自信が芽生え、さらに自分の魅力を磨きたいと考えたChipicoさんは、19歳で大学進学を果たすと同時に、夜間に美容専門学校に通いはじめた。

「自分をより美しく魅せるため、また自分の本来持つ美しさを知るための確かな技術と論理を学びたかったんです。すると、さらに女っぷりが上がっていって、女子大の同級生からもモテだしました(笑)。『ごきげんよう。美人は目立って大変ですわ』みたいなことを素で言えちゃうくらい、自信に溢れていたし、満ち足りていた時間だったと思います」

◆異性としてみられることが辛くなった

 だが、Chipicoさんはある悩みも抱えるようになっていく。

「私が高校中退で、自分でお金を稼いで大学に通っていた事情を知る男性たちが『支えたい』と、よくご飯なんかを奢ってくれて。私は言葉の裏を読まずに素直に受け止めるタイプなので、友人としての信頼関係を築けているつもりで、ありがたくお世話になってました。

 だけど突然、『そろそろ俺の気持ち伝わった?彼女になってほしい』と異性としての思いを伝えられることが多くて……。当時は恋愛や性愛への意欲が低かったので『聞かなかったことにするから、友人関係を続けてほしい』と頼んでいたんですが、結局は相手にフェードアウトされてばかりで、疲れてしまったんですよね」

 こうした経験が、Chipicoさんが「月曜から夜ふかし」で「坊主にしたらラクかな」と発言した理由のもとに当たるという。だが、じつはもう2つ坊主にした理由があったらしい。

◆「自分が性産業で働けないように」自戒で坊主に

「1つはブリーチのしすぎで頭皮のフケが悪化したので、いったん毛髪をリセットしたかったから。そしてもう1つは、『自分が性産業で働けないようにするため』でした。

 というのも、実は私が坊主にした2年前は、ちょうどメンタルと体調の両面で辛くなって大学も辞めてしまった時期で、不安定な気持ちを抱えていました。その結果、安易ながらも『女としての肉体があるなら、稼げそうだし性産業をしてみよう』と考えるようになりました」

 しかし、友人に「性産業で働こうと思っている」と伝えたところ、全力で止められたという。

「『簡単なノリで始めるべき仕事とは思えない。精神面体力面が追いつかなくて学問から離れたのに、性産業にならできると安易に思ってるの?稼げそうってだけでその仕事につくのは、働いてる人たちにも失礼だよ』とたしなめてくれました。

 深く納得したと同時に、そんな舐めた気持ちがあることがヤバいなと感じ、二度とそんな安易な考えに至らないよう、自戒のために坊主にしようと決めたんです」

◆坊主になっても魅力は変わらない

 複数の理由に後押しされたとはいえ、女性が坊主にするという行為に抵抗感はなかったのか。

「あまりなかったですね。大学時代は哲学専攻で美学を学ぶ機会があり、本当の美の基準は社会の流れでコロコロと変化する“流行”のようなものではなく、『生きとし生ける命の輝きすべて美しい』という考えに行き着いていたんです。

 それなら、坊主にしたら私の恋愛市場、性産業市場での価値は下がるかもしれないけど、私自身の魅力には影響はないはずと捉えていたので、怖さはなかったです。

 たぶん、前髪だけを残し後頭部の髪の毛をすべて剃ってほしいとオーダーされた美容師さんのほうがよっぽど怖かったと思いますよ(笑)。実際にこの髪型にしてからは無駄に性愛を向けられることは9割は減りました。今後もしばらくは坊主を続けようかなと」

◆「夜更かし」きっかけで男女の論争が激化

 複合的な理由から坊主にし、その髪型の生活に満足しているというChipicoさん。だが、番組放送後、SNSでは彼女の本意ではない方向に論争が広がっていってしまった。