エキレビ!ライター陣は、今日もファミチキを食べながら人生と戦っているのである!

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編集のかときゅんから指令が来た。
「ファミチキ、何時に食べるのがおいしいか、それを探れ」
なんですか、それは。
「ファミチキ、知ってるでしょ?」
食べたことないですけど。
「えええええええ! ファミチキ、食べたことないの? もったいないのもったいない。人生損失、補填不可能ですよ、それ」
いや、おおげさな。
「マジ。マジで。ファミチキ、うまいよ。でもね、おれんちからファミリーマートちょっと遠いの。30分ぐらいかかるのね、歩いて」
ぼくんちは五分ぐらいのところにありますよ。
「だから、何時に食べるファミチキがうまいか、それを調べてもらいたい!」
ガチャン。黒い電話、切れる。
というわけで、ファミチキ何時に食べるのがうまいか実験スタートです。


10時
っつても起きたの9時30分なので10時スタート。
ファミリーマートに行く。
ファミチキ、あるある。
さっそく1個買う。

切れ目にそって袋を半分に切る。
かすかに湯気をあげてファミチキが登場。かぶりつく。コロモのサクサクッとした触感にぐっとくる。ここまではチキンというよりスナックの手軽な感覚が前面に押し出されている。
歯をその先に進めると、じゅわっ。柔らかい。鶏肉、柔らか。この驚異的ふかふかふんわりは、なんだ。赤ちゃんのほっぺの柔らかさを連想。ほにょーむにゅー。多幸感で夢見心地になった瞬間、ジュジュワーっとジューシー旨味が口いっぱいに広がる。ミルクか、俺がベイビーか。ちがう。肉汁だ。でも、肉ッって感じのしつこさじゃない。爽やか。口の中に、青空ぽっかりと白い雲、そこでファミチキを食べてる自分。そんな絶景が口内にひろがる。

12時。
お昼。お昼だから2個にしようかなーと思ったけど、「この後、2時間おきに食べるんだから!」って言いきかせて自制して1個。
がぶがぶっと乱暴に食べる。うまいッ。んで、すぐこの原稿を書いている。キーボードを打ちながら気づいたのが、ジューシーバランスの絶妙さ。
ジューシーなんだけど汁が外にたれてこない。口の中で広がるのを待ち構えて、いまだッ発射ッって感じでジュジュワーあああーん幸せーッ。
このサクサクッとジュワーのハーモニー、味の調和。虹村億泰の名言がつい口に出る。「例えるならサイモンとガーファンクルのデュエット! ウッチャンに対するナンチャン! 高森朝雄の原作に対するちばてつやの『あしたのジョー』! …つうーっ感じっスよお〜っ」
ジューシーすぎて、かぶりついたときにダラっと外へたれて、袋を持つ手についちゃうと、手がべとべとで台無しだけど、そうならないように作られてる!(この後、一度も、手がべとつくような不快さは無し、ゼロ)
食い終わって、手を洗わなくてもキーボード打てますよ、の親切チキン。そのへん抜かりない。
あああ、言い忘れたけど、骨ありません。そのまま、がぶがぶまるまる食べられる。心ン中まであたたまるよ!
「ファミチキのレベルが高すぎる」とネット上で話題になってたのもむべなるかな。うまいッ。
いまのファミリーマートの社長さんがチキン大好きですごい情熱で作ったという噂も、ただの噂じゃないな。

14時。
ちょっとお腹いっぱいになったので昼寝。社長がじきじきにファミチキを揚げてくれて、それをCMやってるKARAのみなさんと、ぼくが「うひゃーハッピー」とか言いながら食べてる夢。どんだけファミチキフリークなのか俺。
目覚めたら、かときゅんから、「ファミチキなう」ってメールが来てた。駅のホームでファミチキ食ってる写メつきだ。寸暇を惜しんで食うとるな、こいつ。
ファミチキ二本買ってきて、一本食べる。うまいッ。飽きないな俺。

