Jリーグが、来季からの2ステージ制(前後期制)復活プランをひとまず見送った。

当初、Jリーグ本部は7月9日のJ1、J2合同実行委員会で各クラブの合意を得たい考えだった。でも、意見がまとまらず、大東和美(おおひがしかずみ)チェアマンは2ステージ制のほかプレーオフ制(順位決定戦)など、そのほかのリーグ方式変更も含めて、「時間をかけて議論していきたい」と語ったそうだ。

今回、こうして2ステージ制復活が見送られた背景には、サポーターの抗議活動がある。いつもはおとなしい日本のサッカーファンが、久しぶりに“行動”を起こしたんだ。

合同委員会当日、Jリーグ本部のあるJFAハウス(日本サッカー協会のビル)前では数十名のサポーターが抗議の横断幕を掲げ、それ以前にも各スタジアムには抗議の横断幕が多く掲げられた。

これは当然の反応だろう。なぜなら、「なぜ今、2ステージ制を導入するのか」という大事な説明がまったくなされないまま、“密室”で決められようとしていたのだから。

そもそもJリーグは1993年の誕生当初、2ステージ制を採用していた。ところが、「年間を通じて最もよい成績を残したクラブを王者に」という方針の下、2005年から1ステージ制を導入した。その1ステージ制はサポーターの間でも定着しているし、“世界基準”でもある。それをなぜ、今になって覆すのかという話だ。

Jリーグ本部は、2ステージ制復活によって、苦戦する観客動員数の増加や放映権料、スポンサー料の収入増につなげたいらしいけど、本当にその見込みは当てにできるのか。また、そうした事情があるなら、しかるべき人物がマスコミやサポーターにきちんと説明し、幅広く意見を聞いた上で、議論を尽くすべきだろう。


個人的な意見を言えば、理想はもちろん1ステージ制だけど、2ステージ制復活に絶対反対というわけではない。今のままではJリーグはジリ貧だと思うからだ。

2ステージ制にすることでお金がたくさん集まり、経営が苦しいクラブに利益を還元でき、もう一度魅力のあるJリーグに戻せるのなら、たとえ世界基準でなくても、一時的に2ステージ制を復活させるのも手かもしれない。でも、現状はその判断材料すら与えられていない。僕に限らず、サポーターが「俺たちを無視するな」と怒りの声を上げるのは当たり前だ。

今回、拙速な2ステージ制復活をもくろんだJリーグ本部には、あらためて「Jリーグはサポーターのものだ」と言いたい。貴重なお金と時間を割いてスタジアムに足を運ぶサポーターがいるからこそ、放映権が売れ、スポンサーもつく。それを忘れていなかっただろうか。

一方、サポーターは一致団結して行動を起こせば、日本のサッカーに大きな影響を与えられることがよくわかったはず。不満や納得いかないことがあるなら、もっと積極的に意見を表明していいと思う。

例えば、日本代表が(韓国で開催中の)東アジア杯で優勝できなかったら、ザッケローニ監督の解任を求めてもいいんだ。実際に監督が解任されるかどうかは別だけど、声を上げることで、少なくとも議論を呼べるはずだから。今まで日本のサポーターはおとなしすぎたね。

(構成/渡辺達也)