ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平(23)が、2018年3月29日(日本時間30日)、初打席で初安打を放ち、鮮やかなデビューを果たした。アメリカでは、ワシントンポストをはじめ、多くのメディアが元祖「二刀流」ベーブ・ルースとの比較記事を出している。

 期待の大谷に、スポーツカード業界も大きく動きだした。メジャー入り後、国内外で「大谷カード」の人気が高まり、価格が高騰しているのだ。ヤフオクでは、3月3日に大谷カード1枚が26万円で落札されるなど、さらなる上昇のきざしが伺える。

 そんななか、大谷カードを実際に50万円で販売している店舗があった。東京・新宿にあるトレーディングカード専門店「ミント」だ。ここでは、50万円の大谷カードが2枚売られている。1枚は3枚限定、もう1枚は10枚限定で、いずれも直筆サイン入り。

 この価格で実際に売れるものなのだろうか? 足立卓朗店長によると、「ぽんぽんとはいきませんが、それでも売れるときは売れます。以前、世界で1枚だけの直筆サイン入り大谷カードがうちの店にあって、85万円で売れました」と話す。

 店舗運営部部長である新家達雄さんに話を聞いた。

--大谷カードは、どうしてこんなに高いんですか?

「やはり期待ですね。今後ますます活躍するかも、と思わせる選手は高くなる。あとは、希少性も大事です。販売枚数が限られていたり、直筆サイン入りになったりすると値上がりします。デザイン性は多少は影響しますが、メインではありません。

 あとは、メジャー移籍すると、海外のファンが日本時代のカードを買い求めるようになるので、価格が高騰します。海外からはアメリカや台湾のファンが多いですね。メジャー入りして、大谷のルーキー時代のカードも徐々に値上がりしています。イチローなんかはメジャーに行って100万円くらいになったカードがあったし、世界に1枚しかないイチローカードは300万円で売られたと聞きました」

--売れるカードに地域性のようなものはありますか?

「基本的にはあります。やっぱり地元チーム選手のカードがよく売れます。ただ、大谷選手ともなると、全国各地でよく売れています。知名度がここまでくると、そうなります」

--皆さんカードを買って、その後どうするんでしょう?

「海外だと、カードが安い時期に買い占めて、その後、選手が成長してきたら売るという流れが多い。日本の方が、純粋に好きで収集されているコレクターが多い印象です。カードのパックを買って、目当ての選手がいるかわくわくしながら開封する楽しみもあるし、まったく知らなかった選手を知って応援する気持ちになることもある。選手との出会いにつながるなど、いろんな楽しみ方ができるんです」

--仕入れは、お客さんからの持ち込みを待つだけですか?

「国内では主にそう。あとは海外のメーカーやディーラーから買うこともあります」

--こんなに希少性の高いものを、どうして皆さん売ってくださるのか。

「トレーディングカードの面白いところは、買って当てるのは完全に運だということ。皆さん、いろんな選手のカードを手に入れようとしますが、やっぱり目当ての選手以外に興味がないことも多々ある。そうした流れで売ってくださる。あとトレーディングカード店とお客さんとの関係は独特で、お客さんがお店を育てて下さるような雰囲気もある。お客さんがお店を盛り上げたい、という気持ちになって売ってくれることはありますね」

--高騰したカードの価格は暴落することもありますか?

「ありますよ。最初の期待値が高すぎると、活躍しなかったときに下落する。ケガや故障も影響する。残念な例でいうと斎藤佑樹。最初は大谷のようにサインカードも10万円超えしてましたが、いまは落ちてしまった。ただ、活躍実績があれば、多少の故障等があっても暴落とまではいきません。ファンとの信頼関係があるから」

 最後に、大谷カードの価格が、今後どう動くのか予想を尋ねてみた。新家さんは「活躍次第ですが、まだ上がるかもしれない。すでにもう(価格は)高いのでもっともっと活躍しなければなりませんが、彼ならやれるかも。そう思わせてくれる選手ですね」と期待に満ちた顔で語った。

 4月1日(日本時間2日)、大谷は先発登板することが決まっている。二刀流が成功すれば、価格高騰はさらに続くはずだ。