15時
うむ。14時に買ったファミチキを食う。さめているファミチキはうまいのか。食う。ほくほく&ジュワーはなくなってるけど、いけますよ、落ち着いて食べる。
ファミチキ好きのライター夏トマトから、「ファミチキ食べてますか。公園で食べると美味しい。子供が寄ってきます」というメール。

17時。
ファミチキの日であることを公言していたので、いろんな人がメールをくれる。
知人から「ファミチキ、ねぎとろ巻とあうよ」ってメールもきた。ならば、ってんで、ねぎとろ巻と缶ビールとファミチキを買って、食う。
くはーーーーーー。いける。わさびとあうね!
腹いっぱいで食べられなくなるかもと思ったけど、このファミチキサイズ、別腹。別腹にぴったり。
っていうか、今日はファミチキ食いまくってるので、別腹も何もないんだが、ビールでぷはーってねぎとろ巻むしゃってファミチキ、最高。

19時
なんか、もう二時間後が楽しみになってる俺、だいじょうぶか。ファミチキたいむーっ。こんどは、コールスローと一緒に食う。うまいっ。コールスロードレッシングをファミチキにちょっとつけてみたりして、うまいっ。
しかし、別の問題が発生してきた。
「何時に食べてもうまい」なんて結果になると、原稿の趣旨と噛み合わない。困った困ったぽくぽくぽくぽくチーン! ヒ・ラ・メ・イ・タ!
揚げたてか、どうか。
ここだ。ポイントは、ここですよ。
さすがに、揚げたてとそうじゃないのと、うまさがぜんぜん違うだろう。
っつうか、さらに気づいて愕然。おれは、いまだ揚げたてを食べてないではないかッ。
ふらっと行って、ふらっと買って食ってるのだ。
こッ、こ、これ、揚げたて食うと、どんだけうまいんだ。
想像するだけで、ルン!ルン!ルン!ぬウフフフフって歩きながら笑ってしまいそうになる。
ううむ。さっそく行ってみる。

21時。
ガーーーーン。
ファミチキのぞくと、1個残ってる。
「揚げたてください」って言うのもずーずーしいかな。言いにくいな。
ぽくぽくぽくぽくチーン! またヒ・ラ・メ・イ・タ! 2個買えばいいのだ。すると、少なくとも1個は揚げたて。味も比べられる! 天才だな、俺ファミチキ食って天才になったな(妄想)。

「2個ください」と言ってみた。
「すみません、1個しかないので、お時間いただくことになるのですが」
「OK、どれぐらい?」
「5、6分ぐらいです」
待つ。
残った1個と揚げたて1個をくれるのかと思いきや、揚げたて2個くれた。
やほーーーい! 揚げたてダブルーーっ!
味を比べるという使命を忘れて喜んでしまう。揚げたて2個!
熱い。
ほくほくである。
揚げたて、うまいッッッ。自分の内側から、うまいッッッって感情がほとばしり出る。
だが、それ以上に感動したことがある。
それは、ファミチキの耐久力。ねばり強さ……。
揚げてから時間たったヤツでもうまいのだ。揚げたてほくほくも魅力だが、少し落ち着いたファミチキもほくほくさキープ、それどころかジューシーさがグッと際立つ。
いや、ずっとファミチキの前で張ってたわけじゃないので、作られてどれぐらい時間がたってたのかわからないし、時間たったら入れ替えてるのかどうか、といったことも知らない。
だから、どのくらいファミチキちゃんの美味しさが耐えがんばっていたのか、その苦労を、ぼくは知らない。
知らないけど、ファミチキちゃんの声は聞こえる。「耐えることなくして、勝利はないんだっ…!」

23時。
しかし、だ。今日、これ以上、ファミチキ買いにいくと、さすがに店員に「どんだけファミチキ好きなんだ認定」されかねない。というか、もうされていると思う。
と心配しつつもファミリーマートに足が勝手に向かって到着すると、あああセーフ! お店の人が変わっている。
「ファミチキ2個ください」
ファミチキ、何時食ってもうまいっすよ!(っても食いすぎには注意ね)(米光一成)