法外なインセンティブ契約
 昨オフ、横浜から巨人にFA移籍した村田修一を巡っても、ひと悶着。前出・球団関係者が説明する。

「原監督の『獲ってほしい』という要望を、清武氏は突っぱねました。補強の実権は清武氏が握っており、監督の要求は3割程度しか聞き入れられなかった」

 清武氏は著書にこう記している。

〈前年から資料や写真を使って説明を繰り返し、「獲得しない」という結論で巨人軍も渡邉もまとまっていた。特に、社長の桃井恒和が村田の得点圏打率の低さを指摘したことが印象的だった。村田の名前すら覚えないので、毎回、一から渡邉に話をして、「わかった」の言葉で終わっていたが、私が巨人を解任されたあと、巨人は一転して村田獲得に走っていた。あの「わかった」は何だったのだろうか〉

 清武氏は巨人のみならず、他球団の内部事情にも触れている。「極秘文書入手」のくだりがそれだ。

〈某球団の極秘文書が私の手元にある。ある年、この球団は大学の有名選手を自由獲得枠で獲得した。(中略)その文書には裏金を含んだ密約の一部が記されていた。

・契約金1億円

・インセンティブ2億〜2億5千万円(本人と調整中)

・4〜5年後メジャー挑戦の確約(本人と調整中)

・特別金300万円×6カ月(7月〜12月)前払い契約金とする〉

 当時の12球団申し合わせでは、インセンティブは5000万円を上限と決めていた。さらに「特別金」は、入団する翌年1月までの半年間、選手に毎月300万円の小遣いをやるという約束らしい。明らかな違反行為を示す爆弾情報である。前出・デスクがささやく。

「今オフのメジャー挑戦が濃厚とされる阪神の鳥谷敬、またはソフトバンクからオリオールズに移籍した和田毅ではないか、などとさまざまな憶測が流れましたが、真実はわかりません」

 昨年11月4日、いわゆる「清武の乱」の少し前、原監督が読売新聞の主筆室に渡辺会長を訪ね、野手の補強を訴えた。清武氏はその様子をこうつづっている。

〈三連覇に貢献した小笠原道大、高橋由伸は力が衰え、亀井義行は戦力と計算できない、と彼は断言した。アレックス・ラミレスは放出してもらいたいという意見だった。選手はそれを敏感に感じている。(中略)ラミレスは終盤戦のさなかに東京ドームの一室に私を訪ねてきたことがある。

「(中略)私にはもうオファー自体をしないでほしい。(中略)原監督はもう自分をリスペクトしていない。以前は直接、監督と話ができたのに、最近は大事な話もコーチを通じてしかできなくなった。(中略)原監督はもう屋外の球場では先発で使わない、と私に通告した」〉

 ラミレスの横浜DeNA移籍は、監督との遺恨が原因だったのだ。確かにラミレスの守備のひどさには投手陣から苦情が続出していたこともあり、両者の利害が一致した結果の直訴だったとも言えるのだが・・・・。