●ドラマが放送され「すごくありがたい反響をいただいています」

読売テレビ・日本テレビ系日曜ドラマ『降り積もれ孤独な死よ』(毎週日曜22:30〜)が放送中だ。原作は講談社「マガジンポケット」で連載中のマンガ『降り積もれ孤独な死よ』(原作・井龍一氏、漫画・伊藤翔太氏)。ひと気のない一軒のとある屋敷で13人の子どもの白骨死体が見つかった、通称・灰川邸事件から物語は動き出す――。

今回、主人公・冴木仁(成田凌)の腹違いの弟・瀧本蒼佑役を演じる萩原利久にインタビュー。同役を演じる上で意識したことや撮影現場の雰囲気について話を聞いた。

萩原利久 撮影:杉山慶五 スタイリスト:Shinya Tokita ヘアメイク:Emiy(Three Gateee LLG)


○蒼佑の過去をイメージで探究

――ドラマの反響は萩原さんの元にも届いていますか?

いろいろな反響をいただいています。お話は決して簡単ではなくて、集中して観ていただくくらいのほうが楽しめる作品なのかなと思っていたのですが、視聴者の皆さんもいろんなことを考えながら観てくださっているみたいで、僕の元にもそういう感想が届きます。友だちも「誰々が怪しい」というふうに感想をくれて(笑)。すごくありがたい反響をいただいています。

――改めて、今作の出演オファーを受けたときの感想をお聞かせください。

最初に原作を読ませていただいたのですが、すごく面白くて。するすると読み進めて、これは演じさせていただきたい! と素直に思いましたし、オファーをいただけて、うれしかったです。ただ、出演させていただくとなると、原作や台本を読んで感じたことを咀嚼(そしゃく)して、どう見せるかといったことを考える必要があるので、簡単ではないなという印象もありました。



――蒼佑を演じる上で、どのようなことを意識していますか?

現在に至るまでの過去を意識しています。特に、成田さん演じる冴木と対峙する1話のシーンは序盤に撮ったもので、事前準備はしていましたが、お芝居をする上ではまだほとんど何もない状態だったので、イメージで補っていました。ベースに流れている凪のようなイメージといいますか……何もないなかに時々垣間見える不安定な部分を出したいと思っていて。いろいろプラスマイナスしてさじ加減を計っています。

――萩原さんがご自身の強みとして「探究心」を挙げているインタビュー記事を拝読しました。今回は蒼佑の過去を掘り下げたわけですね。

今作は特にバックボーンによって現在が左右されています。でも、その部分を手取り足取り描くわけではないので、自分の中で実体験としてどのくらい落とし込めるかが大きい。ちょっとした仕草や間もバックボーンから影響を受ける部分もあると思いますし、ここが薄くなってしまうと、重大なシーンも薄くなっていく気がしていて。だからこそ、原作からもヒントをもらいながら、事前にイメージを作り込みました。現場で演じてみて気づくこともあるので、常々アンテナを張りながら探っています。



○共演の多い吉川愛との関係性は?

――撮影現場の雰囲気はいかがですか?

兄弟たちはみんなわちゃわちゃしていますね。ついこの間は、『ONE PIECE』の話をしました。ちょうど月曜日だったので、栗谷さん(カカロニ)に「今日読みました?」と(笑)。本誌で読んでいる方が多くて、ああだこうだとしゃべっています。

――『ONE PIECE』面白いですよね。私も読んでいます。

おお!

――でも、コミックス派で。

ああ……!

――すみません(笑)。本誌では、すごいことになっていると噂には聞いています。

すごいです! でも、ネタバレしないようにするのはマナーなので、黙ります(笑)。

●吉川愛からの「マイメン」呼びにアンサー

――先ほど栗谷さんのお名前が出ましたが、現場に芸人さんがいると、空気感は変わるものですか?

確かにそうかもしれません。テンポが良くなるといいますか、会話が円滑になる気がします。栗谷さんは何かにツッコミを入れてくれるわけではないんですけど、この間、僕がチェックのシャツをインしてズボンをグイッと(ハイウエストに)上げて遊んでたら、最速で乗ってくれました(笑)。誰がどんな話題を持ち出しても乗っかってくれて、その話題でみんなが話せるように会話を回してくださっています。



――先日、吉川愛さんにも取材させていただいたのですが、「萩原(利久)さんは約4度目の共演なので、もうマイメンくらいの気持ちです」とおっしゃっていました。

現場で、「取材でマイメンって言った」と報告を受けました(笑)。

――そうでしたか! マイメンの意味を調べると、「親友」や「尊敬する人」など親しい人を表現する言葉ですよね。

本人はフィーリングで言っただけで、そんなに深い意味を込めていないと思います(笑)。でも、吉川さんとは定期的に共演がありますし、『真夏のシンデレラ』ではああいう関係の役だったので、(その役を経て)全くと言っていいほど緊張しなくていいので、現場でもフラットでいられて、すごくありがたいですね。



○成田凌との共演シーンで考えていること

――成田さんとはいかがですか?

成田さんとは、重いシーンが多いんですよね。物語的にも蒼佑的にも局面を動かす会話が多いので、意外とざっくばらんな会話がなくて。だからといって何かあるわけではなく、フラットにコミュニケーションをとらせていただいています。

成田さんとのシーンは局面を動かす場面が多いので、自分の中で指標にしていて、そこに向かって逆算的にお芝居をしている部分もあります。僕は、現場に行って満足できることが基本的になくて。自信をつけていくというよりも、不安を消していく作業をしている。なので、物語において重要な成田さんとのシーンは不安も大きいですし、可能な限り不安を潰していく作業をしているので、結構手いっぱいな部分もあるのかもしれません。



――では最後に、視聴者の皆さんに見どころをお願いします。

集中して観ていただくのがもっとも楽しめる方法かなと思います。僕が演じる蒼佑をはじめ、どのキャラクターにもバックグラウンドがあり、物語が進むにつれて、今まで見えていなかった部分が見えはじめるのですが、それまでの場面で少しずついろんな要素が小出しされているので、ぜひ隅々まで観ていただけたらなと思います。一回で全てを整理できる方ももちろんいらっしゃると思いますが、二度三度観ていただいて、注目するポイントを変えると、後から違う見え方をするシーンもあるはず。それぞれの見方でいろいろ考えながら観ていただけたら、このドラマを100%楽しんでいただけるんじゃないかなと思いますので、ぜひ毎週観ていただけたらうれしいです。

■プロフィール

萩原利久

1999年2月28日生まれ。埼玉県出身。主な出演作にドラマ『美しい彼』(21年・23年)、『真夏のシンデレラ』『たとえあなたを忘れても』(23年)、『めぐる未来』(24年)、映画『劇場版 美しい彼〜eternal〜』『おとななじみ』『キングダム運命の炎』『ミステリと言う勿れ』(23年)『朽ちないサクラ』(24年)など。現在、バラエティ番組『萩原利久のwkwkはぎわランド』に出演中。また、年内に2nd写真集の発売も決定している。