インタビュー:比嘉愛未×板谷由夏「まずは、知ってもらうこと」
 24日午後10時から、テレビ東京系の本格医療ドラマ「最上の命医」(月曜午後10時)の第3話が放送される。

 天才小児外科医・西條命(斎藤工)のもとで、小児外科医を志す研修医・瀬名マリア役を演じる比嘉愛未と、移植外科医・真中有紀役を演じ、プライベートでは一児の母でもある板谷由夏に、ドラマの見どころや、お互いに質問してみたかったこと、子どもへの想いなどについて語り合ってもらった。

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――まずは、原作「最上の命医」を読んだ感想をお聞かせください。

比嘉愛未(以降、比嘉):原作では、医療現場の様子が忠実に描かれています。漫画なので読みやすくて、気づいたら知識が頭に入ってくる感じがしました。

板谷由夏(以降、板谷):手術シーンを読んでいると、自分が現場にいるような気がしちゃうよね。

比嘉:そうなんです!

板谷:そのくらいの気持ちになっちゃう。読み応えがある原作でしたね。なので普段よりも読む時間かからない?

比嘉:最初は専門用語に慣れなくて、頭が疲れちゃいました。でも、読んでいくうちにどんどん慣れてきて。

板谷:できそう?

比嘉:手術ができそうな気になってくるんですよね。それほど、のめり込める作品だなって思います。

――原作とドラマの脚本は、若干違うところがあると伺いましたが。

板谷:オリジナルの要素があるよね。

比嘉:北川(弘美)さんが演じる看護師さんとか。

板谷:ベースは変わらず、命(みこと)のまっすぐな感じとかも、彼がすごい腕を持っているのも変わらない。でも、生きている人間が演じるものなので、変わっていくものじゃないですかね?

比嘉:原作ファンの皆さんには、生身の人間が演じる「最上の命医」をまた別ものとして楽しんでくれたらなと思います。

――なるほど。原作を読んでいない方はもちろん、読んでいる方でも楽しめる。

板谷:そうですね。

――制作発表では、出演者の仲のいい雰囲気が伝わってきたのですが、実際、現場の雰囲気はいかがですか?

比嘉:楽しいですね。

板谷:実は、私はまだ一緒のシーンの撮影はあまり無いんですよね。

比嘉:陣内(孝則)さんと泉谷(しげる)さんの絡みは無くって、でもあの空気感って不思議ですよね。

――うんうん。

比嘉:これから、皆さんとの絡みが出てくるんですけど。

板谷:でも、手術している4人がすごくチームワークができていて。もう何回手術シーンの撮影があった?

比嘉:3回くらい撮り終わっていますね。

板谷:もう、雰囲気よくなるよね。

比嘉:よくなりますよー。まる一日かけて、リハーサルもしていて、濃いですから。自然と相手も分かってくるし、自分も分かってもらえるし。

板谷:たった一カ月しか一緒にいない感じしないでしょ?

比嘉:しないです。

板谷:そんな感じしますよね。途中から参加したけど、なんかいい感じの雰囲気が出来上がっていて。

――他の現場と比べてどうですか?

比嘉:もっと時間がかかりますよね。

板谷:最初の一カ月で、ここまでチームワークできているっていうのは、あまりないんじゃないですか?

比嘉:それは、最初の方に手術シーンがあったからだと思います。過酷な状況を乗り越えたら、グッと仲良くなるのと一緒で。

――これから板谷さんも。

板谷:そうですね。

――手術シーンに向けて練習はしていますか?

板谷:まだDVDを見ただけで、私はこれからもっと頑張らなきゃいけないと思っているんですけど。何が難しい?

比嘉:動き的には、何回かリハーサルをすれば、スムーズに行くんですが、医療用語が難しいです。「右肝動脈前区域枝結紮」とか、早口言葉みたいなセリフがずらっと並んでいるので。セリフを言うことでさえ、精一杯なのに。

――NGが多かったりするんですか?

