増税で利用がますますカオス化する「ポイントカード」の個人情報は狙われている!?

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◎消費税8%対策にポイントカード利用のカオス化に拍車
コンビニやクレジットカードだけでなく、大型書店、クリーニング店、町のスーパー、パン屋さんなど、ショップの会員カードを合わせたら、お財布に入っているポイントカードが10枚を越えるという人も多いだろう。たとえばセブンイレブンのnanaco、ローソンのPonta、ファミマTカードと。それぞれ系列の店舗以外でも提示や支払いに使うことで連携してポイントがたまったり、さらにクレジットカードを利用(クレジットカード機能付きのものや電子マネーのチャージ)することでクレジットカード会社のポイントもためることができる……などなど、ポイントカードの世界はいまや奇々怪々だ。

ポイントカードを使わないと、いつのまにか「知らずにいて損をした。もったいない!」、そんな感覚に陥ってしまう。消費税8%になったいま、「上手にポイントを活用して消費税増税分をプラマイゼロに」、そんな謳い文句もチラホラ聞く。

しかしここで、冷静になって考えてみたい。「ポイントカードはどうして私たちに“お得”なのか?」

ポイントカードはどうして“お得か”? その裏にある危うさ
コンビニの会員カードの多くは提示することで10円や20円引きといった割引サービスが受けられたり、ショップやクレジットカードはためたポイントを商品と交換できたりする。私たちは、「買う」であったり「借りる」というような消費行動を取っているだけ。会員型ポイントカードは、他のショップではなく「そこ」にリピーターを生む。もちろん、これが大きな目的の1つだ。しかし、同時にこうした会員型ポイントカードの多くは私たちの消費行動を記録している。どこでいつどんな商品を購入したか、それがいくらだったのか、「POSデータ」と呼ばれる情報がすべて筒抜けになっているのだ。

JR東日本がSuica乗降履歴データを販売していたことがわかり騒動になったのは2013年9月。2014年3月には、とある事件に関する目撃情報を探すために警察がスーパーマーケットのポイント情報を利用していたという。前者の場合、販売されていたデータは個人を特定するものではないが、利用者からの抗議が相次ぎJR東日本は履歴データの販売を中止した。後者の場合、本来なら起こらなかった事態なのだが、捜査協力という形で起きてしまった。

POSデータから何がわかるのか、その議論のたびにこれまで、氏名や住所、銀行口座などクリティカル(ダメージが大きい)な情報が特定できなければいいとされてきた。しかしたとえば、どの駅を何時何分に降り次に何駅に向かうというような行動データであったり、どんな音楽を聴き、どんな本を、どんなウェブサービスを利用するというような趣味嗜好に関する情報が、この世界のどこかに蓄積されているというのは、「自分」と特定されるわけではなくとも(あるいは自分の名前が知られる以上に)気持ちが悪い。なぜなら、「知られたくない」情報だからだ。晒される危険はないという保証はないし、万が一、行動データと個人を特定するデータが紐付く可能性はゼロではないからだ。ある日突然、「あなたは何時何分にこのお店で○○を買っていますね?」と電話が来たらどうだろう? ちょっと寒気がする。

もちろん、それでもポイントカードを使うだろう。便利だし、”お得”だから。でも、その“お得”のワケは理解しておきたい。


大内 孝子