毎日手帳を開くことで自然と地震や災害について考える。福島発『被災地が作った防災＋手帳2012』
突然こいつ何書いてんだ？と思われるかもしれませんが、私はだた手帳を読んでいるだけなんです。皆さんの手帳には書いてないの？ じゃあ、今日1月6日が何の日かは皆さんの手帳にも書いてありますよね。せーの、＜横浜DeNAベイスターズ初代監督・中畑清氏が福島県矢吹町に生まれた日＞。新年早々めでたいですな……。
えっ、これも書いてない！？
■毎日明るく元気に過ごしたい方に… 『ふくしま手帳2012』
先に紹介したような福島マメ知識や福島県にまつわる様々な記念日が記されているのが『ふくしま手帳2012』です。
これまでにも教訓やことざわが書かれていたり、その日の出来事がおさめられた手帳はたくさんありました。でもこの手帳が無駄にすごいのは、福島にまつわるご当地ネタだけが毎日ひとつずつ紹介されているニッチなところ。今年は閏年なのでその数366個！福島出身の私でも9割近くは知らないことばかりな彫りの深さです。
例えば、サンドウイッチマンの伊達みきおはサラリーマン時代に郡山市に住んでいたとか、たこ焼きを発明した遠藤留吉さんは福島県出身だとか、7月10日ウルトラマンがテレビに初登場した日は、監督・円谷英二が須賀川市に生まれた日でもあるとか、福島にはご当地バーガーが少なくとも6種類はありそうだとか。これでもだいぶ全国の皆さんがついてこれそうなネタを抜粋したつもりですが、本書の中ではもっともっとディープな福島ネタが満載です。
また巻末には、福島県の桜マップ、ルートマップ、道の駅ガイド、ご当地グルメにソウルフード、さらにはハートの形にこだわった地形や食べ物を紹介する「LOVEふくしま」などがカラー写真で紹介されていたり、福島県の歴史・温泉・百名山などの資料も充実していて、そんじょそこらの福島県ガイドブックよりもよっぽど優秀です。しかも、帯に「福幸祈願」と書かれているように、どの情報も前向きになれる元気な福島の姿なのが嬉しいかぎり。以前エキレビ！でも紹介されたデーブ・スぺクターのTwitter本の中で＜福島の皆さん、希望を持って！ 英語だと「Lucky Island」ですから！＞なんていうツイートがあって多いに励まされたのですが、この手帳はその「Lucky Island」たる由縁を教えてくれているようです。福島県が好きな方・福島を応援したいという方なら、毎日福島に触れることができるうえに、この手帳から元気をもらえるのではないでしょうか。
■毎日賢く備えておきたい方に… 『被災地が作った防災＋手帳2012』
元日に関東で起きた震度4の地震で、久しぶりに地震や災害への緊張感を思い出した方も多いのではないでしょうか。日々をうっかり過ごしていると、地震への恐怖や備えはついつい疎かになってしまいがち。何より大切なのは、毎日の生活の中で地道に災害への備えや知識を蓄積していくことではないでしょうか。そこに目を付けたのがこの『被災地が作った防災＋手帳』です。
こちらの手帳では毎日ひとつずつ、災害に備えて意識しておきたい考え方、災害時に役立つ生活の知恵、これまでに起きた大きな災害データなどが記されているので、毎日手帳を開くことで自然と地震や災害について考えることにつながります。また、地震・津波・放射能などの災害にどう対応すべきかがコラム形式で60ペーに渡って紹介されていたり、表紙の裏には怪我をした際の応急処置の方法がまとめられています。いざという時にネット環境が役に立たないことは3・11を通して我々が学んだことのひとつですが、そんなときこそアナログな手帳に必要な情報がまとめられているのはかなりの安心材料です。また巻末には災害時に連絡先を交換したりするのに役立つ複写式メモ帳が収められているなど、とことんいざというときの実用性を意識した作りになっています。
「ご当地手帳」というと、『京都手帖』や『鎌倉手帖』などのメジャーな観光地向けの手帳はご存知の方も多いと思います。また、各都道府県で製作する、地域の様々な統計データやその土地の成り立ちなどがまとめられた『県民手帳』はこれまでにもありました。でも、今回紹介した2冊の手帳はまさに地域の声がつまった「福島発のご当地手帳」であり、つながりを意識したい今こそ注目すべきカタチとして今後ますます増えていくような気がします。あなたのお住まいの地域でもそんな「ご当地手帳」がありましたら是非教えてください。
（オグマナオト）
