【戸塚啓コラム】セカンドボールの攻防
5月24日に行われた韓国戦で、こんなシーンがあった。31分のことである。
敵陣左サイドでボールを持ったイ・ヨンピョが、左サイドのイ・グノへつなぐ。イ・グノはタッチライン際からドリブルで持ち込もうとするが、帰陣した長友がタテのコースを切る。選択肢を狭められたイ・グノは、長友を抜ききらないうちにクロスを入れた。
ゴール前には手前から中澤、ヨム・ギフン、阿部の3人がいた。イ・グノのクロスは中澤がヘディングで跳ね返したが、相手の圧力を背後に受け、なおかつゴール前へ戻りながらの態勢だったため、クリアは距離が出ない。ボールはペナルティエリア右へこぼれる。
最初にボールへ寄せたのは長友だったが、イ・グノが長友を押し倒すようにボールを奪う。イングランドの主審は、ホイッスルを口に運んだ。
イ・グノのプレーはファウルに相当するものだったが、ここで取り上げたいのは中澤のクリアである。ヨーロッパや南米のセンターバックに比べると、一般的に日本人DFはヘディングのクリアで距離を稼げない。ヨーロッパや南米ならボランチの頭を越えていくところで、もう少し手前に落下してしまうのである。その結果として、セカンドボールをめぐる攻防が生じ、二次攻撃へつなげられしまうのだ。
この場面ではイ・グノのファウルで事なきを得たが、ちょっとでも形が違えば、そして相手がW杯の対戦国であれば、クリアを拾われてシュートへ持ち込まれかねないパターンである。セカンドボールをいかに保持できるか、保持できないまでも相手にスペースと時間を与えないのかは、ギリギリまで突き詰めていかなければならない。
また、このシーンをさらに巻き戻すと、敵陣でのルーズボールの競り合いで、遠藤がヨム・ギフンに負けたことがきっかけとなっている。遠藤のほうが距離的には優位だったが、スライディングでボールをさらわれたのだった。1対1で戦っていたのは、ここでも日本ではなく韓国だったのである。
・戸塚啓コラム - サッカー日本代表を徹底解剖
敵陣左サイドでボールを持ったイ・ヨンピョが、左サイドのイ・グノへつなぐ。イ・グノはタッチライン際からドリブルで持ち込もうとするが、帰陣した長友がタテのコースを切る。選択肢を狭められたイ・グノは、長友を抜ききらないうちにクロスを入れた。
ゴール前には手前から中澤、ヨム・ギフン、阿部の3人がいた。イ・グノのクロスは中澤がヘディングで跳ね返したが、相手の圧力を背後に受け、なおかつゴール前へ戻りながらの態勢だったため、クリアは距離が出ない。ボールはペナルティエリア右へこぼれる。
イ・グノのプレーはファウルに相当するものだったが、ここで取り上げたいのは中澤のクリアである。ヨーロッパや南米のセンターバックに比べると、一般的に日本人DFはヘディングのクリアで距離を稼げない。ヨーロッパや南米ならボランチの頭を越えていくところで、もう少し手前に落下してしまうのである。その結果として、セカンドボールをめぐる攻防が生じ、二次攻撃へつなげられしまうのだ。
この場面ではイ・グノのファウルで事なきを得たが、ちょっとでも形が違えば、そして相手がW杯の対戦国であれば、クリアを拾われてシュートへ持ち込まれかねないパターンである。セカンドボールをいかに保持できるか、保持できないまでも相手にスペースと時間を与えないのかは、ギリギリまで突き詰めていかなければならない。
また、このシーンをさらに巻き戻すと、敵陣でのルーズボールの競り合いで、遠藤がヨム・ギフンに負けたことがきっかけとなっている。遠藤のほうが距離的には優位だったが、スライディングでボールをさらわれたのだった。1対1で戦っていたのは、ここでも日本ではなく韓国だったのである。
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関連情報(BiZ PAGE+)
1968年生まれ。'91年から'98年まで『サッカーダイジェスト』編集部に所属。'98年秋よりフリーに。2000年3月より、日本代表の国際Aマッチを連続して取材している