華やかなパリ五輪の裏にはガザやウクライナなど、激しい戦闘により出場ができなくなった選手もたくさんいるという。7月30日「長野智子アップデート(文化放送)」では、日刊スポーツ文化社会部記者の久保勇人に戦場のオリンピアンについて伺った。

長野「ガザから東京五輪に出場した重量挙げ選手のモハメド・ハマダさんのエピソードを教えて下さい」 

久保「この方は22歳の選手なんですが、重量挙げの選手なんで体作りをしっかりしていて戦闘が始まるまでは107キロあったらしいんですけど、現在は87キロまで落ちてしまったんです。それで勝ち抜けなくて出場できなくなったんです。彼によるとガザではとにかく食べるものがなく腐った水も飲むような状態。しかも練習場は空爆でなくなったそうです。そういう中でやってきているわけです。さらにウクライナの選手で東京五輪で銅メダルをとった陸上女子走り高跳びのヤロスラワ・マフチフ選手は今回金メダル候補なんですけど、母国のニュースを見られなくなっているそうなんです。なぜなら助走に入る瞬間に故郷に残っている父親を思い出してしまうんです。なぜ父親が残っているかというと、ウクライナでは国民総動員令が出ているので戦える男性は国内に残っていなきゃいけないんです。マフチフ選手はウクライナに残っている父親の顔が浮かんでしまい競技に没頭できないということで、敢えて母国のニュースを遮断しながらやっているんです。その代わりにウクライナの国旗色の青と黄色のアイメイクをして頑張ると言っています。マフチフ選手によると仲間の選手もたくさん死んでいて、これ以上の死は耐えられないということを訴えながら競技をしたいと言っているんです」