孤立する若者「親にアルバイト代を取られる」3人に1人以上が『借金して生活費に』 調査したNPO代表は「自己責任で…はあまりにも厳しい」

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困窮する若者のリアルな声が届きました。「物価上昇で、もやしと豆腐で生活…。」「親にアルバイトのお金を取られてしまう…。」経済的問題に加えて家族の問題を抱え、アンケートした3割以上が『借金したことがある』と回答しました。

10月16日、都内で会見を開いた認定NPO法人「D×P」は、孤立する若者らを支援するSNSツール「ユキサキチャット」の登録者を対象にしたアンケート結果を発表しました。(年齢:13歳から25歳 回答者数:420人 調査期間:9月30日〜10月7日)

◆調査のテーマは「お金の使い道」

調査結果によると、37.1%が「お金を借りたことがある」と回答しました。

お金を借りた背景は、「自身の収入が減った」が最も多く48.7%、次いで「ひとり親家庭」が35.3%、「自身が病気を抱えている/病院に通院している」が33.3%となっています。(複数回答)

借りたお金の使い道は、「生活費(家賃や食費)」が77.6%、「医療費」という回答も21.8%ありました。(複数回答)

◆孤立する若者の多くは「親に頼れない」関係

背景には家庭内が不和である、家族が生活保護を受けている、虐待暴言などのモラルハラスメント、アルバイト代の搾取など経済的虐待、などの深刻な事情があります。

D×Pに寄せられた声は以下のようなものです。

・『親の収入では足りないので朝昼のごはんはお小遣いを崩して用意しています。最近は物価高騰の影響もあって明らかに足りず、食べずにしのぐか、フードパントリーで食事を頂いています。体重が落ちてきて体調が優れず、危機感を感じています。』

・『物価上昇と電気代の高騰で食費を削るしかなく、お米ともやし、豆腐、納豆など出来るだけ安く購入出来るもので何とか最低限の生活をしています。』

・『親にアルバイトのお金をほとんど取られてしまい、一人暮らしの家の家賃も払えず、友達の家にいます。親から毎日のように千円、二千円とお金を取られ、体調を崩して仕事に行けなくなり、病院に行くお金も今はありません。どうしたらいいでしょうか。』

◆チャット利用して相談受け付け

「D×P」は不登校や家庭不和などを理由に孤立している10代の若者らにチャット相談や食糧支援を実施し、活動拠点の大阪では、いわゆる「グリ下」に集まる若者らに食事や相談ができる居場所を提供しています。

こうした若者は、金銭的困窮に加え、家出で住所が定まらない、うつ状態などメンタルの問題を抱えていることも多く、近年の物価高騰などが加わって、困窮度は増しているそうです。

◆「自己責任」はあまりにも厳しい

今井紀明代表はアンケートをふまえて、「複数の問題を抱えている若者たちに『自己責任で』というのはあまりにも厳しい」と話しました。

今井代表はこうした若者が支援制度にたどり着くには、現行の「役所に出向く」「大量の書類を書く」という申請方法はハードルが高すぎるため、今後、オンラインを活用した支援制度の構築を、国などに求めていきたいとしています。

しかし、差し当たっては支援です。

年末年始は寒さをしのげる場所も減り、普段一緒にいる友人が家族と過ごすなどして、ますます孤立が深まる可能性があり、その時期の食糧支援などを行うためクラウドファンディングを始めています。

今井代表は、「支援物資の価格も1割ほど高くなっている一方、寄付は減っている」と危機感を示し、支援への協力を呼びかけました。