CIOの役割や必要性について意見交換した「ワセダCIOフォーラム」(撮影:宗宮隆浩)

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企業などのIT戦略を統括するCIO(最高情報責任者)について話し合う「ワセダCIOフォーラム」が14日、東京都新宿区の早稲田大学の小野梓記念館であった。民間企業や行政の情報システムの責任者らが、ITガバナンスやCIOの役割を探った。

 同大学大学院国際情報通信研究科が主催。同科に昨秋開設した、国内初のCIO養成修士課程コースの一環として開いた。同コースはCIOなど本格的なIT人材の育成を目指している。

 最初にマイクロソフトの執行役常務で同科の非常勤講師の平井康文さんがCIOをめぐる現状を説明。その後、同科の小尾敏夫教授の司会で、平井さんら6人のパネラーがパネルディスカッションした。

 CIOという役職について一部で不要論があることに触れ、「CEO(最高経営責任者)の特質や企業規模にもよるが、高度化したIT時代にはCIOのような人材は必要」「アウトソーシングよりは自社でIT戦略を構築する方が会社に合ったものが作れる」などの意見が出た。また、地方ではITが生命線になるが、欲しくてもCIOを雇えないのが現状。格差是正のためにも幅広い活動をすべき」との声もあった。

 さらにIT投資について、「ビジネスとして成立するための投資と考えるべきで、先端技術を取り入れていけばITコストは削減できる」との見方や、CIOに求められる資質は「リーダーシップや調整能力、マネジメント力で、CEOと同じような要素を持っているのが理想的」などの意見が出た。

 小尾教授は「日本ではIT商品の開発は進んでいるが、人材育成が欧米などに比べ遅れている。小さなころから素養をつけて底辺を広げていかなければならない」と語った。【了】