イラン最高指導者、ヒズボラのトップにイスラエルの殺害計画を警告=情報筋

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[ドバイ/ベイルート 2日 ロイター] - イランの最高指導者ハメネイ師は、イスラエル軍の攻撃で死亡したレバノンの親イラン派武装組織ヒズボラの指導者ナスララ師に対し、殺害される数日前にレバノンから逃げるよう警告していたことが分かった。複数のイランの情報筋などがロイターに対し明らかにした。

情報筋によると、9月17─18日に起きたヒズボラの戦闘員らの通信機器一斉爆発を受け、ハメネイ師は自身の側近をナスララ師のもとに派遣。イスラエルがヒズボラ内に工作員を送り込み、ナスララ師の殺害を計画していることを示唆する情報を伝え、イランに逃げるよう促したという。

一方、ナスララ師はイラン側の懸念にも関わらず、側近を完全に信頼し、自身の安全を確信していたもよう。

スウェーデン国防大学のヒズボラ専門家マグナス・ランストープ氏は「イランは基本的に過去数十年間で最大の投資を失った」と指摘。ヒズボラ打撃を被ったことで、イランのイスラエル国境への攻撃能力が低下したという認識を示した。

ハメネイ師は1日、イスラエルへの弾道ミサイル攻撃を指示。イラン革命防衛隊は、イスラエルによるイスラム組織指導者らの殺害と、レバノンとパレスチナ自治区ガザへの侵攻に対する報復と表明している。

ナスララ氏殺害を引き金に、イラン政府の上層部にイスラエルの内通者が潜んでいることへの懸念が増大。イラン・ヒズボラ間およびヒズボラ内部における不信感も広がっているもよう。

情報筋によると、イラン当局は革命防衛隊から治安当局幹部に至るまで、内通者の可能性を徹底的に調査するようになった。とりわけ海外への渡航歴がある人物やイラン国外に親族がいる人物に焦点が当てられ、逮捕者も出たという。

別の情報筋は、最高指導者が「もはや誰も信頼していない」と述べた。

レバノンの情報筋によると、ヒズボラは通信機器の一斉爆発を受け、数百人のメンバーを尋問し、内通者を一掃するための大規模な捜査に着手したという。数百人が拘束されたという情報もある。

ヒズボラはまた、イスラエルによる暗殺の標的となるリスクを懸念し、ナスララ師の後任となる新たな指導者を正式に任命することを控えているという。