【ボクシング】村田諒太、世界王者への道はまだまだ遠い
興味深いのは、このゴロフキンがプロ転向後にコンビを組んだアベル・サンチェス・トレーナーから、徹底して「プロ仕様のボクシング」を叩きこまれた点だ。やや前傾に構えて圧力をかけ、持ち前の強打を最大限に生かすという戦い方は、実は近年になってゴロフキンが会得した戦闘スタイルなのである。幸運にも現在、村田も数多くの世界チャンピオンを育成した実績を持つ名伯楽イスマエル・サラス・トレーナーの指導を受けている。帝拳やアラム・プロモーターのバックアップもある。体力、パンチ力、巧みな圧力のかけ方という点で、村田がゴロフキンをお手本にして、「プロ仕様のスタイル」を確立させていく環境は整っている。
アジアと中南米に選手が集中する軽量級と異なり、ミドル級は世界的に選手層が厚く、人気も高い。当然、ビジネスとしての価値も高いものがある。アラム・プロモーターが村田に触手を伸ばした大きな理由は、実はそこにあるわけだ。ゴロフキンはプロ4年、19戦目で世界(当時は暫定王座)に到達したが、これはミドル級では異例の早い出世といえる。主要4団体の王者はもちろんだが、世界ランカーのなかに試合数20以下の選手は皆無といえる。世界戦略として村田は、「3年のスパンで考えている」というが、この間に様々なタイプを相手に、最低でも15戦は経験しておく必要があるだろう。
今後、村田は年内にもう1試合こなし、2月には巨大カジノを持つシンガポールで戦うプランが浮上している。「単に経験を積ませるような試合はさせない。意味のある試合を組んでいく」と本田会長は明言している。話題よりも、総合的な実力アップこそが、成功への最短距離といえよう。
待っているのは茨(いばら)の道だが、それは村田本人があえて望んだ進路である。プロとして最初の1ページを記した村田が、今後どんなストーリーを描いていくのか、じっくりと見ていきたい。
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