熱中症・夏バテを防ぐ“梅雨から夏の水分補給”のコツ。上がりがちな血糖値を整える「最強フード」も
新生活の疲れが抜けないまま、梅雨のだるさや夏バテに悩む人が増えています。自律神経と関係が深い起立性調節障害(OD)を専門とする小児科医でHealth&Cureクリニック赤坂の院長、山口里恵先生は「この時期は水分補給にも注意が必要」と語ります。朝晩の気温差も大きいこの季節ならではの“不調の対処法”について教えてもらいました。

「気圧の乱高下」と「春のツケ」が引き金で体が不調に
今年は6月から大きい台風が日本を直撃し、気圧の乱高下の激しい日が続いています。
「一般的に、梅雨の時期は気圧が下がりやすくなります。この気圧変化を耳の奥にあるセンサー『内耳(ないじ)』が敏感にキャッチすると、交感神経が過剰に刺激されてしまうことに。これが、梅雨どきに自律神経が乱れる大きなきっかけになります」(山口先生、以下同)
春からの新生活で緊張が続いたり、いきなりの夏日で激しい気温差に見舞われたり、といった環境の変化は、自覚はなくても体にとっては大きなストレス。
さらに、そのように体力が削られている状態では、よかれと思って行う「水分補給」も、さらなる体調不良を引き起こしてしまうこともあるそう。
水だけでは不十分!?夏の水分補給で知っておきたいこと
暑いからといって、水だけを大量に飲むのは「じつはNG」と山口先生は指摘します。
「水だけを飲むと一時的に血液が薄まり、体は余分な水分を排泄しようとして尿をつくります。しかし、尿は体内のナトリウム(塩分)も一緒に排出してしまう性質があります。そして汗の中には、ナトリウム、カリウム、マグネシウムといった大切なミネラルも含まれているので、暑いときは水分と一緒にこれらのミネラルも補給する必要があるのです」
体内の熱を水分と一緒に追い出すつもりが、塩分やミネラルのバランスが崩れ、血液が薄くなってしまうという悪循環が、熱中症や夏バテを引き起こす“思わぬ盲点”に。
●夏はミネラル豊富な「天然塩」がおすすめ
また、「塩の選び方」も重要で、山口先生は「できるだけ海水の天然塩」を選ぶのを推奨しています。
「スーパーなどで販売されている塩は、イオン交換膜法という近代工業的な製法によってつくられる『精製塩』と、天日干しや釜炊きによって結晶化させ化学処理を伴わない『天然塩(自然塩)』の2種類にわけられます」
天然塩の見分け方は、原材料の欄に「海水」もしくは「岩塩」と単一で書かれているものがマスト。ミネラルがたっぷり含まれている可能性が高い塩といえます。
山口先生がリアルに愛用する「天然塩」3選

スーパーやネット販売で手軽に購入できるおすすめ天然塩を、山口先生に教えてもらいました。
●1:家庭で使いやすい「海の精」

「家庭で使いやすいなと思うのは『海の精』。伊豆大島の海水だけを太陽と風の力で濃縮し、火の力で丹念に炊き上げた塩で、自然なミネラルをしっかり摂取できる上に、リーズナブルでどこのスーパーでも比較的手に入りやすいです」
●2:サウナ好きな人に人気の「ぬちまーす」

「サウナ人気に伴い知名度も急上昇している『ぬちまーす』は、マグネシウムの含有量が高いので、汗をたくさんかく人にとっては賢い選択です。ネット販売で手に入れやすいのも魅力」
ただし、どんなにすぐれたものでも「過剰摂取」には少し注意が必要。マグネシウムは、極端にとりすぎると腎臓に負担をかけてしまう側面も。
「古くから日本人はにがり(主成分はマグネシウム)を食文化に取り入れてきましたが、現代人の体質や腎臓への影響を考えると、医学的にもこれが絶対的な正解という適量を一概に決めるのは難しいところ。非常に優秀な塩だからこそ、一度に大量にとるのではなく、日々の生活の中で上手に、適量を取り入れていくのがベストです」
●3:岩塩由来のヨーロッパ産「アルプス岩塩」

「ミネラル成分がとれるという観点では、岩塩からつくられる天然塩もよいかと思います。ただ多くはヨーロッパ産で、水が硬水です。日本は軟水なので、日本人の体には海水からつくられる天然塩の方が吸収されやすい、という側面も」
夏の食欲不振を撃退!医師のリアルな「お手軽ごはん」

そんな山口先生のある日の朝食メニュー。
たっぷりの天然塩で握ったサケのおにぎりに、お弁当につめきれなかったシューマイや具だくさんのみそ汁を添えて。
●塩分とタンパク質がとれる最強の食べ物
「とくにみそ汁は簡単につくれて、タンパク源も豊富。野菜や海藻などの具もとれるので、大変おすすめ」と語る山口先生。
「血糖値が激しく乱高下して、体がだるくなったり、ボーっとしたり、眠くなったりしてしまう血糖値スパイクの症状を抑える効果もあります。食欲のない朝は無理に食事をガッツリ食べなくてもいいので、みそ汁から塩分やタンパク質をとれるといいですね」
●冷たい麺と「一緒に食べるといいもの」
夏はそうめんやお蕎麦など、どうしても冷たい麺類が食べたくなる夏。
「そういうときは、炒り卵やそぼろといったタンパク質メニューも一品添えるようにしています」と山口先生。
「お蕎麦屋さんのメニューにあるだし巻き卵や鴨肉は、じつは栄養バランスの面からすごく理にかなった組み合わせなんですよ。そして内臓の温度が下がるのも、腸の免疫細胞の活性化を低下させる一因。素麺やアイスなど、夏休みは冷たいもので体が冷えがちなので、食後にそば湯やお茶など温かいものを飲むように心がけるもの大事です」
