ANAの元トップ客室乗務員が語る、人間関係改善の鍵は相手への「ポジティブ出し」

写真拡大

2020年オリンピック招致の最終プレゼンテーションで、滝川クリステルさんが取り上げ、注目を集めた"おもてなし"。「訪れる人を心から慈しみ、お迎えする」と説明されたこの言葉が、IOC委員たちの心を掴み、東京招致成功の要因の一つとなったという見方が圧倒的です。そんな世界に誇る日本の美徳"おもてなし"を、日常生活で実践するうえで大事なのは「外面(そとづら)」だと断言するのが、書籍『人は「そとづら」が9割』です。

ANA (全日空)にて、元トップ客室乗務員として勤務後、現在ビジネスコンサルタントとして活躍する三枝理枝子氏は次のように語ります。

「人間一人ひとりを、家にたとえて考えてみましょう。『そとづら』とは『玄関』です。というのは、まずは家の中に入るにしても、最初に玄関を通るからです」

玄関が暗く、乱雑な感じではどんなに奥の部屋(内面)が素晴らしくても、誰も中に入りたがりません。また、家族や恋人を除いて、ほとんどの人間関係は玄関先で済むもの。それならなおのこと、玄関先である「そとづら」を磨いて、チャンスを呼びこむべきだと指摘します。

本著において、具体的に「そとづら」の磨き方として上げられているのは以下のこと。

・ 「私は」「僕は」などの一人称代名詞をほとんど言わない
・ 見ず知らずの人でも目が合ったら、(怪しくない程度に)微笑むようにしている
・ 自分の悪口を言っている人のことも褒められる
・ 叱られても「ありがとうございます」が言える
・ 人がミスや恥ずかしいことをしたときは、ナイスフォローができる
・ どんな人でも、紳士ないし淑女として見ることができる

これらはすべて、どんな状況においても、自分より相手を重んじているということを分かりやすく態度で示すことを表します。

実際には、好きな人ならともかく、苦手な人や困った注文をつけてくる人を、自分より優先することは困難なこと。そんな場合の処方箋として、三枝氏が提案するのは相手の良いところを積極的に見出すことでした。相手の長所だけをみると、自然と尊重した態度をとることができ、そのように接された人も、それに値する人間のように振る舞ってくれるものだといいます。

最近では、気鋭の評論家・荻上チキ氏が、日本社会を立て直すためには批判ばかりの「ネガ(ネガティブ)出し」でなく、具体的な改善策を建設的に「ポジ(ポジティブ)出し」していこうという提案を投げかけています。人間関係の改善においてもまた、他者への「ポジ出し」が一つの鍵となるのかもしれません。

【書籍データ】
・『人は『そとづら』が9割』 三枝理枝子著 アスコム