保育士の平均年収は安い?公務員の給料や処遇改善で上がるのか解説
1.保育士の平均時給・月収・年収・ボーナス
保育士の平均時給・月収・年収・賞与(ボーナス)を紹介します。
厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査より作成
パート・アルバイトとして働く保育士の平均時給は、男性のほうが女性より約700円高い結果となっています。全産業平均との比較では、女性は同程度、男性は上回る賃金水準です。
厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査より作成
正職員として働く保育士の平均月収は、男性が女性を4万円ほど上回る結果でした。一方、男性のほうが女性より700円時給が高かったパート・アルバイトは、月収になると男女の差がほとんどありません。この理由として、女性のほうが1日あたりの労働時間(男性:4.5時間、女性:5.5時間)が長く、1ヶ月あたりの労働日数(男性:13日、女性:16.1日)が多いことが考えられます。
厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査より作成
男性の年収は女性よりも約55万円高いことがわかります。全産業平均と比較してみると、女性は同程度であるのに対し、男性では120万円ほど下回っています。
なお、パート・アルバイトでは男女間格差はみられるものの、全産業平均よりも男女ともに高い賃金となっています。
厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査より作成
正職員の年間賞与では、男性が女性より10万円ほど高い結果となっています。
パート・アルバイトも男性が女性より3倍ほど高い水準となっており、時給とともに男女差が目立ちます。
2.保育士の都道府県別平均給料ランキング
次に、正職員の月収、年収、賞与を都道府県別に紹介します。
厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査より作成
月収が最も高かったのは東京都の30万9,700円です。全国平均よりも約4.5万円高く、最も低かった秋田県を約10万円上回っています。東京都は保育施設数、従事者数が最も多いことや、物価が高いことなどから賃金が高く設定されていると考えられます。
年収1位は月収と同じく東京都でした。上位には、首都圏やその近郊地域がランクインしており、人口が多く保育ニーズが高い地域における賃金の高さがうかがえます。
賞与が最も高かったのは群馬県の105万9,000円でした。同県は月収では16位に位置しているものの、賞与の高さから年収では5位にランクインしています。一方、月収と年収で首位だった東京都は、賞与ランキングでは14位になっています。
必ずしも月収が高くなくても、賞与によって年収が高い職場もあります。求人を見る際は、賞与が何ヶ月分支給されるかも確認しましょう。
3.保育士の職場別給料ランキング
ジョブメドレーに掲載(2024年8月時点)されている求人から、職場別に月収・年収・時給相場を算出しました。
※「月収の総平均 × 14ヶ月(ボーナスは月収の2ヶ月分)」で試算。残業手当など月によって支給額が変動する手当は集計対象外のため、実際に支払われる賃金はこれより多くなる可能性があります。
職場別のデータでは、放課後等デイサービスが最も高い結果となっています。放課後等デイサービスは、障がいを持つ子どものための児童福祉施設です。個別支援計画に基づき、遊びや創作活動、自立支援訓練の実施など個々に合わせた発達支援をおこなっています。同施設では、児童指導員または保育士の配置が義務付けられており、多職種との連携やより専門的な知識・技術が求められることから、比較的高い給与設定となっていると考えられます。
時給が最も高かったのは認可保育所です。続く放課後等デイサービス、認可外保育所と大きな差はみられません。
4.公務員として働く保育士の給料
保育士として働く方法は、民間の保育施設に入職する以外にも、地方公務員として公立の保育施設で働く方法もあります。公務員保育士の給料と民間の保育士の給料を、経験年数別に比較してみましょう。
公務員として働く保育士は地方公務員の一般行政職に該当し、自治体ごとに決められた給料表に基づいて給料が支払われます。
データからは、経験年数を重ねるにしたがって昇給していることがわかります。また、地方公務員は上記の月収以外にも、地域手当や扶養手当、住居手当などの諸手当が支給されるため、実際の総支給額は高くなります。
公立以外の一般企業や社会福祉法人などで働く保育士の給料も、経験年数が増すにつれて上昇しています。しかし、上記金額には、扶養手当や住宅手当などの固定手当を含む金額のため、総支給額は公務員より低い可能性があります。
公務員として働く保育士は長く続ければ続けるほど昇給が見込めます。ただし、保育内容に独自性を反映しづらい、定期的な異動があることをデメリットに感じる人もいるでしょう。
5.保育士の給料は上がる?
「保育士の給料は安い」というイメージがあるかもしれませんが、データからは、過去10年間で平均月収が6万円増えていることが確認できます。
深刻な人手不足の解消や待遇の改善などを目的とし、国は2013年より保育士の処遇改善に取り組んでいます。また、2025年からは改正子ども・子育て支援法により、保育園ごとに保育士のモデル賃金を公表するよう義務づけられる予定です。こうした動きにより、保育士の給料を含む待遇改善は今後も期待できるといえます。
保育士の給料は勤務先によっても異なります。なるほど!ジョブメドレーでは、転職を通して給料を上げた人や、希望する業務に就けた人にインタビューをおこないました。
>【保育士インタビュー】32歳女性の履歴書・志望動機・面接対策(一般企業→保育園→児童発達支援センター)
>【保育士インタビュー】31歳女性の履歴書・志望動機・面接対策(幼稚園教諭→保育士)
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参考
厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査