人手不足といわれているのにアラフィフからの就職活動は厳しいと嘆く投稿がXで話題に(photoACより「FineGraphics」さん撮影、イメージ画像)

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「人手不足倒産って言っても、働きたい50代60代は雇ってくれず、20代30代を求めてるからじゃない?
日本だと何をするにも年齢制限があって、応募しても弾かれる。」

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人手不足といわれているのにアラフィフ(50歳前後)からの就職活動は厳しいと嘆く投稿が、X(旧Twitter)で話題になりました。

投稿したのは、アラフィフ女性で就職活動中のあうんさん(@MOOZ9PauFkSBgOo)。これまでの経験や資格などをいかし仕事を探しているものの、求人に応募しても全く通らなくなり、年齢で弾かれていると感じているとか。今回、人手不足で倒産した企業の件数が上半期(4〜9月)で163件と過去最多を更新したという報道を目にし、求職中の身として複雑な思いをつぶやいたといいます。そんな嘆きの投稿に共感するコメントが殺到しました。

「人を安く使う事ばかり考えてしまった結果」「ここでも忘れられる40代氷河期末期」

「人手不足という割に人手を選んでいるという矛盾、、」
「技能系の専門資格を持っている50代よりも、未経験の20代の方が採用で圧倒的に有利なのはどうかと思います」
「人を安く使う事ばかり考えてしまった結果ですね 人は相応の対価を払わないと動かないとわからないのでしょうか?」
「私が9月までいた職場でも、経験者であろうが40代以上は新規採用しないと聞きました。それで入ったのが23歳のPCスキルも無い女の子。昭和体質でプライドしかない企業なのは知っていたが、大赤字のくせに何がしたいのか...」
「50代60代だって人によっては20代30代より生産性高い 年齢で決めてしまうのは人材を探す手間を惜しんでいるから。入り口のところで丁寧に人選すれば職場全体の生産性も高まり、人間関係の良さにもつながるのに、気付いていない」
「ここでも忘れられる40代氷河期末期」
「長く働いてもらいたい企業が20代、30代を求めた結果 人手不足倒産 コントですなw 目の前の危機に対応できない企業は倒産する運命」
「氷河期世代を採用しとけば、当面の人手の問題からは逃げられますし、その間に次の事を考えとけばいいんですが、新卒がぁ〜若手がぁ〜な時代遅れな会社が多いです」

バブル経済崩壊後に新卒で就職活動に取り組んだ就職氷河期世代だというあうんさん。学生時代の就職活動や現在の職探しで感じるジレンマなど、あうんさんに聞きました。

バブル崩壊後、就職氷河期世代の投稿主 有名大学出身が有利だった

――就職氷河期は、バブル経済崩壊後の1993年から2004年頃に卒業された40代の世代。あうんさんの就職活動はいかがでしたか。

「有名校でなかったし、女子だったので、就職情報誌が2〜3冊しか届きませんでした。就職に関して、事務職に就きたくても当時事務職の給料はとても安く、都内に家族と住んでいるか、お金持ちで親から仕送りがある人でないととてもじゃないけど生活していけない状況でした。私が理系ということもあり、ITの総合職に決まりましたが、そもそも当時はインターネットが発達してなくて、会社の情報を得るのが大変で、どんな会社かあまり良くわからないままとりあえず受からないと、という思いで応募していました。

また、教職(数学)を取っていて活動の合間に教育実習をしていたので、2週間ほど就職活動はできませんでした。教職を取ったのも何か資格があった方が良いと思い取りましたが、その頃の教員試験はコネがないと採用されない、という噂があり、教育学部も多かった時代。特に最初から教職は目指していませんでしたが、地方出身者の男子から自分の親が公務員で、親のコネで消防署なら試験をせずに入れる、と言っていたことを記憶しています」

――当時の企業側の採用について感じたことは。

「もともと企業は昇進させる人を採用時から決めていると感じました。採用時東大、京大、早慶卒の学生は、入社すると一般学生よりも比較的良いポジションに配属されます。その結果が企業の役員になっている方の卒業大学に高学歴しかないのです。そして、まれに法政大や明治大などの役員の方がいますが、ものすごく仕事ができるコミュ力の高い方、という認識です。銀行系だとそれが顕著で55歳までに出世コースに残れない人は、子会社に飛ばされます。不動産でもそうでした。ちょうど55歳で出世から外れた部長は子会社に行きました。

つまり女性の役員が増えないのは、これが理由だと思います。企業側は最初から昇進させる人員をある程度決めている。そこに女性は含まれない、と。その背景としては簡単で、結婚や出産で出世コースから離脱してしまう可能性が高いからです。なので、今現在、企業の女性役員が劇的に少ないのはこれが理由だと思っています」

希望職種は一般事務、派遣会社に登録しても40歳過ぎてからは全く採用されず

――またアラフィフになってからの就職活動もとても厳しいとのことですが。

「就職活動をする前は、契約社員として働いていました。今は求人に応募しても通りません。派遣で働いていたこともあり、派遣に登録して応募しても社内選考でお断りのメールばかりで、次のステップにも行けません。派遣のお断りは40歳を過ぎてから、全く採用に至ってはいません。職種は一般事務です。自分はずっと事務職をしてきたので、Excel、Wordを使いこなし、MOSの資格を取っていて、資格欄にも記載しています。

なのに、派遣のカウンセリングや就職活動の面接時に、相手は年齢で判別するのか、外見で判別するのか分かりませんが、『Excel、Word使えますか?』『ブラインドタッチできますか?』と質問されます。事務職をずっとやってきて、昭和じゃないのだから、PCを使って仕事しているのに、そういう質問をされると、一体この人たちは自分をどういう風に見ているのだろう? 40代は何もできないお年寄りに感じるのだろうか? と思ったことは何度もあります」

――資格欄に書いてあるのに、できるかどうか質問されるのですね。

「そうです。また50代60代求人で検索すると、上がってくる仕事は清掃、介護、警備がほとんどです。今まで事務職をしてきた人間にいきなり体を使う仕事をやらせ、体が痛い、と言うのはわがままでしょうか…自分が企業に求めること、世間に求めることはありますが、責任や面倒を負わずに逃げ切りたいと思っている人、企業が大半だとみられるので、何も改善されないだろうな、と感じます」

あうんさんが投稿するきっかけとなった、人手不足で倒産した企業が増えているという報道。若い世代の人たちが職場や仕事が合わず離職したり、キャリアアップのために転職したりすることなどが原因のよう。とはいえ、シニアの就労支援をするエージェントなども増えており、企業が経験やスキルをいかして働きたい50代60代を積極的に採用していくことで人手不足は少しずつ解消されるのでは?と思います。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)