WBA世界フライ級王者を防衛したユーリ阿久井政悟(左)=撮影・佐々木彰尚

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 「ボクシング・WBA世界フライ級タイトルマッチ」(13日、有明アリーナ)

 世界ボクシング協会(WBA)フライ級王者のユーリ阿久井政悟(倉敷守安)は、タナンチャイ・チャルンパック(タイ)に2−1の判定勝ちで2度目の防衛に成功した。世界ボクシング機構(WBO)ライトフライ級王座決定戦で、岩田翔吉(帝拳)がハイロ・ノリエガ(スペイン)に3回3分TKO勝ちし、2度目の世界挑戦で新王者となった。WBAバンタム級王者の井上拓真(大橋)は堤聖也(角海老宝石)に判定で敗れ、3度目の防衛に失敗した。

 2度目の防衛に成功したものの、ユーリ阿久井の額には冷や汗が浮かんだ。12回を戦い抜き、2−1の判定で薄氷の勝利。「勝ったといっても完勝じゃない。すごく強い相手で、若くて勢いがあった」。序盤は優位に戦ったものの、ジャブの後に有効打を打てず、ラウンドを経るごとにもどかしさが募る。相手に尻上がりにペースを握られ、10回には細かくボディーを連打される場面もあった。「スッキリ勝てず、やり切れない。(判定が)相手についても、おかしくなかった」。ベルトを失っていても仕方のない辛勝に反省が口を突いた。

 ただ、リングサイドでは妻と2人のまな娘も声をからして見守っていた。試合前で娘の運動会に行けず、送ってもらった映像を見て発奮材料にしてきた。「(娘の応援は)届いていた。力になったし、最後いけたのは娘のおかげ」と感謝した。

 入場時には、好きな映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のテーマ曲に乗せて“次元転移装置”を模したド派手な衣装で登場。「後ろに背負っていたバッテリーが重かった。いつも製作してくださっている人に無理を言っている(笑)」と明かした。スッキリとは勝てなかったが、過去には戻れない。「今日は全然ダメダメな内容だったので、次はもっといい試合を見せられるように頑張る。とにかく日々精進したい」。ベルトは死守しただけに、明るい未来を目指してリングに立ち続ける。