新方式では348人(うち乳児15人)が19分で沖縄行きのエアバスA350-900型機に乗り込んだ

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日本航空(JAL)は2024年9月11日、同日から国内線の一部で乗客が飛行機に乗り込む順番を変更したと発表した。

通路が2本ある中型〜大型機が対象。エアバスA350-900型機の場合で、搭乗には20分ほどかかっていたが、これが50秒ほど短くなるといい、定時性の向上につなげたい考えだ。

普通席も半分は前のドアから乗る

これまで、車いすの乗客や乳幼児を対象にした「事前改札」に続いて、乗客は大きく4段階で乗り込んでいた。上級会員の「グループ1・2」、40番より後ろの座席と非常口座席の「グループ3」、20番より後ろの「グループ4」、全員が対象の「グループ5」だ。

これに対して新方式では、「グループ3」の段階で、40番より後ろの座席と非常口座席に加えて窓側席(A列、K列)の人に乗ってもらい、グループ4で全員に乗ってもらう。

ボーディングブリッジの使い方も変えた。乗客は前方のL1ドア、その後ろにあるL2ドアの2か所から搭乗。これまではL1はファーストクラス、クラスJの乗客、L2は普通席の乗客が使用してきた。これに対して新方式では、普通席の右半分(F〜K列)の乗客もL1を使うようにする。

新方式は、東京工業大学環境・社会理工学院の大佛俊泰(おさらぎ・としひろ)教授との共同研究の結果を踏まえて決めた。共同研究では、A350に360度カメラを載せて、7便を対象に乗客の動きを分析。歩行の軌跡や速度、手荷物の種類や数、立ち止まるタイミングや荷物収納にかかる時間などを調べた。

大佛氏によると、搭乗のボトルネックは大きく(1)荷物を収納するタイミングで通路をふさぐ(2)通路側の乗客が着席した後に窓側席の乗客が来る、の2つがある。搭乗の順番12種類とボーディングブリッジの使い方2種類をベースに、計1000パターンをシミュレーションして決めた。

機内で「自分で歩きたい速度で歩けない」ことによる不快感も減らせる

50秒短くなる意義について、大佛教授は、機内で「自分で歩きたい速度で歩けない」ことによる不快感も減らせる、などと説明している。

新方式での搭乗は報道陣の前でも公開された、対象は沖縄(那覇)行きのJL915便(エアバスA350-900型機)。391人乗りに対して348人(うち乳児15人)が搭乗。事前改札は11時41分に始まり、全員が飛行機の中に入ったのが正午で、搭乗には19分かかっている。

搭乗方法が変わるのは、便数ベースではJAL単体で約46%。日本トランスオーシャン航空(JTA)などのグループ会社を含めると22%だ。

(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)