スイスは「政府の職務遂行のための電子的手段の使用に関する連邦法(EMBAG)」を制定し、政府機関におけるオープンソースソフトウェアの必須要件を確立しました。オープンソースソフトウェアの使用促進により、政府運営の透明性および安全性の確保や、効率性の向上が期待されています。

SR 172.019 - Bundesgesetz vom 17. März 2023 über... | Fedlex

https://www.fedlex.admin.ch/eli/cc/2023/682/de



Bundesgesetz über den Einsatz elektronischer Mittel zur Erfüllung von Behördenaufgaben (EMBAG): in Schlussabstimmung angenommen - datenrecht.ch - das Datenrechts-Team von Walder Wyss

https://datenrecht.ch/en/bundesgesetz-ueber-den-einsatz-elektronischer-mittel-zur-erfuellung-von-behoerdenaufgaben-embag-in-schlussabstimmung-angenommen/

«Open by default» als Gesetz | ti&m

https://www.ti8m.com/de/blog/open-source-gesetz-schweiz

New Open Source law in Switzerland | Joinup

https://joinup.ec.europa.eu/collection/open-source-observatory-osor/news/new-open-source-law-switzerland

EMBAG法は、サードパーティの権利やセキュリティ上の懸念によって妨げられない限り、すべての政府機関は、その機関によって開発されたソフトウェアのソースコードを開示しなければならないと規定しています。さらに、ソースコードの開示を義務付けるだけでなく、公的機関がITセキュリティ等に関する追加サービスを提供することを認めているのも特徴です。この規定によって、政府はオープンソースソフトウェアを育成する一方で、競争のバランスを維持し、市場の歪みを避けることができるとされています。

オープンソースソフトウェアの公開に関する議論は2011年から行われていました。2011年、スイスの連邦裁判所は、他の裁判所が司法に関するソフトウェアを無料で使用できるようにし、納税者の税金を節約するため、オープンソースソフトウェアライセンスの下で裁判所向け文​​書管理アプリケーション「OpenJustitia」を公開しました。

ところが、同様のシステムを開発するウェブロー社が、政府機関がオープンソースソフトウェアライセンスの下で製品を開発すると民間企業が入札に負け、競争の機会が失われてしまう可能性があるとして抗議しました。



その後数年間、潜在的な知的財産の問題から、セキュリティの低下に対する懸念まで激しい議論が交わされ、最終的にはデジタル持続可能性のための議会グループのロビー活動およびIT業界のオープンソース開発の進歩が影響し、政府機関によるオープンソースソフトウェアの開発が許可されるだけでなく、義務として規定されるまでに至りました。

ソフトウェアに加えて、EMBAGの第10条では連邦政府データも将来的にデフォルトで公開されなければならないと規定しています。この種のデータには、政府機関が法定義務を果たすために取得または生成したデータが含まれ、個人情報や機密保持義務等によって保護されるものは含まれません。



今回の法律を推進したオープンソース推進団体CH Openのマティアス・シュトゥルマー会長は、「新しい法律は政府やIT業界、社会にとって大きなチャンスです。公共部門はベンダーロックインを減らし、企業はデジタル・ビジネス・ソリューションを成長させることができ、納税者はITソリューションへの支出を減らし、競争とイノベーションの増加によりますます良いサービスを受けることができるのです」と述べました。