(『虎に翼』/(c)NHK)

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9月25日の『虎に翼』

現在放送中の伊藤沙莉さん主演・連続テレビ小説『虎に翼』(NHK総合/毎週月曜〜土曜8時ほか)。最終週の128回が9月25日に放送され、話題になっています。

*以下、9月25日放送内容のネタバレを含みます。

最高裁大法廷では、いよいよ美位子(石橋菜津美さん)の事件の判決が出されようとしていた。

寅子は早朝、よね(土居志央梨さん)と轟(戸塚純貴さん)の事務所を訪ねる。一方で、少年法改正を議論する法制審議会少年法部会は結論が出ないまま平行線をたどっていた。

寅子は久藤(沢村一樹さん)らと「愛」について語り合う。それは多岐川(滝藤賢一さん)の口癖で――といった話が描かれました。

あらためてあらすじ

ドラマの中で迎えた1973年(昭和48年)4月。

最高裁大法廷ではついに斧ヶ岳美位子による尊属殺人事件について判決が出されることになりました。

寅子は轟と山田に応援していると伝えるべく、山田轟法律事務所までやってきます。

轟たちが法廷に立つ間、寅子に対して、「人を殺した自分が勝訴となって、社会復帰をしてよいのか」とたずねる美位子。

対して「あなたができることは生きて、出来る限りの幸せを感じ続けること」だと寅子は答えます。

歴史が塗り替わった

場面が変わって最高裁大法廷。

法壇に立った最高裁長官・桂場等一郎(松山ケンイチさん)が判決を述べます。

「主文。原判決を破棄する。被告人を懲役2年6月に処する。この裁判確定の日から3年間右刑の執行を猶予する。尊属殺に関する刑法200条は、普通殺に関する刑法199条の法定刑に比べ著しく差別的であり、憲法14条1項に違反して無効である。この見解に反する従来の判例は、これを変更する」

すると、桂場や寅子にとって”師”でもある穂高先生が、かつて果たせなかった23年前の合憲判決の光景が流れ――。

「長い時をかけて歴史が塗り替わったのです」というナレーションと共に、よねと轟は涙を流します。

板チョコを口にする桂場

それから閉廷した後、深く頭を下げた桂場は、ゆっくりと長官室へ戻ります。

椅子に腰かけたところで「桂場はこの翌月、定年を迎えて長官を退任。裁判官人生に幕を下ろすことになります」とのナレーションが流れ、桂場は深いため息をつきます。

それから机の中から何やら取り出そうとする桂場。よく見るとそれは、食べかけの板チョコレートでした。

ひとかけら割って口にした桂場は、疲労した様子を見せながら、ゆっくりとそれを味わうのでした。

解決していないのは当たり前

ドラマ内で怒涛のように進む伏線回収。内容への感動はもちろんのこと、同時にあと2回で最終回を迎えてしまうことを残念に思っている視聴者は多いようです。

ネットでは「穂高先生の想いを貫いた桂場。口にしたのは、多岐川が愛の象徴として絵に残した花岡の板チョコ…。怒涛の伏線回収が続く」「この判決は、父を殺していたかもしれないよねにとっても自らの半生を射影したもの。だからこそ涙が」「桂場が登場した日、必ず松山ケンイチさんのXで流れてきたつぶやき。それが見られなくなるのがさみしい」「寅子と美位子の<さようなら><またいつかどこかで>のやりとりは主題歌の歌詞からだよね」「<詰め込み過ぎ><何も解決してないドラマ>のような感想はむしろ当然では? どれも今の時代につながっていて解決していない、私たちが考えていくべき問題なのだから」といった声があがっていました。

朝ドラ通算110作目となる『虎に翼』は、日本初の女性弁護士で後に裁判官となった三淵嘉子(みぶち・よしこ)さんがモデル。昭和の法曹界を舞台に、激動の時代を描いたリーガル・エンターテインメントです。

仲野太賀さんや石田ゆり子さん、松山ケンイチさんらが出演し、尾野真千子さんが語りを担当。脚本は吉田恵里香さんが、主題歌『さよーならまたいつか!』は米津玄師さんが手掛けています。