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原付による「当たり屋」が多発

原付バイクが自動車に “わざと” 突っ込んで保険金を請求する詐欺事件が、昨今の英国で多発している。

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大手保険会社アリアンツ(Allianz)の調査によると、「金目当ての衝突(Crash for cash)」詐欺の発生件数は2023年に60倍に増加し、特にロンドンの自動車ドライバーが大きな被害を受けているという。


原付バイクによる金銭目的の衝突事故は特にロンドンで多く報告されている。

最も被害が大きかったのはロンドン南部で、市内全域で報告された事件の42%を占めている。

最近では、ロンドン南部のサットン区にあるウォーリントンが標的にされている。5月には住民同士でSNSのWhatsAppにグループを作り、情報共有を始めた。

そのメンバーの1人、ロス・カラマスさん(65歳)が被害に遭ったのは昨年5月のこと。ヒョンデi20に乗り、幹線道路に右折しようと交差点で待っていた。

「右側を走っていた原付バイクのライダーが交通を止め、わたしに手を振って道を譲ろうとしているのを見て驚きました」とカラマスさん。

「左側からクルマが来ないことを確認し、わたしが前に進むと、2台目の原付バイクが彼(1台目)を追い越し、わたしのクルマのフロントフェンダーに衝突したんです」

「ライダーはバイクから飛び降り、すぐに現場の写真を撮り始めました。詳細を話しているうちに、彼はとても落ち着いていて、もう1人のライダーがいなくなっていることに気付きました」

カラマスさんは動揺しながらも、ライダーの保険証書とバイクの登録番号を写真に収めた。バイクは無傷だったという。

「WhatsAppグループで聞いた他の人の体験談と比較すると、わたしが詐欺の被害者であることは明らかです。彼らは2人1組で行動し、主に単独の女性ドライバーを狙います。中には現金を要求する人もいますが、ほとんどは人身事故の補償を請求するためにやっているのです」

犯人は移動を繰り返している

カラマスさんは「とても怒っています」と憤る。彼女が所属するウォーリントン住民のWhatsAppグループでは、同様の詐欺被害に遭ったメンバーが20人ほどいる。しかし、犯人はもう別の地域に移動したと考えているという。

「警察によると、1つの地域を一定期間ターゲットにして、住民に知られるようになると他の地域に移動するようです」


「金目当ての衝突」詐欺の被害に遭った自動車。フェンダーが凹んでいる。

アリアンツ社の金融犯罪情報・捜査戦略の責任者であるマット・クラブツリー氏も同じ意見だ。「組織化された犯罪集団は戦術を進化させており、発見されるのを避けようと、より広い地域を移動し、小規模な集団で行動するようになっています」

保険詐欺局(IFB)によると、2021年から2023年の間にロンドンで2250人が「金目当ての衝突」詐欺の被害に遭っており、容疑者の多くは宅配業者だったという。

ロンドン市警はこの犯罪を撲滅するため、保険詐欺取締部(IFED)のメンバーが取引基準担当官と協力し、破損した原付バイクを修理する悪徳業者を特定していると述べている。

6月には、合同作戦により、事故で使用されたと思われる原付バイクと、バイクを偽装するための数百のナンバープレートが押収された。

同警察によると、IFEDらは犯罪に利用されている疑いのあるガレージと、犯罪から利益を得ていると思われる人物との関連を立証しているという。

一方、IFBは、原付バイクの偽の請求額は現在2700万ポンド(約51億円)を超えていると推定している。何千人ものドライバーが、気付かずに被害に遭っていると考えられる。

IFBの情報・調査・データサービス責任者であるジョン・ラドフォード氏は、「このような詐欺は、罪のない道路利用者に壊滅的な影響を与えるため、市民に警戒を呼びかけています。我々は保険会社や警察と協力して、このような無謀な詐欺師を裁く手助けをしています」と述べている。