊撃守備も必見だ。南陽工は、強肩捕手で勝負強い打撃が光り、時にはマウンドにも登るという山崎 大輔がチームの要だ。開星で4番を打つ瀬戸口 恵大は中国大会準々決勝で同点本塁打を放つなど、長打力が魅力の左のスラッガーだ。
安西 翼 (高松商)
神宮大会優勝の高松商は野手の逸材が勢揃い。四国大会の今治西戦で2ホーマーを放った植田 響介は注目の強打の捕手だ。また自慢の俊足で次々と三塁打を量産する安西 翼、投げては140キロ台、打っては快打連発、そして俊足も光る美濃 晃成は楽しみな二塁手。パフォーマンス次第ではドラフト候補に浮上してもおかしくない逸材だ。
四国大会準優勝の明徳義塾は抜群の強肩、緻密なリードで投手陣の持ち味を引き出す古賀 優大(2016年インタビュー)、大型外野手・立花 虎太郎と今年も注目すべき野手が多い。
[page_break:新2年生の野手は逸材揃い 黄金世代の予感]九州大会優勝の秀岳館では、九鬼と同じ枚方ボーイズだった松尾 大河の守備のスピードが天下一品。まだムラが大きい打撃を克服できれば、一気に注目を浴びる選手になりそうだ。準優勝の海星は、ボールを当てる技術、野球センスならばチームで一番といわれる服部 貫大の走攻守に注目。そして5年ぶりの選抜出場を決めた鹿児島実は主将の綿屋 樹の打撃に注目。長打力は出場野手の中でもトップクラスだ。この選抜で全国クラスの強打者と呼ばれるような活躍を見せていきたい。
新2年生の野手は逸材揃い 黄金世代の予感峯村 貴希 (木更津総合)
新2年生は野手の逸材が実に多い。選手としてのポテンシャルの高さは、新3年生以上と思わせる選手が多いのだ。黄金世代の予感をさせてくれる。
その中でもトップクラスの逸材は、峯村 貴希(木更津総合・2015年インタビュー)だろう。1年春からベンチ入りを果たし、順調に成長を遂げ、明治神宮大会では、大阪桐蔭のエース・高山 優希から本塁打を放つなど、大舞台での活躍が光る。懐が深く、インサイドアウトで振り抜ける打撃は実に非凡だ。あとは、課題となる遊撃守備にスピード感が出てくれば、さらに評価を受ける逸材になることは間違いない。
また峯村に並ぶ野手としては、太田 英毅(智辯学園)が面白い。近年、智辯学園は岡本 和真(読売ジャイアンツ・2014年インタビュー)、廣岡 大志(東京ヤクルトスワローズ・2015年インタビュー)とドラフト上位に指名を受けた強打者を輩出しているが、2人の先輩に負けない才能を持った選手だと言っていいだろう。体幹を上手く使った鋭いスイングは非常に速く、175センチ76キロと体格はそれほど大きい選手ではないのだが、どこまで飛ばすのか?と思わせる飛距離を誇る。そして勝負所でも動じないメンタリティも良い。この大舞台で目立つような活躍を残すことができるか。公式戦3本塁打の岡田悠希(龍谷大平安)はライナー性で伸びていく打球を放つ左のスラッガーだ。
そして走攻守三拍子揃った逸材として評判なのが西浦 颯大(明徳義塾)。中学時代はU-15代表として活躍。四国大会の新田戦で豪快な本塁打を放ち、この選抜での大爆発に期待がかかっている。
他では巧みなバットコントロール、俊敏な動きが光る宮澤 晃汰(札幌第一)、また木更津総合のクリーンナップを打つ山下 輝も、長打力は峯村にひけをとらない逸材だ。関東大会で最速151キロ右腕・藤平 尚真(横浜・2016年インタビュー【前編】 【後編】)から、豪快な本塁打をかっ飛ばした宮里 豊汰(常総学院)も注目のスラッガーだ。桐生第一の4番を打つ鏑木 風雅も走攻守のバランスが整った三塁手。
九州大会優勝の秀岳館で3番を打つ木本 凌雅は、パワーのある打者が多い秀岳館の中でも技術的にしっかりとした打者で、明治神宮大会で藤嶋から3安打を放った実力者であり、選抜へ向けて打撃を磨いていきたい。
今年の野手のレベルは、近年の中でもかなりレベルが高いといっていいのではないだろうか。1人でも多く、ヒーローになるような活躍、プレーを見せてくれることに期待したい。
(文・河嶋 宗一)
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