京都府八幡市長が産休入り、11月上旬に復帰予定…支持の声90件の一方で「任期中に無責任」など否定的な意見も70件
京都府八幡市の川田翔子市長(35)(1期目)が、産休に入った。
現職の首長では初めてとみられ、産前・産後に各8週間の休暇取得を予定する。これまで女性首長の産休は想定されていなかったこともあり、議論を呼んでいる。(京都総局 布施勇如、清水美穂)
川田氏は17日、庁内のオンライン掲示板に「『首長の産休取得』という新しい一歩を踏み出すことができた。今後、全国で価値ある前例となる可能性はおおいにある」とするメッセージを投稿した。19日は地域の祭りであいさつを述べ、産休前の公務を終え、20日から産休に入った。出産後、11月上旬に復帰を予定する。
首長の産休は、法的に明確な規定がない。産休を定める労働基準法は、地方公務員の一般職には適用されるが、選挙や任命で選ばれる市長ら特別職は対象にならない。地方自治法では、市長に「事故」があれば、副市長が職務を代理するとしている。川田氏は、出産もこれにあたるとして「産休」を取得する。
「全面的に賛同」「立派です」。これまでに市には、産休を支持する意見が約90件寄せられた。一方で「任期中に無責任」「出産するなら立候補すべきではない」といった否定的な声も約70件。SNS上でも賛否両論が入り交じった。
川田氏は本紙の取材に、「市長は船長のようなもの。席を離れても船を下りるわけではない。市政はチームで運営する」と語る。
産休前には市の課題や災害発生時の対応など、市幹部と細かに打ち合わせた。産休中も週1回程度はオンライン会議に出席するほか、重要案件は自らが決断し、給与も減額しない。
女性議員が増えてきた国会や地方議会では、産休が認められる流れがある。
参院で2000年、衆院では01年、「出産」が国会を欠席する理由として規則に明記され、実質的に産休が認められた。
新潟県津南町の前町長、桑原悠(はるか)さん(39)は、町議時代の14年に第1子の出産を控え、国会と同様の改正を町議会に求めた。既存の欠席条項で運用できるという意見もあったが、「出産」の文字を盛り込むよう働きかけ、実現後は自ら産休も取った。その後、全国の地方議会に広がった。
一方で、総務省の調査では、全国の市区町村長のうち女性は昨年末でわずか4%でしかない。女性首長の出産はほとんど想定されていなかったといえる。
10年に知事として初めて育休を取得した前広島県知事の湯崎英彦さん(60)は、「首長の産休は当然だ。男性の育休が広がったように、産休も当たり前になるのでは」と語る。
国際機関「世界経済フォーラム」が公表している男女間格差を表す「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は25年に148か国中118位。国会議員などへの「政治参画」では125位まで落ちる。
川田氏は「市長の出産は想定していないからといって排除せず、どうするのかを議論すべきだ。今回の産休が市長でも仕事と出産を両立できるメッセージになれば」と期待する。