比嘉:今のところ、そんなに多くはないですね。斎藤(工)さんや、池内(博之)さんが、本番の時にバシっと決めてくれるので。私は、まだ助手なので「ハイ」って返事をするだけなんですね。これから自分が執刀しなければならないシーンが待ち構えているので、怖いですね。やばいです(笑)。

――今回はテーマが小児医療です。板谷さんは、実際に一児の母でもありますが、母親になって一番変わったことは何ですか?

板谷:社会的な目線ですね。ベビーカーを引くのにバリアフリーじゃないとか、ひいきにしていたデパートなのに、おむつを換えるシートが無いとか、今まで気づかなかった子ども目線に気づくようになった。子どもに優しいところは素晴らしいと思うようになりました。

比嘉:そうなんですね。

板谷:子どもを大事にしようと思ってこの家を建てたんだなとか、この店オープンしたんだなとか、そういうことを考えるのは、子ども目線、子どもが大事になったからかな。

比嘉:今までは自分だったのが。

板谷:今までは大人だけで良かったものが、例えば、すごくおいしいご飯屋さんでも、子どもに冷たい接客をされたら、もう行きにくい。そういうことが多々あるんですよね。子どもに優しい目線を持っている店は、絶対に繁盛するって勝手に思っている。そういう目線を持っちゃう。それは変わったかもしれないですね。

――小児科に行くことはありますか?

板谷:うちの息子は、ありがたいことにあまり病気をしないので、去年の新型インフルエンザの時くらいしか行っていないんですが、小児外科医も小児外科も少なくなっているっていうのはよく聞きますね。友達の友達が大怪我したときに、救急車で運ばれても(診てくれる)場所がなくて色々と回ったそうで。子どもに優しくない国なんてダメだよって思います。

比嘉:弱い者を大事にしなきゃダメですよね。

――このドラマを見ていただいて、状況が変わればいいですね。

板谷:状況が変わるってすごく大変なことだけど、まずは知らない人が知るだけでもね。

比嘉:知らない人が一人そうやって意識するだけで、小さなことが大きな何かに繋がるかなって思うんですよね。

――比嘉さんは、これからどういう家庭を持ちたいと思いますか?

比嘉:ちゃんと家族同士でコミュニケーションをとって、笑顔が絶えない家庭にしたいなとは思いますけどね。うちは結構厳しかったので、家族5人なんですけど、夜は必ず、家族みんなで食卓を囲むとかっていうのがあったんですね。

板谷:素敵な家庭だね。

比嘉:すごく厳しくて、門限とか外泊禁止とかのルールがあったんですけど、今考えれば親が守ってくれていたのを感じるので、甘やかすだけじゃなくて、ちゃんと叱れる母親になりたいと思います。愛情を注いで、ダメなことはダメという。

――その辺、板谷さんはしっかりしてそうですよね。

板谷:しっかりしているなと思って(笑)。

比嘉:理想ですよ。実際に自分が親になったら、できないかもしれない。私、お聞きしたいのが、お仕事と子育てを両立されているじゃないですか。

板谷:できてない。ぎりぎり(笑)。

比嘉:本当に大変なことだと思うんですね。どうされているのかなって。

板谷:毎日を必死に乗り切っている感じ。でも、なんだろうね…、どっちもやりたいから私の中で。我慢してもらうことも多々あるけど。

比嘉:1話の飛行機の中で逆子を出産するシーンがあるじゃないですか。それ見ていると出産って命がけなんだって思ったんですね。改めてすごいなって尊敬します。

板谷:子どもはいいよー。

比嘉:いいな、いいな。

板谷:いつか温かい家庭を。

――逆に、板谷さんから比嘉さんに聞いてみたい質問はありますか?

板谷:サーターアンダギー(笑)。

比嘉:前回お教えしたじゃないですか。

板谷:あれから家で作ってみたんだけど、丸みが上手に割れないの。なんで? 温度?

比嘉:何度でやってます? 大体は150度くらい。

板谷:ドーナツ作るときの固さで、油に落として上がってくるでしょ? あれくらいの温度かな?

