フェイクニュースを拡散したとされるアカウントの削除などを巡り、X(旧Twitter)と対立を深めていたブラジル最高裁判所は、2024年8月にXのサービス停止を命じました。これを受けてXはブラジル最高裁判所の要求を受け入れ、指定されたアカウントを削除するなどの対応を取っていますが、Xがサービスを再開するには総額2830万レアル(約7億4000万円)の罰金を支払う必要があるとのことです。

Brazil's top court imposes new fine before allowing X to resume service | Reuters

https://www.reuters.com/technology/brazils-top-court-rules-x-must-pay-pending-fines-resume-service-2024-09-27/



Elon Musk's X expected back online in Brazil ahead of elections

https://www.cnbc.com/2024/09/27/elon-musks-x-expected-back-online-in-brazil-ahead-of-elections.html

X faces additional $1.9M fine to end ban in Brazil | TechCrunch

https://techcrunch.com/2024/09/28/x-faces-additional-1-9m-fine-to-end-ban-in-brazil/

ブラジル最高裁判所は2024年4月、フェイクニュースの拡散に関与したとされるアカウントの削除をXに命じましたが、この命令に対しXやオーナーのイーロン・マスク氏は強く反発しました。これを受けてブラジル最高裁判所のアレシャンドレ・デ・モラエス判事はマスク氏を「ブラジルの民主主義機関を攻撃するためにフェイクニュースや脅迫を拡散したとされる『デジタル民兵』に対する既存の捜査」の対象にすることを決定するなど、両者の対立は深刻化しました。

X(旧Twitter)のイーロン・マスクが司法妨害の疑いでブラジル最高裁判所から捜査される羽目に、最高裁の命令無視が原因 - GIGAZINE



そして8月、Xは「モラエス判事が検閲に従わなければ逮捕するとブラジルの法定代理人を脅迫した」としてブラジルの事業所閉鎖を決定。ブラジル最高裁判所は、新たな法定代理人の指名を拒否したXのサービス停止を命じました。

ブラジル最高裁がXに国内でのサービス停止を命令 - GIGAZINE



その後もXはしばらくブラジル最高裁判所の決定に反発し続けていましたが、9月下旬には要求を受け入れて指定されたアカウントを削除し、罰金の支払いや新たな法定代理人の選出も行う方針に転換しました。

Xがブラジル最高裁の命令通りに指定されたアカウントを削除 - GIGAZINE



一連の騒動はX側が折れる形で落ち着いたようですが、ブラジル最高裁判所は9月27日、Xがブラジル国内でサービスを開始するためには、以前に裁判所が命じた1830万レアル(約4億8000万円)の罰金を支払わなくてはならないと裁定しました。

また、9月中旬にブラジルからXへのアクセスを一時的に再開したことに対して、追加で1000万レアル(約2億6200万円)の罰金を科しました。つまり、Xがブラジルでサービスを再開するには、総額2830万レアルの罰金を支払う必要があるというわけです。

海外メディアのロイターは、「Xに近しい人物によると、Xは罰金を支払う可能性が高いものの、プラットフォームの禁止後に裁判所から科された追加の1000万レアルについては、異議の申し立てを検討するとのことです」と報じています。

Xは一連の罰金についてコメントしていませんが、9月26日の夜にはグローバル政府関係チームのアカウントで、「Xは法律の範囲内で言論の自由を保護することに尽力しており、当社が事業を展開している国の主権を認識し、尊重しています。私たちは、ブラジル国民がXにアクセスできることは、民主主義の繁栄にとって不可欠であると信じています。そして今後も、法的手続きを通じて表現の自由と法的に適正な手続きを擁護していきます」という声明を公開しました。