経団連の指針が有名無実化し、新卒大学生・院生の就職活動がぐんぐん早期化、長期化している中、かつてあった就職協定復活の声も出ています。単なるお題目ではなく、『メリット』があることこそ、正常化の推進力になるでしょう。

朝日新聞朝刊に、「大卒求人の撤回企業相次ぐ」という記事が出ていました。
新卒学生の就職難のさらなる深刻さの一つと受け止められものでしょが、こうした事態は現在極限まで来ている就職難の状況の、構造的改善への好機とも言えるのではないかと考えます。

正常化に向けた改善はただの正論では無く、就職に関わる主役三者、学生・企業・学校にメリットが無ければ実現は出来ません。実際、大学生・院生のキャリア支援をしていて、就職という「正解の無いテスト」に呻吟する学生たちの悲痛な状況は肌で感じているからです。学生たちには、不運や理不尽さを嘆くのではなく、このような環境下でも採用される人間がいるという事実を認識し、「採用される」人材とは何かをしっかり把握するよう指導し、事実この仕組みを理解できた学生は、続々と成果につながり、逆に「自己流」で素人がプロの企業人事に立ち向かう非効率戦略のままの者の多くが苦戦していることが見て取れます。

一方企業側も、現在の経営環境を考えれば新卒採用に消極的にならざるを得ないのは理解できると言えましょう。不確定な環境下で採用を進め、後で「内定切り」のような事態に至れば、致命的企業イメージの損傷につながる訳で、そんなコラム（「内定取消し問題をコーポレートブランディングから考える」）もかつて書きました。それならば採用活動を中断する方がまだましというのが今回の「求人撤回」の動きにつながったと考えられます。


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