「紫の髪は威嚇にならない」「全身全霊の試合を」　田中恒成＆オラスクアガ、世界王座防衛へ決意

2024年10月11日 17時0分

Amazon プライム・ビデオで生配信

　ボクシングの7大世界戦興行に出場する選手たちが11日、都内のホテルで会見した。13、14日に東京・有明アリーナで行われる異例の2日連続世界戦興行。14日に登場するWBO世界スーパーフライ級王者・田中恒成（畑中）、WBO世界フライ級王者アンソニー・オラスクアガ（米国・帝拳）が防衛戦へ決意を込めた。

　田中はフラッシュを浴びながらアピールした。壇上で名前がコールされると、右腕で力こぶ。7月の試合は前日計量で挑戦者が体重超過。試合中止で心身ともに仕上げた過程が水の泡になった。それだけに「今日はプメレレ・カフ選手と初めて会って体調も凄くよさそう。いい試合になると思うので楽しみ。自分も絶好調なのでいい試合を見せたい」と安堵した様子の垣間見せた。

　今回が初防衛戦。相手の同級5位プメレレ・カフ（南アフリカ）は「Truth（本物）」の愛称を持つサウスポー。複数の地域タイトルを獲得してきた。田中は冗談交じりに印象を明かし、会場の笑いを誘った。

「お洒落なカフと書かれた服を着ている。帽子を被っているけど、髪の毛が紫ですかね？　僕のおばあちゃんもよく鮮やかなパープルに染めていた。何が言いたいかというと、見慣れているから威嚇にはならないです。お洒落に凄く気を使う選手なんだなと思います」

　前戦からは前後左右に多く動くボクシングを徹底。スタミナとパンチ力強化に励んだ。今後のプランを問われても「今回たくさんの選手が試合をする中でどう目立つか、この先どうしたいかとか、そういうことにとらわれずこの一戦に集中したい」と冷静。「あえて答えるなら、僕にも1敗がついている。その負けから成長し、この階級で強さを示せる相手と戦うことが目標です」と話すに留めた。

「こういう大きなイベントで『アイツよりこんな試合をしよう』と周りにフォーカスすると、自分のパフォーマンスが出せない。それが一番怖い。僕の試合を待っている人がいるので、スピード感のある熱い試合をしたい」

　カフは「まずはこの試合を組んでくれたプロモーターにお礼を言いたい。タナカチャンピオンにもこの試合を受けてくれて感謝している」とコメント。王者については「リングで戦っている姿よりも実際の方が小柄。とてもいいヤツだなという印象」と笑ったが、「ずっと待っていた試合。夢が叶った思い。当日ベルトを獲るのは俺だ」と言い放った。

　戦績は29歳の田中が20勝（11KO）1敗、29歳のカフが10勝（8KO）3分け。

日本で愛される王者オラスクアガ「自分が誰なのかを見せるいい機会」

　激闘続きで日本のボクシングファンに愛されるWBO世界フライ級王者オラスクアガは、同級1位ジョナサン・ゴンサレス（プエルトリコ）と対戦。「12回判定かKOか、どちらにしても勝ちたい。しばらくこのベルトが自分の元にあることを約束したい」と初防衛を誓い、挑戦者についてにこやかに語った。

「特に印象はない。なぜかというと、前にも会ったことがあるし、初対面じゃないので新たな印象はない。とてもいい人なのは知っている。自分が誰なのかを見せるいい機会になると思う」

　7月の前戦では加納陸に3回2分50秒KO勝ちし、2度目の世界挑戦で王座戴冠を果たした。今回のメインイベントを務めるWBC世界バンタム級王者・中谷潤人（M.T）とは、中谷が中学卒業後に単身渡米した時からの親友。今回も8月末からの米ロサンゼルス合宿、来日後の最終調整もともにした。

　今後のプランについては、「いつも目の前の相手、目の前の目標に向けて動いていく」としつつ、「ただ、戦績に1つ黒星がある。その再戦をできればいい」と息巻いた。13日に登場する元WBA＆WBC世界ライトフライ級2団体統一王者・寺地拳四朗（BMB）に敗戦。ともにフライ級に転向し、リベンジを描いた。

「まだ8試合だけと言う人もいるけど、それで世界を獲れるのが事実。長いキャリアが続く中で恥ずかしくない、全身全霊の試合を見せたい」

　ゴンサレスは「とても興味深い、クレバーな試合をしたい。体重は全く問題ない。12ラウンドだけじゃなく、4、5ラウンド余計にできるくらいのコンディション。いい試合を見せたい」と試合巧者ぶりを発揮する構え。「8試合で世界王者になった相手。俺は30試合やっている。クレバーなところを見せて何が何でも勝つ。ガツガツとした試合をしたい」と目をギラつかせた。

　戦績は25歳のオラスクアガが7勝（5KO）1敗、33歳のゴンサレスが28勝（14KO）3敗1分け。