マリナーズ・岩隈久志【写真:田口有史】

ズレンシックGMがヘルナンデス&岩隈の二枚看板を強調「脅威的なローテーション」

 マリナーズのジャック・ズレンシックGMが、レッドソックスなどがトレードでの獲得に乗り出している岩隈久志投手の放出を完全否定した。MLB公式サイトが「アグレッシブなマリナーズがウィンターミーティングに突入する」との見出しで、今オフの補強を特集している。

 今季、アスレチックスとわずか1ゲーム差でワイルドカードでのプレーオフ進出を逃したマリナーズは、オフに入ってから積極的なチーム強化に出ている。カイル・シーガー内野手と7年総額1億ドル(約120億円)で契約延長し、今年のア・リーグ本塁打王でオリオールズからフリーエージェント(FA)となっていた大砲ネルソン・クルーズ外野手は4年5800万ドル(約69億6000万円)の条件で獲得した。

 ヤンキースからFAとなっていたロビンソン・カノ内野手を獲得した今季は2013年シーズンから16勝を積み上げたが、マリナーズは更なる戦力強化に積極的だと記事では言及。ズレンシックGMは「我々は補強にアグレッシブであり続けると同時に、思慮深くあり続けるつもりだ」と話しているという。

 特に、外野手の補強の必要性が地元メディアで依然として報じられており、岩隈がレッドソックスのキューバ人スラッガー、ヨニエス・セスペデス外野手とトレードで放出される可能性も注目されている。FAのメルキー・カブレラ(ブルージェイズ)、アレックス・リオス(レンジャーズ)の両外野手も補強リストに入っていると見られている。

「真実ではない。交渉を持った事実は存在しない」

 ただ、岩隈放出のシナリオについて、ズレンシックGMは態度を明確にした。記事では、以下のコメントを紹介している。

「それは真実ではない。そんな交渉は持った事実は存在しない。フェリックスと岩隈が(先発)ローテーションのトップを形成する。他にも若い投手がいる。脅威的なローテーションだ」

 今年、サイ・ヤング賞選出の投票で2位という活躍を見せた大エースの「キング」ことフェリックス・ヘルナンデス投手と岩隈が二枚看板であることを強調。将来のエース候補、タイジュワン・ウォーカー投手ら若手の逸材も放出しない方針を明らかにしている。

 ズレンシックGMは打撃陣の強化を進める一方で、マリナーズの強さの根源は今年ア・リーグ1位の防御率3・17を誇る投手陣にあると自覚しているようだ。

「GMの仕事は(他球団からの話に)耳を貸すこと。真実かもしれないことや嘘かもしれない話も多く出回っている。仮定の話や根も葉もないこともある。単なる会話にすぎないことも、字になってしまうこともある。我々はチームの強さがブルペンにあり、我々の先発陣は本当に優秀であることを理解している。これからものすごい伸びしろがある選手もいる。我々の計画はどのポジションを補強できるかだ」

 打線強化のために、岩隈放出によって盤石の投手陣を弱体化させることは絶対に避けたい。マリナーズはキング、岩隈の二枚看板で2001年以来のプレーオフ進出を目指す。