RKC高知放送

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坂本龍馬の生家跡地に龍馬の誕生日・11月15日、新たな宿泊施設がオープンします。
名前は「hotel nansui(ホテルナンスイ)」。
龍馬ゆかりのホテルとして半世紀以上続いた旧南水の想いを受け継ぎながら新たな船出に向けて奔走する新南水に密着しました。

8月中旬、高知市上町で半世紀以上地域に愛され龍馬ファンに愛されたホテルが生まれ変わろうとしていました。

プロジェクトの中心人物は、高知市でホテルを経営する港屋マネジメントの統括マネージャー・井口将貴さんです。

■統括マネージャー・井口将貴さん
「過去の資料によるとちょうどこのフロントの前あたり、ソファがあるあたりだとかこの
一帯が龍馬さんの離れがあった場所。当時は多分1階だったと思うのでちょうど上にあたるあたり」

工事中のこの場所は「hotel nansui」。半世紀以上この場所で営業し、2022年2月に閉館した「龍馬の宿 南水」の想いを受け継ぐホテルです。
そのためホテルには至るところに龍馬の要素が。この日、ロビーには不思議な形のソファが運び込まれていました。

■井口さん
「これはそれぞれ坂本龍馬が過去に行った瀬戸内海の島なんですけど、実際にある島でその形を模して作っています。龍馬に思いを馳せるというコンセプトなので、龍馬が見ていた世界を見てちょっと思いを馳せてもらうみたいなアートだったり、そういう龍馬に関連するストーリーなどをいろいろ散りばめて」

旧ホテル南水は1970年に開業。坂本龍馬の生家跡地に泊まれる宿として全国の龍馬ファンに愛されました。

「龍馬」を全面的に売り出したのが1999年に社長に就任した宮村耕資氏です。
宮村さんは龍馬ブームに沸いた2010年から2年間県の観光博覧会の運営委員長を務めるなど県全体の観光振興にも尽力しました。

しかし2019年、宮村さんの体にガンが見つかります。さらに追い打ちをかけるように新型コロナウイルスが流行。観光客は激減し旧ホテル南水の経営も厳しくなるなか、2021年11月、宮村さんの病状が悪化。ホテルの閉館を余儀なくされました。

残された龍馬の生家跡地をどうするのか。そのころ井口さんたちのもとにも話が伝わってきたといいます。

■井口さん
「自分がやるなんて思いもよらなかった。2月くらいのタイミングは、少し時間が経ったタイミングでうちにも声がかかって、ホテルでこのまま引き継いでいこうという人がいないという話を聞いた。候補に挙がっているのが別の不動産施設。例えばマンションであったり、本当にこの特別な場所が観光に関係のないもの、観光客に喜んでもらえないものになっていいんだろうかっていう危機感に近い思いはそこで芽生えて。ちょっと僕たちでやれないだろうかという気持ちが芽生えはじめたのはそのタイミング」

すでに入院していた宮村さんとは直接面会することはできなかったものの、弁護士を通じて購入の意志を伝えその様子を聞いたといいます。

■井口さん
「ホテルとして残していきたいという話を弁護士を通じてではあったが、話をさせてもらった際に弁護士経由で泣いてよろこんでくれたっていう話を聞いたときに、もう本当身が引き締まるというかぼくも本当に嬉しかったし、なんとしてでもここを残していきたいという気持ちがさらに強くなったのを鮮明に覚えている」

旧ホテル南水が閉館したその年の6月。港屋マネジメントが土地と建物を購入し、新たなホテルナンスイとして船出の準備が始まりました。

建物は躯体を残しながら大幅に改装工事を行い屋上のある7階建てです。

コンセプトは自分を洗濯できるホテル。

1階は坂本龍馬にちなんだアートの展示やバーカウンターとイベントスペースを設けるなど宿泊者以外も自由に出入りできるフロアにします。そこには井口さんのある想いがありました。

■井口さん
「この坂本龍馬の生誕の場所、屋敷があった場所っていうのは”お預かりしている”感覚が結構強くてこの建物と土地を購入に至ったが、お預かりしている特別な高知にとっても特別だし、龍馬ファンにとっても特別な場所だと思っている。なのでここを泊まった人しか入れない場所にはしたくないという思いが強くあって、坂本龍馬が生まれた石碑を見に来たついででもいいので立ち寄ってもらえるように計画している」

そして受付は7階へ。南側の大きな窓からは龍馬が子どものころによく泳いだといわれる鏡川も見えます。

■井口さん
「旅に来た特別感とか龍馬の生まれた場所に来たんだなっていうことを感じてもらうために1階にはあえてアートスペースとかを作って出迎えて、お客さまがホテルに来たんだなという体験をこの7階まで上がってきてもらって、生まれた町がばっと開けると、いつもと違う非日常というか、高知の街並みを、高知に来たんだなと感じてもらえる場所になると思っている」

客室は3タイプの全33部屋。3階から6階には和洋折衷のデザインで小上がりや明治時代の家具をヒントにしたソファがあるツインとコーナーツインがそれぞれ16室あります。料金は1泊2食付きで1人3万8000円からで滞在中のアルコールを含む飲み物やおつまみを自由に楽しむことができます。

さらに2階には特別な1部屋を設けました。

■井口さん
「ここを押してもらうとこういう風に開く隠し扉がついていて」

黒い隠し扉の先には最大4人が宿泊できる86平米のスイートルームが。しかも特別なスペースがあります。

■井口さん
「水風呂があって、こっちにサウナがある。プライベートの部屋についているサウナなので今回大浴場等はないが、スイートルームは特別なお風呂とサウナをつけている」

プレミアムサウナスイートは2人で宿泊の場合1泊2食付きで12万8000円から。プライベートサウナで贅沢な整い体験ができそうです。

■井口さん
「一番は客室のバリエーションが複数あることで、お客さまが選べるというところが大きくて、プラスもともとの南水には大浴場があった。それを別のスペースの関係でなくしてしまったこともあり、1部屋だけでも特別お風呂にこだわるとかサウナをつけるっていう昔の南水で強みだった部分を継承したいなというところもあったので、そういう思いで作らせてもらった」

オープンまで残り2か月半。やるべきことは山積みですが徐々に井口さんの理想が形になっていました。

■井口さん「ようやくこう、想像の中でどうお客さんをお出迎えしようかとか思っていたのがより鮮明に、お客さんがここに座るんだなぁとかそういうのがだんだん実感が湧いてきた。楽しみですね」

新たな船出に向けて準備が進むhotel nansuiは、11月15日の龍馬の誕生日にオープン予定です。