比嘉:じゃあ問題ないですけどね。8分くらい。

板谷:もういいかなって思って串を刺してみたら、まだ中が揚がってなかった。

比嘉:そうなんです。それが大変で、温度が高すぎても中が揚がらないし、低すぎるとグチョグチョになっちゃうし。

板谷:あの大きさのものが食べたいけど、うまくいかないから、結局ちっちゃいのをいっぱい作っちゃう。

比嘉:でも、それもかわいい。ホットケーキミックスでも作れますよ。

板谷:うん、ホットケーキミックスで作ったのよ。

比嘉:それでもできましたけどね、私。

板谷:それにきな粉を入れてみたの。

比嘉:あー、絶対おいしい!

――比嘉さんが撮影現場にサーターアンダギーを差し入れしたんですよね?

板谷:そう。すっごいおいしかったんですよ。どんだけ時間かけて作ったの?っていうくらい持って来てくれて。大変だったでしょ?って聞いたら、家中が油っこいにおいになったって言ってて。

比嘉:3日間取れなかったですね。しかも、持って行ったのがクリスマスで、24日のイヴの夜に2時間ひらすらこねて揚げて、を繰り返しました。

板谷:すごい!

比嘉:毎回、どの現場に入ってもお菓子とかサーターアンダギーは作って持っていってあげたいと思っています。サーターアンダギーは、沖縄の伝統的なお菓子で、よろしくお願いしますっていう気持ちも込めているつもりなので。

板谷:そういう意味合いを持ってるの?

比嘉:沖縄の人って、家族だけじゃなくて、回りの人とかに何かをあげたりする文化がすごくあるので。

板谷:おもてなしの感じだったりするのかな? すごく感動したんです。その量と、彼女のできた感じ。私、絶対できないと思う(笑)。できないよ、夜なべしてお菓子作って。人の喜ぶことをちゃんとできる女の子なんだなあって思って、すごいなって思って、で、その日に聞いて作ってみたんだけど、あんまりうまくいかなかったっていう。

比嘉:温度が大事ですね。あと、失敗してもひたすらやり続けること。私もよく失敗するんですよ。

――ドラマの主人公・西條命(みこと)は、天才小児外科医でヒーローなんですが、実際に彼のような人物がいたら、恋人とか、夫としてありだと思いますか?

比嘉:夫には嫌です。すごい才能を持ちすぎていて、自分のことすらも省みないじゃないですか。家族になったら大変だなって思います。理想は、友達ですかね?

――板谷さんはいかがですか?

板谷:多分、すごく惹かれると思うんですね。自分がやりたい事しか考えてないし、命を救うことしか考えてないし、才能もあるし。でも、彼とか夫としてだと難しいかな。惚れちゃうと思うんだけど、いざ彼と生活して家庭を持ってとか考えると。

比嘉:疲れちゃいますよね。

板谷:大変そうだよね。大変そうな気がしますね。

比嘉:だったら、桐生危(池内博之)先生の方が、まだいいかなって。言い方も失礼ですけどね(笑)。っていうのは、痛みを知っているから。結構、ツンデレな部分はありますよね。

板谷:危先生の方がしっかりケアはしてくれそうだよね。意外と女の人のことちゃんとケアしてくれそうな気がする。

――陣内孝則さん演じる桐生奠(さだめ)先生は?

比嘉:えー(笑)。

板谷:奠先生も意外とガガガガーっと来られそうじゃない?

比嘉:そうなんですか? 私は受け止める自信がありません。

板谷:いや、意外にいけると思う(笑)。

比嘉:私ですか? じゃあ、がんばりましょうかね(笑)。

板谷:意外と一番、子どもっぽい感じがします。純粋?

比嘉:そうですね。野心的で自分のやりたいことに必死で。

――ありがどうございます。最後に、このドラマを通じて一番伝えたいことは?

比嘉:フィクションなんですが、小児外科の現状とか、色んなものを伝えられたらいいなって思います。板谷さんがおっしゃったように、知るだけで大きく変わると思うので、まずは知ってもらうこと、感じてもらうこと。

板谷:あとは、子どものことを大事に思ってもらいたいかな。最近、虐待とかも増えてきたり、子ども達をもっと尊いものと思わなきゃいけない。ここ忘れたら国が滅びるよっていうくらい大事にしなきゃねって思います。

――はい。ありがとうございます。


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