今日はスカートで登場。初めて挑戦するスタイルだ。「明日から(の本戦で)もスカートを履くこともある」(Photo JJ.Tanabe)

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 米LPGA第8戦、ジンクラブズ&リゾーツオープンが今週、フロリダ州オーランド郊外のリユニオンリゾーツ&クラブで開催される。調子を上げつつある宮里藍は、前週までに昨年のシード確定ラインを上回る賞金を稼ぎ出しており、今週はダメ押しの形で来季シードを掌中に収める大事な試合になる。しかし、暖かい陽光を受けた宮里の表情に気負いは感じられず、今日のプロアマは「試合では初めてです」というスカート姿で臨むなど、本来の宮里らしさ、女の子らしさを漂わせた。

 日中は照りつける太陽の光が痛いほど強い。しかし、「曇りも多く、風も吹いてくれたので大丈夫です」と、亜熱帯性の気候にも動じない。さすがは沖縄育ちだ。「ティから見えないものがあって、ちゃんと狙い目を定めないと、簡単にラフに入ったりする」とコースに対する警戒心も忘れない。「グリーンはアンジュレーションがすごい。ピンポジによっては、すごい難しくなる」。男子ツアーでもフロリダのグリーンに泣かされる日本人選手は多いが、宮里はどこまで攻略できるかが注目ポイントになりそうだ。

 約1ヶ月ぶりの米ツアー復帰となる諸見里しのぶも元気いっぱいだ。日本でリフレッシュした諸見里は、「(開幕4戦の間は)日本に帰りたいと思っていたけど、今回は日本に帰りたいと思わないようにしたい」と、アメリカに本格的に馴染もうという心意気を見せた。

 ところで、今大会ではスポンサー推薦で出場する13歳のアマチュア少女、ダコダ・ダウドが注目を集めている。ティーンエイジャーの出場というと「第2のミッシェル・ウィー」かと思うかもしれないが、ダウドはフロリダ州内のジュニアタイトルを多数獲得しているとはいえ、ジュニアゴルフ向けの設定コースで記録したベストスコアは74。まだまだ、ウィーのレベルに達してはいない。だが、今回の出場は、ゴルフの腕前やレベルは問題ではない。ダウドの大会出場は、病身の母親のためなのだ。

 ダウドの母親ケリー・ジョーは、全米のレストランチェーン「フーターズ」のカレンダーガールを務めたこともある元美人モデル。だが、ダウドが9歳のとき、乳癌が発症し、一度は完治したはずだったが、最近になって肝臓や骨にまで転移していると診断された。余命1年未満と宣告された母親は、娘がLPGAでプレーする姿を一目見たいと願い、その願いを知った大会側がダウドにスポンサー推薦を与えたのである。

 米LPGAには「初日に88以上叩いた場合、棄権あるいは失格を選択する」という規定があるが、ダウドには適用しない特別処置を設けた。ツアー側にも大会側にも、愛情と思いやりが溢れている。ダウド本人も、「今回はどんなスコアになるか全然わからないけど、スコアは問題ではありません。母と楽しい思い出を作りたい」。

 「病は気から」という言葉がある。実際、ポジティブな思考を抱くことで病気が治るという話を聞いたこともある。母親ケリーは、「娘がティオフする姿を見たら、うれしくて元気が出て、癌が治るかもしれない。できる限り長く生きて、あの子がウエディングドレスを選ぶのを手伝ってあげたい」と言った。娘のゴルフを通じて、母親の命が少しでも伸びてくれたらいい。そんなミラクルが起こってくれたら、ゴルフの神様の存在を誰もが信じたくなると、そう思う。

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