寝ても消えないその疲れ、更年期やPMSではなく「副腎疲労」かも。予防策3つでストレス軽減、チェックリストも
この時季、「寝ても疲れが取れない」という人も多いのでは? もしかしたらその疲れ、「副腎疲労」かもしれません。今回、起立性調節障害(OD)の専門医であるHealth&Cureクリニック赤坂の院長、山口里恵先生に、副腎疲労のメカニズムや予防方法、症状が似ている更年期障害や夏バテとの見分け方について教えてもらいました。

副腎疲労は「慢性的な疲れ」のサイン
一般的な疲れと、副腎が悲鳴を上げている慢性的な「副腎疲労」の状態、特徴的な症状や見分け方はあるのでしょうか?
「寝たら疲れが取れるのであれば、問題ありません。普通に生活をしてリセットできるのであれば、それはちょっとした疲れ。でも寝ても改善しなかったり、長くつらい状態が続いたりする場合は、副腎疲労の可能性を疑ってもいいかもしれません」(山口先生、以下同)
●「それ、副腎疲労かも?」セルフチェックリスト
副腎疲労が疑われるおもな症状として、以下のものがあります。
・朝の不調と慢性的な疲れ
例:布団から出られない、一日じゅうだるい、夕方になると少し元気になるなど
・感情と認知機能の著しい低下
例:イライラする、気分の落ち込み、集中力・記憶力の低下、ストレスに耐えられない、うつっぽいなど
・身体的不調、免疫機能の乱れ
例:立ちくらみ、めまい、低血圧、冷え、性欲減退、風邪をひきやすいなど
・食欲の異常、その他の症状
例:塩辛いもの、甘いものを欲する、カフェイン依存、不眠、PMSの悪化、傷の治りが遅いなど
当てはまる項目が多い場合は、注意が必要です。
寝ても疲れが取れない副腎疲労のメカニズム
一般的な疲れが「エネルギーの枯渇(カラッポ)」だとすれば、副腎疲労は「エネルギーを貯めるタンクそのものが小さくなっている状態」と山口先生は語ります。
エネルギーを貯めるタンク自体が小さくなると、少し動くだけですぐに疲れてしまいます。さらに、いくら寝ても充電できるスペースがわずかなため、ひと晩休んでも疲れが回復しないという悪循環に陥ってしまうのです。
「この状態の背景にあるのが、ストレスと戦う臓器『副腎』の疲れです。ストレスが続くと、副腎から『コルチゾール』というホルモンを出してがんばろうとするのですが、休む間もなくフル稼働し続けた結果、臓器そのものがヘトヘトになってしまっているんです」
●梅雨〜夏の季節はとくに注意!
春の新生活からくる緊張や不安、GWの連休が明けてドッと疲れが出るところに、急激な気温や気圧の乱高下…。
梅雨から夏にかけての季節は、明らかに体にとってはストレス。子どもにとっても、社会人にとっても、梅雨から夏は副腎疲労が引き起こされやすい季節といえます。
副腎疲労を予防する「3つの方法」

特別な病気というよりも、ストレス社会を生きる現代人ならだれにでも起こりうる副腎疲労。その予防方法についても聞いてみました。
●1:腸内環境を整える
「腸内環境はストレスともじつは密接な関係があります。そもそも副腎がフル稼働しなければならない状況が異常といえます。腸が元気で、しっかりセロトニンが出せている体であれば、ちょっとのストレスも流せるんです」
山口先生によると、「腸内環境が乱れているとストレスを大きなこととして感じてしまい、そのせいでコチゾールが過剰に出てしまう」というのが副腎疲労のスタートなのだそう。
「だからストレスを減らす、ミネラルや食物繊維をしっかり摂って腸内環境を整えることが、副腎をケアする上で大切だといえます」
●2:「食べる順番」で血糖値の急激な乱高下を防ぐ
また、「低血糖」と体が判断すると、ストレスホルモンが分泌され、アドレナリンの影響でイライラしたり動悸がすることも。副腎疲労を抱える人は、血糖値のコントロールが難しくなってしまうケースもあるといいます。
「血糖値の乱高下(スパイク)を防ぐ日々の食事のコツは、食べる順番にあります。糖の代謝能力(耐糖能)には個人差がありますが、最初に野菜(ベジファースト)や、脂質を含んだタンパク質を摂り、最後に糖質(炭水化物)を食べることで、血糖値の上昇を緩やかにすることができます」
●3:おやつや間食も「タンパク質」を意識する

この血糖値の乱高下は、大人だけでなく子どもにとっても意外な盲点だと山口先生はいいます。
「子どもが10時と15時に摂るおやつ(間食)は、血糖値を一定に保つという意味で非常に理にかなっています。ただし、砂糖たっぷりのお菓子を単独で食べるのは避けたいところ。ゆで卵、ナッツ、チーズ、ヨーグルトといったタンパク質が含まれるものを意識して選びましょう」
お菓子をすべて禁止にする必要はないそう。
「先にナッツやチーズを食べてからお菓子を食べる! というルールにすれば、血糖値の急上昇を抑えられるだけでなく、お菓子の量を相対的に減らすことができます」
更年期障害やPMS、熱あたりとの見分け方

山口先生によると、慢性的なだるさやイライラといった副腎疲労の症状は、更年期障害やPMS(月経前症候群)などの女性特有の不調と非常によく似ているそう。
「これらを見分けるポイントとして、たとえばホットフラッシュ(突然のほてりやのぼせ)がある場合は、更年期障害特有の症状といえます。また、不調の波が月経周期に連動している場合は、PMSの可能性が高くなります」
もっとも確実なのは、医療機関で「ホルモン値」を測定すること。ただ、これらは完全に別物というわけではなく、副腎疲労と更年期障害(またはPMS)の両方が重なっているケースも少なくない、といいます。
「暑い季節に気をつけたい熱あたり(軽い熱中症や夏バテ)との違いは、体の不調が出るまでのきっかけや経緯がポイントになります。明らかな環境の変化でバテているのか、熱によって具合が悪いのか、きっかけが明らかな場合は、副腎疲労を疑いません」
●副腎疲労の治療の「最善策」
副腎疲労になった場合、どのように治療すればよいのでしょうか?
「ステロイドのホルモンを微量で内服します。ないものが補充されるので、比較的改善しやすいです。ただ、あくまでも薬は短期間。最終的にはステロイドはなくせるように、生活習慣、食生活を整えて併用していくことが副腎疲労の治療の最善策といえます」
